平成24年5月14日(月)
手元にある「国民衛生の動向」最新版によると、母の年齢別出生数の推移に大きな変化が見られる。2000年までは25~29歳の女性の出生数が最も多かったのが、2005年以降30~34歳にシフトしている。さらに35~39歳の出生数も1990年ごろから増え始め、2009年では約21万人になっている。これは30代前半の出生数40万人、20代後半の30万人に次いで3番目に多い。ちなみに20代前半はわずか10万人である。
40代前半の出生数も、以前は数千人だったが1990年ごろより1万人を超えるようになり、2009年では3万人になっている。これらの変化は、ちょうど体外受精(ART)が始まった時期に一致している。元来は卵管が閉塞している患者さんのために開発された技術だったものが、原因不明も含めなかなか妊娠しない人にも使われるようになったからだろう。
マスコミで有名人の高齢出産が報道されると「高齢でも問題なく出産できるんだ」と安心してしまうのも出産の高齢化の原因はないだろうか。太古の昔からヒトは妊娠できる年齢になれば妊娠し、出産し、育てて独り立ちさせた後は死ぬ。そうして世代交代が行われ種としてのヒトは生き延びてきた。妊娠出産は早いほうがいい。