平成29年3月3日(金)
上記の著者・鳥集(とりだまり)氏は医療問題を中心に活動しているジャーナリストで、タミフル寄付問題やインプラント使い回し疑惑などをスクープしてきた。現在も週刊文春などに多数の記事を書いているが、20年近くがん医療の現場を取材し数多くの専門家の意見を聞き、諸外国のデータなども検討した結果、現在日本で行われているがん検診が有用ではなくむしろムダな検査や治療をしてしまう恐れがあることを訴えている。特に芸能人ががんになりがん検診が必要だと訴えると、多数の人が安易に健診を受けてしまいかえって不利益を被ると警鐘を鳴らしている。これは20年以上前から「患者よ、がんと闘うな」「健康診断は百害あって一利なし」と主張している近藤誠医師とほぼ同じ意見であるが、著書の中では近藤氏に対しては一部批判もしていて氏とは別の方向からこの結論に達したと述べている。
いずれにせよこれだけきちんとデータを出しての主張だと反論は難しく、欧米諸国の医療の流れから見てもがん検診や健康診断は止めて希望者のみの任意にするべきだろう。がん撲滅をめざして朝日新聞社が支援して設立された「日本対がん協会」などにも転換期が来ているのではないだろうか。