父親へのレクイエム

平成19年7月26日(木)
久しぶりに中島みゆきのCDを聞いてみた。初期のアルバム「臨月」の中に「雪」というとても美しい曲がある。「雪 気がつけばいつしか/なぜこんな夜に降るの/いまあのひとの命が/永い別れ私に告げました…」これは彼女が24歳のときに亡くなった父親へのレクイエムだということを最近知ったので、もう一度聞いてみようと思ったのである。ちなみに中島みゆきの父親は北海道帯広の産婦人科開業医であった。発表した当時この曲を聴いた時には、慕っていた恋人を想って作った空想の中の作品だとばかり思っていたが、父親へのレクイエムとわかって聞くと改めてしみじみといい。
昔、ラジオの深夜放送を聴いていた頃、吉田拓郎がパーソナリティをしていた番組で「昨日親父が亡くなりました。歌を作ったので聞いてください」と言ってギターを弾きながら唄ったのが「おやじの唄」で、感動的であった。同じ頃、森本レオの「親父にさようなら」というモノローグの曲も、父親に対する深い愛情が感じられてよかった。津村信夫の詩集「父のいる庭」も読みかえしてみると本人が35歳で亡くなっていることを考えると、いっそうなんともいえないあじわいがある。