平成20年2月15日(金)
子宮がん検診で異常が認められたためいくつかの病院で複数回検査をしたところ、いずれも異常なしの結果が出たものの心配でたまらず当院を受診された人がおられる。
現在のがん検診システムをはじめ、健康診断システムがある限りこのようなことは起こり続けるだろう。第一に、がんの早期発見は本当にがん死亡数を減らせるのか。第二に健康診断によって本当に寿命は延びているのか。今の医療体制がすべて合理的・科学的であるのか。
医学を学び医師になって多くの経験を積むまでは、考えもしなかったことが見えてくるのはある意味つらいことである。やはり我々の仕事は眼の前の病んだ人を癒すために全力をあげることしかないのだと思う。
将来病気になるかもしれないからと、コレステロールだ、血圧だ、糖尿だ、メタボだと常に脅し続けて、現在どこにも不自由を感じていない人たちを受診させることが本当に正しいのか?正しいというデータがあるのか。以前にも紹介したように、医師が介入してもしなくても寿命は変わらないというデータはあるが…健康診断で少し異常値が出たと知らされて死ぬほど心配して受診される人を見るたびに、意味のないむしろ有害なことはせず、本当に役に立つことだけをするようにしないと医学を学んだ甲斐がないと思うのである。