平成26年10月10日(金)
かつて注目して新刊が出るたびに読んでいた作家は何人もいるが、ある時を境に興味が無くなった作家も少なからずいる。また、人気作家であっても亡くなった後、あっという間に忘れられた人も多い。一時はまっていてほとんどの作品を読んだ作家に「半村良」がいる。SF、伝奇小説の名手といわれていたが、さらりとした人情ものも上手かった。
初期の作品「石の血脈」「産霊山秘録」の面白さにはまって以来、「妖星伝」「太陽の世界」で半村良は天才だと思い、特に「太陽の世界」は新刊が出るたびに買っていたが、ある時期から中断された。結局、再開することなく氏は他界されたので未完のままである。思い出して読み返してみても決して色あせてなく、当時のわくわくした気持ちがよみがえる。
流行作家となって脚光を浴びていたが、亡くなってしまうとすぐに忘れられてしまう作家が多い中、半村良は自分にとっては心に残る作家である。