ええ加減でいきまっせ!

平成27年9月5日(土)
タイトルは医学雑誌「日本医事新報」に大阪大学病理学教授の仲野徹氏が連載しているエッセイの題名である。「日本医事新報」の歴史は古く、大正10年(1921年)発刊以来、今日まで続く息の長い雑誌で、中電病院に勤務していた頃から読んでいるので、もう20年以上親しんでいることになる。ずっと旬刊だったのが少し前から週刊になっているが、仲野氏が毎週エッセイを載せるようになってもう60回を超えた。毎回、興味深い話や日常感じたこと、氏の専門の世界でのトピックスなどが絶妙の筆致で描かれていて、いつも楽しみにしている。
興味深い本の紹介もあり、最近で最も面白かったのは「病の皇帝「がん」に挑む」で、氏が「これまで読んだ医学・生物学の本の中でベスト3に入る」とまで絶賛していたので早速アマゾンで取り寄せて読んでみた。著者のシッダールタ・ムカジー氏はインド出身の腫瘍内科医で、スタンフォードからオックスフォードを経てハーバードからコロンビアとすばらしいキャリアがあり、この本でピューリッツァー賞を受賞している。これまでに人類がどのように「がん」に挑んできたかあますところなく書かれていて、実に興味深く読んだ。もし仲野氏のエッセイ(仲野氏の尽力で我が国でも翻訳・発売された)を読んでいなければ知らなかったので感謝である。