岩波明著「狂気の偽装」

平成18年5月31日(水)
早いものでもう5月も今日で終わりである。一ヶ月など瞬く間に過ぎ去ってゆく。
精神科医の書いた「狂気の偽装」という本によれば、「多重人格」「アダルトチルドレン」などの概念は北米を中心とした医学会の説であり、欧州では否定的見解も多いとのことである。さらに、PTSDは唱えられだした当初は「心的外傷症候群」だったのがいつのまにか「外傷症候群」と「心的」が抜けて本来の意味 からはずれたものをマスコミが使っていることなどを書いていて、なかなか興味深く読むことができた。また、フロイトの学説は疑問点が多いにもかかわらず、 いまだに精神医学の世界では影響力があることも述べられており、納得することが多かった。精神の領域は数値化も映像化もできないので、解明が難しい分野で ある。むしろ機械文明のない昔の方が精神については今よりもよくわかっていたのではないだろうか。