中島義道著「ウイーン家族」

平成22年1月21日(木)
哲学者、中島義道氏の小説「ウイーン家族」を読んだ。中島氏の初小説だそうであるが、今までの著書から想像すると実話としか思えない。
すさまじい夫婦の葛藤があますところなく描写されており、その原因は彼の両親の関係にあることが強く示唆されてくる。それにしても中島氏は実に生きていきにくい人だ。そして、彼の妻も彼の母親も同じように世間では生きていきにくい人たちである。彼の思考過程は共感できる部分もあるが、きっと毎日がしんどいことと思われる。
人はそれぞれいろんな考え方を持っていると思うが、ある出来事に対して自分では想像できないような考え方をする人もいるのだと、改めて思う。