「大往生したけりゃ医療とかかわるな(介護編)」

令和3年6月18日
表題は老人ホーム「同和園」の医師で、以前に同名の本を書いた中村仁一氏の著書である。4年前に発刊されたものであるが、最近読み返してみて共感するところが多かったので紹介する。今回は「介護編」ということで人生の終末をどう迎えるかを「同和園」での体験をもとに記している。
生・老・病・死、は生き物には切り離せないもので特に「老」については医者にかかればなんとかなると思っている人が多いが、何ともならないのである。ヒトは子供を育てた後はいつ死んでも仕方がないと考えれば、さまざまな憂いは減ってくる。老化は今まで出来ていたことができなくなるのがあたりまえで、それを無理に戻そうとするのは笑止千万だ。むしろまだ出来ることがあると考えたほうが良い。「死」は医療が関与しなければ穏やかに苦しまずに逝けることを「同和園」での体験から確信している。介護の現場では食べたくない老人に無理やり食べさせているが、これは拷問に等しい。欧米では「食べられなくなったらもうおしまいで、無理に食べさせない」という伝統があり、これが自然に終末を迎える最善の方法であるという。まさにその通りだと思う。