「硫酸マグネシウムの児脳保護作用」

令和元年9月20日
表題は宮崎大学医学部附属病院院長の鮫島浩産婦人科教授の講演である。硫酸マグネシウムは以前は子癇発作の治療に使われていたが、近年では早産治療に使われるようになっていて、未熟児の脳を保護する作用があるらしいことがわかってきたという。ただ確実な証拠はなく過去のデータを分析してそれらしいことが示唆されたということである。現在早産予防に使われている塩酸リトドリン(ウテメリン)は脳保護作用はないし早産予防も難しいらしく、いい方法はないということである。妊娠・出産は自然の営みであり、人為的にどうこうできることではない。これはがんと老化にも言えることで、医療が関与できるのはこの自然の営みをできるだけ楽に支えることである。治そうとするから無理があり、かえって苦しめることになるのである。早産も止めることはできないのでその経過を支え、生まれる赤ちゃんを安全に育つようにするだけである。その意味でこの講演を興味深く聞かせてもらった。