平成29年9月15日(金)
子宮内膜症についての講演が2日続けてあった。倉敷平成病院の太田郁子先生と東大産婦人科准教授の甲賀かをり先生である。それぞれ別の切り口からの話で興味深い内容であった。子宮内膜症については診断、治療法の変遷に長い歴史があり、その積み重ねによってかなり克服できるようになったがまだまだ難しいところも多く、さらに努力が続けられている。特に子宮腺筋症は難しい部分があるので、最近東大の大学病院に「子宮腺筋症外来」を開設して難しい症例をフォローしているそうである。
子宮内膜症に最も有効なのはピルだと言われているが、実際に内膜症の有無にかかわらず多くの女性の生理痛の緩和に役立っている。それでもピルを使っているにもかかわらず症状が進行する人もいて、それに対して新しく開発された薬や新たな手術が試みられている。妊娠できる状態を維持することが究極の目的であるが、実はこれが最も難しいのである。
子宮内膜症は子宮内膜が月経時に腹腔内に逆流する、あるいは子宮筋層内に入り込むことが原因といわれているが、妊娠するためには排卵、月経が必須である。月経そのものが内膜症を引き起こし増悪させるわけだから、排卵を止めない限り難しいわけである。早いうちに妊娠、出産を終えてしまえば不妊症のために高い治療費を払わなくてもいいし、内膜症に対する治療も難しくない。そもそも内膜症になる率も減るし一番いいのだけれどなかなかそうはいかないのだろう。難しいところである。