平成25年5月30日(木)
米国では子宮がん検診は3年に1回を推奨し、子宮がんの原因となるウイルスがいなければ5年に1回でよいとのガイドラインを発表した。このことは従来の常識から考えると重大な意味を示している。
今まで「がん」は早期発見早期治療が最良であるとの強い思いがあり、そのために検診が推奨され症状のない「がん」が発見され治療されてきた。それで生命予後が伸びれば確かにいいことに違いないだろう。ところがいくら早く発見・治療しても、総死亡率が改善したという証明は世界中になく、むしろ治療によるダメージや後遺症などに苦しめられる人が多くみられることに気付かされるようになった。そのことに対して10数年前から近藤誠医師は「むだな検査・治療をすべきではない」という医学会から総スカンを食うような孤高の戦いをしてきたが、がんを切除すれば切除しないよりも長生きできる根拠がないという彼の主張は実証レベルでは結論が出ているのである。
今回の米国のガイドラインはこの主張の正しさを認めることになっていて、今後世界的には近藤氏の主張の方向に進むと思われる。天動説が正しいと信じられていた時代にガリレオが「それでも地球が太陽の周りをまわっている」とつぶやいたように。