「緊急時の対応と母体安全への取り組み」

令和元年9月13日
表題は長いので省略したが正式には「周産期における緊急時(災害を含む)の対応と母体安全へ向けた取り組み」で、岡山大学産婦人科の早田桂講師の講演である。早田講師は10年ぐらい前に広島市民病院に勤めていてその頃はまだ初々しかったけれど、こんな立派な講演をするようになったのかと括目した。周産期の緊急対応はまさに分単位で、少しでも遅れると救える命も救えなくなる。岡山県は岡山大学を中心にいかに素早く確実に対処できるかに取り組んでおり、一定の成果をあげていることをデータで示した。
他施設から母体搬送の連絡があったら3次施設は母体の状態に応じて緊急帝王切開や他の処置の準備をするのだが、大学病院ともなると手術室の準備、麻酔を含め他科の医師の応援の依頼、看護師をはじめスッタフを集めることなど、連絡だけでも時間を要する。これらをいかに正確かつすばやく対処するかを考え、シュミレーションをくりかえし精度を高める工夫を行っている。必要十分な情報を各部署・他科の医師も瞬時に共有できるシステムを作り県内の各施設に連絡周知している。
これらのノウハウは災害時にも応用されるので、他県とも同様な対応ができるように全国的な準備を始めているという。南海トラフ地震は近いうちに確実に起きるらしいが、その際の被害は太平洋側の各県で想像を絶するという。そのことを考えると心底恐ろしい。