令和2年6月26日
表題はノンフィクション作家、石井妙子氏の著書である。女性初の都知事であり総理候補とされる小池百合子氏について、3年半にわたる綿密な取材に基づいて書いた学術書ともいうべき著作である。石井氏の著書はその正確さと緻密さで高い評価を受けていて、この本も末尾に引用文献をはじめすべての資料を参考文献として載せている。100名を超える人たちに会い、7割強には編集者が同道し8割は録音し、録音が許されぬ場合はノートに取った。テープ起こしは自分だけで行い情報の管理を徹底した。なぜなら多くの人が小池について証言することに躊躇し、怯え、ためらっていたからだという。
小池氏の生い立ちから徹底的に調べ、カイロ大学時代に部屋をシェアして住んでいた日本人女性の話を基に、事実だけを時系列で述べている。さらに政界に進出したあとのことも、詳しく調べ正確に記載している。その結果見えてきたものは「小池さん、あなたは一体なにものですか」ということだった。カイロ大学を首席で卒業したというふれこみで世に出たが、それはありえないという証拠が積み重ねられているが、公人としては致命的だろう。以前からカイロ大学卒業疑惑はあったが、これほど徹底的に調べたものはなく、本当に卒業したのが事実なら小池氏は石井氏を訴えるべきだろう。石井氏によれば、小池氏がよく口にする「崖から飛び降りたつもりで」という言葉の原点は「カイロ大学を卒業した」と言ったことである。それがすべての始まりだったのかもしれない。