平成28年5月13日(金)
「治験」とはその薬が有効か、副作用はどうなのかなどを実際に患者さんあるいは健康な人を対象に使用して調べることで、現在医薬品として使われている薬はすべてこの「治験」という段階を経ている。だから医師はほとんどの薬を安心して処方するわけである。
ここで疑問に思うのは、緊急避妊ピルの治験である。そもそも対象は避妊に失敗したかもしれない女性であるからその人たちに、本物の薬と偽薬を無作為に出すことができるのだろうか。妊娠を心配して病院に行ったのに医師から「あなたは緊急避妊薬の治験に協力してくれますか。本物の薬か偽薬かは私もわかりませんが50%の確率で本物の薬が当たると思います」と言われて、協力してくれる人がいるとは思えないからである。日本以外の国では、貧困層の人たちに無料で薬を提供する代わりに治験に協力してもらうということで成立しているというが、健康保険が世界一充実している我が国でこの薬の治験ができるとは思えない。だからこの薬は外国のデータに基づくものだろうが、どうも疑わしい。
実は、緊急避妊ピルに限らず自分から見て疑わしい薬は他にもある。そのような薬は自分からは処方しないが、患者さんが他の病院で処方されていてその薬を希望する場合には、仕方なく処方することはある。もちろん自分の見立てを言っても患者さんが納得しない場合だけであるけれど。