幼児の記憶

平成21年2月13日(金)
人間の記憶はいつごろから残るものだろうか。自分の場合、近所の人に「○○ちゃん、年いくつ?」と聞かれて「満三っつ!」と誇らしげに答えていた鮮明な記憶がある。だから3歳ぐらいからなのかなと思う。
養老孟司氏は阿川佐和子氏との対談で、4歳の時に亡くなった大好きだった父親とのことに触れていたが、臨終のときに涙も出ず悲しいと思わなかった理由が40歳の時電車に乗っている時に突然わかって、急に涙があふれてきたという。
大好きな父親が亡くなることを認めたくなかったので、臨終の際、周りの人たちから「さよならをしなさい」と言われても言えなかったと分析している。そして、父親を早くに失ったことがその後の性格を変えたことも。氏は無意識のうちにずっとそのことを考えていたのだろう。40歳になって初めて父親の死を認めたのである。
作家の南木佳士氏も幼少時に母親を亡くしているが、そのことがどんなに大きなことだったかは、氏の作品からうかがえる。自分は幸いそういった辛いこともなく育ったので、実際のところはわからないが、人間にとって記憶は一筋縄ではいかないものだと思う。