増崎教授の講演

平成25年3月22日(金)
長崎大学の増崎教授による「いのちの起こりー発生・遺伝・倫理ー」と題した講演があった。ダーウインの進化論から始まって「いのち」についての考えと研究、山中教授のiPS細胞へとつづく流れを説いて面白かった。通常の講演は病気についての治療法が中心で、それはそれで有用なのだが同じような話が多いので食傷気味になる。今回の増崎教授の話は、科学の歴史を追いつつ自身の考えを加えたユニークなもので、ほとんど居眠りせず聞くことができた。
それぞれの時代での生命に関する新たな発見の話を紹介されたが、妊娠中の胎児のDNAが胎盤を介して母胎の血中に入り、母体に影響を与えるという話には驚いた。科学者にとっては常識なのだろうが、知らなかった自分としては生命の流れの不思議さを感じたものである。まだまだわからないことは一杯あるのだろうが、生き物は実にうまくできているものだと思う。何一つムダなものがない。研究すればするほど、巧妙なしくみが解明されることだろう。われわれ産婦人科医は、妊娠という生命の流れにかかわることができて幸せである。