平成27年10月29日(木)
表題は医師で作家の久坂部氏が、自身の父親を在宅で看取った顛末を記した新刊書である。氏の父親も医師であったが医療を信用していないので病院にかかることはほとんどなく、自由気ままに生きた。息子である著者との関係はすこぶる良好で、家族関係が良いことがやすらかな在宅死を可能にしたのだろう。
著者の久坂部氏は大阪大学医学部を卒業後、外科専攻したけれど思うことがあって外務省に入り、日本大使館の医務官となって9年間の海外勤務をした後、現在は高齢者医療にかかわりながら作家活動をしている。筆名は父親の姓と母親の旧姓からとったもの(久家+坂部)だと思われるが、著者の両親とくに父親に対する思いが文章から感じられて本当にいい家族だと想像させられる。氏の祖父母、曽祖父母も(父方も母方とも)病院ではなく自宅で亡くなったそうで、珍しいことである。きっとそのような星のもとに生まれた一族なのだろう。
内容に共感する部分が多く、一気に読んでしまった。