不妊治療が保険診療になる

令和2年10月16日
菅総理の提案で不妊治療が保険診療になるらしい。もっとも普通の不妊治療は今までも保険診療だったし、当院も保険診療の不妊治療は行っているが、不妊専門施設で行っている体外受精、顕微授精など今までは保険外で自由診療だったものが保険になるという。
そもそも体外受精などの専門治療は、卵管不妊が原因の患者さんに行っていたもので、初めは手術室で全身麻酔のもと、腹腔鏡を使って卵子を採取し精子と混ぜ合わせて受精させ、子宮に戻して妊娠させていた。設備と人員など費用がかかるので患者さんの負担は大きかった。その後、経膣超音波装置による採卵技術が広まり、普通のクリニックで簡便にできるようになったが、費用はその頃のままで患者さんの負担はあまり変わらなかった。保険診療になれば費用はもっと安くなる上にその3割負担でいいので患者さんにとってはうれしいことだろう。
体外受精などの専門治療は本来、卵管不妊のためのものだった。それが今では原因不明の不妊(これが最も多い)にも適用されるようになっているのが現実である。かつては体外受精を行う場合は、病院内で倫理委員会を立ち上げ、命を作るような行為に対して本当に適応なのかと議論して決めたものである。今は昔の話ではあるが…