平成27年10月23日(金)
偶然、YouTubeで早稲田大学グリークラブの演奏する「六つの男声合唱曲」を見つけ、その演奏の素晴らしさと曲にまつわるあれこれを思い出し、何とも言えない気持ちになった。この曲は、ショスタコービッチ作曲の無伴奏混声合唱曲「十の詩曲」から、合唱指揮に造詣の深い今は亡き福永陽一郎氏が6曲を選んで男声合唱曲に編曲し、歌詞も原曲のロシア語の詩を日本語に自分で意訳したものを1970年代に東西四連で演奏したのが初めだと思うが、その時に大阪まで聴きに行った合唱団の仲間がテープレコーダーに録音したものを聞いたとき思わず「これだ!」と叫んだ。ちなみに「東西四連」とは早稲田、慶応、関学、同志社の東西4大学の男声合唱団の合同演奏会のことで、東京と関西で毎年開かれていて、そのレベルの高さに一般の大学合唱団はあこがれを抱いていたものである。
当時、大学男声合唱団の学生指揮をするように先任の優れた先輩から言われ、能力もないのに若気の至りで引き受けてしまい大いに皆に迷惑をかけてしまった。合唱コンクールに出場することになり、自由曲を何にするか迷っていた時にこの曲を聴きこれに決めたのである。ただ、曲自体が非常に難しい上に、指揮者の能力がないため散々な出来で、いまだにメンバーに悪かったと反省している。
今回聴いたのは2010年、京都で行われた第59回東西四連の演奏会で、福永氏のお孫さんにあたる小久保氏の指揮による早稲田大学グリークラブの演奏である。その素晴らしさに陶然となり思わず書いてしまった。