高橋名人のそば

平成22年8月24日(火)
先日、久しぶりに豊平の「雪花山房」で高橋名人のそばを食べた。ここはそば打ち一筋で全国を回ってそばを広めている高橋邦弘氏が、土・日だけ、それも11時から14時まで不定期に営業するそば屋である。そばは「ざる」のみ、ビールを注文するとそばみそがつくが、それ以外のメニューは一切なし。場所も不便だし店内は15席しかないにもかかわらず、いつもたくさんの人が待っている。他県からの客も多い。そばを食べた後に出るそば湯がまたうまい。仕上げに「水」を頼むと、天然の湧水を出してくれる。これが絶品である。
広島市内には高橋名人の流れをくむ「はっぴ」というそばの名店があるが、ここはつまみもいい品が揃っていてよく利用させてもらっている。総合的に見てこの店は全国でもトップクラスではなかろうか。でも高橋名人のそばを味わうと、背筋がピンとするように感じるのは自分だけではないだろう。

夏の終わり

平成22年8月18日(水)
お盆も過ぎて心なしか日差しが柔らかくなったように感じるが、暑さは一層きびしくなっている。夏の終わりはもう始まっていて、秋の気配があることを本能が教えてくれている。子どもの頃、夏休みの終わりに感じていた物悲しさがよみがえってきたようだ。
数学者藤原正彦氏の対談集「日本人の矜持」を読んで、あまりに面白かったので「若き数学者のアメリカ」「遥かなるケンブリッジ」を読み返しているところである。これらを読むと、やはり日本に生まれて本当によかったと思う。昨今のわが国の自信のなさや、首相をはじめ政府首脳の近隣諸国への卑屈なまでの態度に怒りを超えて悲しみさえ覚えていたが、少しほっとしたところである。

二日酔い

平成22年8月12日(木)
今日の診療は午前中のみで、13日(金)14日(土)は盆休みである。木曜日の午後の休診は実に貴重で、歯医者に行くのも銀行や公的機関などに行くのも、この時である。今は歯科と内科と外科にかかっているが、加齢により体にガタがくるのは仕方がないとはいえ困ったものである。
まあ、外科は静脈瘤の手術も終わり、そろそろ運動もできそうだし、歯もほとんど終わった。あとは高血圧だが、これはしばらくは薬を飲まざるを得ないだろう。そういいながら夜は飲み会で大酒を飲んでしまった。久しぶりの二日酔いである。まだまだ大丈夫か?

静脈瘤の手術

平成22年8月10日(火)
手術も無事に終わりすっきりした気分で診療している。逓信病院のS医師は母校の後輩であり腕のいい外科医である。ながいこと困っていた静脈瘤が一挙に改善され、しかも手術の翌日には尺八の練習会にも参加できるほど痛みもなかった。こんなことならもっと早く治療してもらうのだった。
どの分野でもエキスパートになれば病める人を救うことができる。医師の仕事も色々わかれているが、この分野ならまかせてくれ、という技術を持つことは大切である。そういう医師でなければ、患者さんも自分の体を託せるはずがない。幸い今までも、今も、かかってきた医師はエキスパートばかりでありがたいことだと思っている。

暑い日が続く

平成22年8月4日(水)
それにしても暑い日が続く。クーラーがなかったらとても我慢できないだろう。とくに街中はクーラーの排気熱も多く、いっそう暑い。
名古屋市長の河村たかし氏の「この国は議員にいくら使うのか」という本によれば、わが国の議員がいかに優遇されているかよくわかる。それを変えようと現在、名古屋市で孤軍奮闘している氏の様子が少し前にみのもんたの「朝ズバ」で報道されていた。議員にしてみれば収入を減らす法案には強硬に反対するだろうから、文字通り孤立無援のように見える。
河村市長には大いに頑張ってもらいたいが、正しいこと・合理的なことを貫くのは本当に難しいことだろう。健闘を祈りたい。

手術日が近づく

平成22年7月31日(土)
7月も今日で終わりである。スタッフから「手術の日が近づきましたね」と言われ、来る8月6日の下肢静脈瘤の手術のことを思い出してしまった。
去年ごろから悪化していよいよ手術しか改善の方法はないことが分かっているので、仕方がないとはいえあまり愉快なことではない。まあ術後には気持ちよく走り回れることを望みにして手術に臨もうと思う。年をとれば体の色々なところにガタが来るのは仕方がない。というわけで8月6日と7日は休診です。今のうちにおいしいものを食べておかなくては。

山本七平氏の本

平成22年7月26日(月)
自宅の押し入れにしまっていた本を整理していたら、山本七平著「私の中の日本軍」が出てきた。かつて氏の著書「日本人とユダヤ人」に感心して以来、「ある異常体験者の偏見」「日本教について」など熱心に読んでファンになっていたが、ベストセラーになった「日本人とユダヤ人」について批評した浅見定雄著の「にせユダヤ人と日本人」も名著であると感服したことなどを思い出した。
「私の中の日本軍」はいま読み返してみても、よくこれだけ過去のことを覚えているものだと驚嘆する。同じ体験をしても、それをどのようにとらえているかは個人個人で違うとおもうが、山本氏のとらえ方はすごいものがある。さすがに一世を風靡しただけのことはあると、しみじみ思った次第である。

通勤には楽チャリ

平成22年7月21日(水)
全国に水害をもたらした梅雨が明けたと思ったら、連日の猛暑である。通勤にはあいかわらずアシスト自転車を使っているが、ありがたいことにほとんど汗をかかない。やはりアシスト自転車は「楽チャリ」という名にふさわしい。
スポーツとしてのサイクリングをやっている人からは「アシストなんかやめてスポーツサイクルをやれば」と言われるが、下肢静脈瘤が悪化しているので力を入れてペダルをこぐことができない。来月、手術を受けるつもりなので治癒した暁にはそうしてもいいが、でも一旦楽をしてしまったのでアシストを止めるのは無理だろうな。自分の性格からいって、高校時代にこんな自転車があったら片道10キロの通学に使っていたことだろう。

低用量ピルの処方

平成22年7月12日(月)
当院では多くの人にピルを処方しているが、ピル処方のための定期健診は患者さんの負担になるので、できるだけ少ない回数で行うようにしている。
低用量ピルがわが国ではじめて使われるようになった頃は、厚労省の指導で3カ月ごとに検診しなさいということだった。これは諸外国ではありえない慎重さで、どう考えても使用者を心配してというより、何かあったらピルを承認した責任を追及されたくないという厚労省の姿勢が感じられた。これらの負担は全部患者さんにかかってしまう。それで当院では私の責任で1年に1回行うようにしていた。
その後、安全なことがより明らかになったためか、厚労省の指導は1年に1回でよいことになった。その頃、当院では問題のない人はもっと間隔をあけてもいいのではないかと、ケースバイケースで検討していた。その結果、2年以上検診していないケースも出てきたので、検診の間隔が長すぎる人にはこちらから勧める場合も多くなってきた。
ところが検診を勧めると「近くの医院でもう済みました」という人もいて、当院ができるだけ患者さんの負担を少なくしようとしている気持が伝わっていないのだと、なんだかなと感じることがある。ピルを処方しているのだからそれによる効用および副作用を検証する責任があるが、そのための検診をできるだけ少なくしてあげたいという真意が伝わっていないと思うのである。

バラマキ行政

平成22年7月5日(月)
子宮がんのワクチン無料化を公約にしている参議院選挙の候補者が何人もいるようだ。
これこそバラマキ行政の最たるものである。優先順位からいえばもっと有効な医療政策はいっぱいある。たとえば子宮がん検診と婦人科検診の無料化に必要なお金は、高価で効率の悪いワクチンよりはるかに安く有用である。女性の病気は癌だけではない。子宮筋腫、内膜症、卵巣腫瘍、不妊症、性感染症などたくさんあるが、子宮がん検診はまさに「子宮がんの検診のみ」である。少なくとも超音波検査を併用しないとこれらの疾患をきちんと診断することは難しく、現在の検診ではこの検査は必要ないことになっている。
子宮がんが予防できるなどと言うが、じつに疑わしい。ある程度は有効であったとしても、それにかかる費用をだれが負担するのか?ワクチンを製造している外国巨大製薬会社の強力な働きかけで、公費負担で接種している国もあるようだが、もう少し考えた方がいいと思う。借金が増えまくっているわが国で、もっと優先すべきことはほかにあるだろう。