「解剖学はじめの一歩」

平成25年4月3日(水)
表題は東大医学部の超人気講座をそのまま本にしたもので、13章で構成されており実にわかりやすく簡潔にまとめられたすぐれものである。たまたま見つけて読んでみたがその面白さと内容の深さに脱帽した。
著者は坂井建雄教授で、あの養老孟司教授のあとを引きついで東大医学部健康総合科学科で解剖学を教えて18年、他学部の学生まで聴きに来る超人気講義となり、請われて講義を録音してそのまま本にしたものである。人体の仕組みを簡潔にまとめているが、その背景には膨大な知識と研究成果が感じられ、優れた人は難しいことをわかりやすく説明できるものだと思ったことである。遥か昔、学生時代の解剖学の講義にこのような講座があったら、ちっとも面白くなかった解剖学が好きになっていただろう。人体の関するさまざまな知識の断片がみごとにつながり、人体が動き出すようなそんな気持ちになったに違いない。医療職をめざす人だけでなくそれ以外の人でも必携の書物である。