妊婦健診の無料化

平成21年3月23日(月)
妊婦健診の無料化が4月から実施されることになった。といっても、完全な無料化ではなく、全額の7割から8割の援助であるが。それでも今までの2割程度の援助に比べればいいことである。とりあえず2年間の時限立法だそうである。
最近の政府は国民全員にお金を配ったり、高速道路を安くしたり、妊婦健診を援助したりしてせっせとお金をばらまいているが、財源は本当にしっかりしているのか心配である。ただ借金を増やして今だけいい目を見させてあとは知らないよ、としか考えられない政策のように感じられる。真偽のほどはあと10年もすればはっきりわかるだろうが、その頃には責任者は引退していて知らん顔だろう。借金を残されたこれからの人たちがかわいそうである。目先の人気取りより、将来を見据えた政策を行ってほしいものだ。きちんと説明すれば多くの人は納得するはずである。

急速に進行したがん

平成21年3月11日(水)
啓蟄を迎えすっかり春めいてきた。今年は例年と比べて暖かい日が続いて、コートを必要とする日がほとんどなかった。これも地球温暖化の影響だろうか。
カルテの整理をしていて、数年前に亡くなられた患者さんのことを思い出した。何年かに一度ずつ子宮がん検診に来られていたが、ある時一目でがんとわかる状態で来られ、すぐに病院に紹介して治療を行ったが1年後に亡くなられたのである。その前に診た時は肉眼的にも異常なく、もちろん細胞診にも異常は認められなかった。亡くなられたことは、お母様が来院されてお話を聞いてわかったのだが、まだ三十代の娘さんを亡くされた悲しみはいかばかりかと思うと、お悔やみの言葉もないぐらいであった。若い人に急速に進行するがんは、定期検診の回数を増しても防げるものなのだろうか。治るがんと治らないがんの違いは、近藤誠氏が言うように、医学では現在のところどうしようもないものなのだろうか。
春めいたおだやかな日だけに一層しんとした気持になった。合掌。

卒業式の仰げば尊し

平成21年3月4日(水)
先日、息子の高校の卒業式にはじめて出席した。上の娘たちの卒業式は出たことがなかったので、まあ最後だし、と思って出てみたがなかなか良かった。校長先生の話もよかったが、送辞が素晴らしくさすがだと感心していたら、答辞はそれを上回るほどのものであった。はるか昔の自分の卒業式の様子はどうだったか思いだそうとしてみたが、あまり記憶にないところをみると感動的ではなかったのだろう。
久しぶりに「仰げば尊し」を一緒に歌ったが、いい歌だと思う。なにより歌詞がいい。文語で七五調の歌詞は文部省唱歌以来聞いたことがないが、「係り結び」など思い出して懐かしいことであった。かつては中国は日本にとって今の米国のようであったから、中国の文章を翻訳して使った訳文が文語だったのではないだろうか。もう今後復活することはないだろうが、子供たちの最後の卒業式だとの思いと重なってちょっとさびしく思ったことである。

サクセスストーリー

平成21年2月28日(土)
同門会誌が届いたので読んでいたら、同門の先輩の文章が載っていた。親の後を継いで小さな医院から始めて、今では全部で1000床を超える病院と療養施設群を作り上げたという話である。まさにサクセスストーリーであり余人にはまねのできない素晴らしいことである。考え方の基本は、他の施設がやってない方向に目を向け、政府の医療政策の先取りをして攻める、引くをはっきりさせて、攻めるときは果敢に攻める、借金をおそれない、というものである。
なんだか他国との戦争みたいな話であるが、企業を大きくするにはそういう争いは必要だろう。でも医療はおしなべて個人的なものであり、大量生産のようなやり方にはなじまず、つぶれたら困るけれども儲かるものではないし、自分としては大きくすればいいとは考えられないしそのような能力もない。目の前の患者さん1人ひとりが少しでも幸せになってくれたら、これ以上の喜びはないので今まで通りこつこつとやっていくだけである。

WindowsVista

平成21年2月24日(火)
パソコンを買い替えたが慣れてないせいか使いにくくて困る。前はWindowsXPだったのだが、朝スイッチを入れて使えるようになるまでに15分はかかっていたので仕方なく新しいのを買ったのである。今度はWindousVistaでどこがいいのかよくわからない。メールもWindowsメールで以前のOutlookとやや勝手が違う。年をとるとこういうのに慣れるのが遅く困ったものである。
パソコンはMS-DOSの頃から一応使っているが、実際必要なのはワープロとメールにネットぐらいで、あとははっきりいってどうでもいいのである。今、そのように簡素化したパソコンを安く売っているそうだが、なかなかのアイデアだと思う。

勘と超音波検査

平成21年2月19日(木)
胎児の超音波診断の講演会があった。妊娠5か月ぐらいになれば心臓をはじめ、いろいろな器官の異常がわかるようになっているが、今回の講演はまだ数センチの胎児(胎芽という)の時からすでに様々なことがわかることを提示していて興味深かった。
いつも超音波で胎芽や胎児を診ていると、なんとなくおかしいと感じたら大概は異常があるようである。その点は、人間の感覚(勘?)は数量化しなくてもわかるのが素晴らしいことだと思う。だから、診察していてなんとも思わない時には異常はないと考えていいのである。もちろん、きちんと測定して数量化して検証するけれど。
超音波検査だけでなく、すべてにわたって感覚(勘)は大切であり決しておろそかにしてはならないと思う。

幼児の記憶

平成21年2月13日(金)
人間の記憶はいつごろから残るものだろうか。自分の場合、近所の人に「○○ちゃん、年いくつ?」と聞かれて「満三っつ!」と誇らしげに答えていた鮮明な記憶がある。だから3歳ぐらいからなのかなと思う。
養老孟司氏は阿川佐和子氏との対談で、4歳の時に亡くなった大好きだった父親とのことに触れていたが、臨終のときに涙も出ず悲しいと思わなかった理由が40歳の時電車に乗っている時に突然わかって、急に涙があふれてきたという。
大好きな父親が亡くなることを認めたくなかったので、臨終の際、周りの人たちから「さよならをしなさい」と言われても言えなかったと分析している。そして、父親を早くに失ったことがその後の性格を変えたことも。氏は無意識のうちにずっとそのことを考えていたのだろう。40歳になって初めて父親の死を認めたのである。
作家の南木佳士氏も幼少時に母親を亡くしているが、そのことがどんなに大きなことだったかは、氏の作品からうかがえる。自分は幸いそういった辛いこともなく育ったので、実際のところはわからないが、人間にとって記憶は一筋縄ではいかないものだと思う。

整理すれば

平成21年2月5日(木)
2月になったが結構暖かい日が続いている。パソコンの買い替えを機会に机の上の整理をしてみたら、必要な書類や冊子が半分になってしまった。机に置いているものは特に必要ものだけにしているつもりだったが、実際にはもう必要なくなっているものや、別の場所に移しても構わないものが大半だった。
今、家のほうもリホームのための片づけをしているが、不要物の多いこと!押入れの中に入れているものの大半は、整理できることがわかった。
この機会にクリニックの書類などの整理をしてみよう。どれくらいの不要物が出てくるか怖いが、大いにすっきりすることだろう。

妊婦健診の補助が増える

平成21年1月31日(土)
妊婦健診の補助金が増額されることになった。少子化対策の一環として舛添厚労相が「妊婦健診は無料にする」と大見得を切ったが、この国会で補正予算が成立したので2月には正式に額などが決まる。予算が決まり、分娩数がわかれば一人に補助できる額がわかるのだから、回数や検査内容などは産婦人科医会を信用して、まかせてくれればいいと思うがそうもいかず結構こまかく規制してくるようである。計算してみたが、本来の費用には少し足りないようだ。多分産婦人科が少しかぶるようになるのではないだろうか。
先日、広島市の担当の人たちとの会合でこちらの要望を伝えたが、予算がすでに決まっているのでいい感じで話し合えた。昨年は、かなり強く要望を伝えたが大筋は変える事ができなかったし、5枚の補助券の額が毎回異なっていて、あまりの煩雑さに不満続出だったので、そのことも含めて伝えておいた。きっと今年は良くなるものと思われる。やはりきちんと要望を伝えないと、妊婦さんも我われ医療従事者も迷惑する。

優れたリーダー

平成21年1月26日(月)
今の政治家には2世3世が多い。我が国のリーダーである首相も多くはそうである。2世3世が悪いとは言わないが(言っている?)、地盤もお金もなく自らの才能と努力で政治家になって成功している人達のパワーはなんとすごいことか。故田中角栄元首相、石原慎太郎知事、橋下知事、東国原知事、他にもそれほど目立たないけれども立派な人は結構いる。
このところ2世3世の歴代首相が皆自滅しているので、国民には能力のあるリーダーを求める気持ちが高まっていると思われる。国に対して大統領ほど強い権力を持たなくていいが、せめて知事が県に対して持っているぐらい力を持たせるような制度を作って、納税者による国民投票で選んだらどうだろう。きっと今よりはるかに優れたリーダーが現れるのではないだろうか。