生理不順は病気ではない?

平成26年6月4日(水)
生理不順で来院される人が多いが、治療の必要なケースは少ない。かつては、生理不順だと妊娠しにくいから毎月生理が来るようにしなければならないと言われていたし、今でもその方針で治療している施設もある。確かに下垂体腫瘍や卵巣自体の異常など治療を要する場合もあるが、ほとんどは排卵自体が遅れる傾向のある卵巣か、ストレスなど精神的な問題によって起きていると思われる。
ストレス、うつ、摂食障害などによるものは、その原因を克服するしかないし、精神科の助けが必要になる。そしてこれらの原因がなくなれば自然に排卵は起きてくる。
排卵自体が遅れる傾向の卵巣をPCOタイプの卵巣(ガイドラインどおりではなく、そのいくつかの条件を満たすものである)と称しているが、このタイプの人の多いこと。排卵→月経は妊娠するために起きているので極端に言うと、年に1回しか排卵がなくても妊娠すれば問題ないのである。現に、ヒト以外の哺乳類は年に1~2回しか排卵しない種の方が多い。そしてPCOタイプの人がこれだけいるということは、生物学的に適者なのである。生物の世界はきびしくて適応能力のない種はすべて滅びている。だから体調に不都合なことがなければ、生理不順があっても治療しなくてもいい。適者に対して医者ごときが手出しをすべきでないという発想の転換が必要である。ムダなことはできるだけしない方がいい。