平成19年11月9日(金)
混合診療は違法だとの厚労省の判断に対して違法ではないという司法の判断がでた。
混合診療禁止というのは、保険診療しているときに健康保険で認められていない検査や薬を使ったら、それまで行ってきた診療の費用がすべて保険外になり全額負担しなければならない、という従来の厚労省の解釈である。今回訴えた男性は、がんの治療のため保険診療に加えてほんの少しだけ保険外の薬を使ったために、すべてを自己負担とされてしまった。そこで弁護士に相談したところ国に勝てるはずがないと断られ、自分だけで書類を作成して訴えて勝訴したものである。これはすばらしいことだ。
国民皆保険制度は世界に誇れる制度で、わが国の医療がWHOで世界一と評価される大きな要因である。だからルールは必要であり厚労省と医師会の混合診療禁止の考えはわかるが、制度を守ろうとするあまり硬直化してはダメである。国民の健康を守るための制度が、逆に国民に過度の負担を与えてどうするのか。ものごとはシンプルに考えればよい。その人の健康を守るためにいちばん良いことは何かと考えて、もし混合診療が必要ならそうすればいい。そして、それを悪用する者に対してはきびしく対処すればいいのである。
どんなに完璧な制度を作っても、制度を悪用するの者はかならずあらわれる。今の制度でも、保険上認められているからとの理由で、必要以上の検査や投薬をしているケースもあるのだ。