優良運転免許証

平成29年10月27日(金)
木曜日の午後に5年ぶりの運転免許証更新に免許センターへ行った。うまいぐあいにむだなく手続きができたので、今までで最短の滞在時間約45分で新しい免許証を手にすることができた。今は優良免許証になっているので講習時間は30分で済むからである。
開業して20年になるが、開業までは毎日車を運転して病院に通っていたし、夜中に病院に駆けつけることも多かったので違反切符を切られることもあった。そのために免許証の更新は3年毎で、優良が取れそうになった頃つい油断して駐車違反を取られたり、シートベルトが義務付けられたときには「そんなことは自己責任だから」と無視してつかまったりしたこともある。
開業してからは通勤はバスか自転車にしたので車に乗るのは休日だけになった。必然的に違反する確率が減るのでいつのまにか優良免許証になったわけである。考えてみればペーパードライバーも優良なわけで結構いい加減だが、おかげで更新手続きが早く済むのはありがたいことである。

最近の昼食(3)

平成29年10月20日(金)
最近の昼食事情は平成26年7月に記載した時と比べて大いに変わってしまった。でも実際にはレギュラーの店2つに行かなくなっただけではあるが自分の中では大きな変化である。一つには歳と共に好みが変わってきたこともあるが、行きつけの店がなくなったり内容が変わってきたことも影響している。脂っこいものよりあっさりしたものがよくなってきているし、量も多くは食べられなくなっている。NHKの「サラめし」という番組では「あの人も昼を食べた」というコーナーで、今は亡き有名人の通った店と料理を紹介しているが、その人となりが感じられて興味深い。やはり「食」はだれにとっても大切なことなのである。
いま通っているのは「天甲(てんぷら)」「讃岐屋(うどん、他)」「菊屋(とんかつ)」「こけもも(洋食)」「中屋(あなご炭火焼き丼)」「海風道(ラーメン)」「とくみ鮨」などであるが最近は「太閤うどん」にも行くようになった。県病院の近くにあった人気店が中町に進出してきたもので、カルボナーラうどん、キーマカレーうどんなど色々試みているようで面白い。どの店でも注文するものはほぼ決まっていて自分でも保守的だと思うが仕方がない。新店開拓のためのアンテナは張っているが、これはと思う店はなかなかないものである。

京都・国宝展

平成29年10月13日(金)
連休を利用して久しぶりに京都に行ってきた。国立博物館で国宝展が開かれているからである。我が国で国宝に指定されている美術工芸品は現在885点あり、そのうちの4分の1にあたる200点が今回公開されるという、まさに奇跡的なことで大いに楽しみにしていたが、期待に違わず実に見ごたえがあった。中でも俵屋宗達の風神雷神図屏風の実物にはしばらく見とれてしまった。他にも縄文時代の土偶(縄文のビーナス)や土佐日記(紀貫之の自筆本を藤原為家が一字も間違えず写し取ったもの)、桃山時代の志野茶碗などよくぞこれだけの品を集められたものだと感心したことである。
開催最初の日曜日だったこともあり会場は長蛇の列で、館内に入って見学できるまで1時間以上はかかっただろうか、見終わって会場を出るときも依然として多くの人が並んでいた。夜は「御幸町田がわ」で板前料理、翌日は市バスで寺院巡り、夕方予約していた「辻留の弁当」を受け取って帰広、今回は思ったほど混んでなくて快適な京都行だった。

無痛分娩に思う

平成29年10月6日(金)
今日の新聞に、無痛分娩の際の麻酔ミスにより妊婦が死亡したとして大阪府の産婦人科医院の院長が業務上過失致死容疑で書類送検されたという記事が載っていた。そういえば少し前にも京都でも同じようなことがあり、夫が医院に対して莫大な金額の損害賠償請求をしているという記事もあった。
昔から「お産」は女性にとってまさに命がけの大仕事で、我が国でも70年前は600人に1人は母体死亡があったのである。当時は田舎では家に産婆さんを呼んでお産をするのが普通で、病院でのお産は少なかったこともあるだろうが「お産」とは本来何が起きるかわからないものであることは、産婦人科医なら肝に銘じていることである。今は母体死亡は20000人に1人になったが命がけであることに変わりはない。欧米では無痛分娩が結構行われているようであるが、我が国では6%でまだ少数である。「お産」という自然現象に伴う「痛み」はヒトが許容できる範囲内であるはずである。そして「痛み」はこれ以上だったら命が危ないよと知らせてくれる指標でもある。それを麻酔でなくすることがいいこととは思わない。もし無痛分娩をしたいのならその危険性を納得してするべきで、医師の側も万全の態勢で行わないといけない。そうすると高額になるのは必然でそうでなければ安全にできるはずがない。
「お産」がどんなに危険ととなり合わせか知っておいてもらいたいと産婦人科医は思っている。そしてどんなに技術も持ち誠意をつくしてもうまくいかないことがあることも。

技芸審査会

平成29年9月29日(金)
あいかわらず下手な尺八を吹いている。先日も小さな発表会で一曲吹いたが、人前で吹くのは自分の実力がわかっているだけに冷や汗ものである。師匠は人前で吹くことが上達に一番役に立つと言われるのだが、自分としてはたいしてうまくもないのに人に聞かせるのは迷惑以外にないのではないかと思うので躊躇するのである。だれでも下手なカラオケを聞かされるほど嫌なことはないだろう。そうはいっても上手くなるまで待っていたら一生人前では吹けないことになる。そのあたりが微妙に難しいのである。
11月に大阪で師匠の属する流派の審査会があり、広島からも何人も出場するらしい。自分も今回初めて出る気になったので課題曲の練習を始めたところである。審査会では出場者の出来栄えを審査し順位付けをするというが、出演者の中では技術も経験も下の方だと思うので最下位にならなければいいが。まあ、会場の雰囲気だけでも味わって来ようと思っている。

週刊誌の反医療キャンペーン

平成29年9月22日(金)
今から20年以上前に当時慶応大学医学部講師だった近藤誠氏が「がん」の治療についての目から鱗が落ちるような論文を発表して以来、多くの医師たちが現在の医療の矛盾した部分や過剰な検査・治療などについて声をあげるようになった。医療には限界があるのに治そうと頑張るあまり、知らず知らずのうちに患者さんに不利益しか与えないような検査・治療を行ってしまうことに対する警鐘を鳴らすという意味で大切なことである。なにしろ西洋ではかつて麻酔のない時代に乳がんの治療のために、両手足を押さえつけて患部を切り取り焼きごてを押し付けて止血している絵が当時の教科書に載っているのである。当時は遅れていたからだと笑って済ませられることではない。今も形を変えて同じようなことが行われていないとはいえない。
そのような医学の陥りやすい行為に対して最近では週刊現代や週刊ポストなどが反医療キャンペーンを行っている。言い過ぎの部分もあるが納得するところもありいいことではないかと思っている。今月に入って週刊新潮が漢方薬、製薬会社ツムラに対するキャンペーン「漢方の大嘘」を始めた。漢方薬については医学部で講義が一切なかったのにいつの間にか保険薬になってしまったので、医師になってすぐに自分で勉強してみたが、今の漢方は本来の漢方ではなく漢方薬を処方するためのものになってしまっていると思った。我が国では漢方は女性に人気があるが、この先どうなるか注目している。

子宮内膜症の講演

平成29年9月15日(金)
子宮内膜症についての講演が2日続けてあった。倉敷平成病院の太田郁子先生と東大産婦人科准教授の甲賀かをり先生である。それぞれ別の切り口からの話で興味深い内容であった。子宮内膜症については診断、治療法の変遷に長い歴史があり、その積み重ねによってかなり克服できるようになったがまだまだ難しいところも多く、さらに努力が続けられている。特に子宮腺筋症は難しい部分があるので、最近東大の大学病院に「子宮腺筋症外来」を開設して難しい症例をフォローしているそうである。
子宮内膜症に最も有効なのはピルだと言われているが、実際に内膜症の有無にかかわらず多くの女性の生理痛の緩和に役立っている。それでもピルを使っているにもかかわらず症状が進行する人もいて、それに対して新しく開発された薬や新たな手術が試みられている。妊娠できる状態を維持することが究極の目的であるが、実はこれが最も難しいのである。
子宮内膜症は子宮内膜が月経時に腹腔内に逆流する、あるいは子宮筋層内に入り込むことが原因といわれているが、妊娠するためには排卵、月経が必須である。月経そのものが内膜症を引き起こし増悪させるわけだから、排卵を止めない限り難しいわけである。早いうちに妊娠、出産を終えてしまえば不妊症のために高い治療費を払わなくてもいいし、内膜症に対する治療も難しくない。そもそも内膜症になる率も減るし一番いいのだけれどなかなかそうはいかないのだろう。難しいところである。

「うなぎ」浅田次郎編

平成29年9月8日(金)
カープの対阪神3連戦はすべて逆転勝利となって、今日は雨も上がりさわやかな秋晴れで気持ちがいい。
表題は10人の作家、歌人による「うなぎ」をモチ-フにした作品集である。歌人の斎藤茂吉は特別にうなぎ好きだったそうで、息子の北杜夫も茂吉のうなぎ好きについてエッセイで紹介している。ちなみに茂吉が生涯に食べた蒲焼きの回数を調べて書いた書物(文献 茂吉とうなぎ)まであるほどで、1万8千首の歌を詠んだ大歌人はうなぎについての歌をいくつも詠んでいる。他にも井伏鱒二をはじめそれぞれの作家のうなぎに対する思い入れが文章から感じられ、読んでいて大いに共感を覚えうなぎが食べたくなった。
うなぎの蒲焼きは米飯とまことに相性が良く、日本人の食文化の結晶といっても過言ではないと思う。ふるさと納税の返礼品ではうなぎのかば焼きは上位の人気である。自分は「うなぎ屋たむろ」の蒲焼きが好きで手軽に食べられるので重宝している。最近、食べログで東区光町に新しくできたうなぎ屋を見つけた。かつてそごうにあった「伊勢定」に勤めていた人が広島に帰って開いた店だそうで早速行ってみた。この店「うなぎ川誠」は伊勢定をほうふつとさせるふわっとした食感と焼き加減で、たれも甘すぎない実に結構なうなぎだった。また行こうと思う。

秋は最高の季節

平成29年9月1日(金)
今日から9月、昼間はまだ日差しが強いけれど、朝夕は涼しくなって秋を感じさせるようになった。1年の3分の2が終わり今年はあと4ヶ月になったわけである。まことに月日の経つのは早いもので、新年を祝ったのはついこの間だったような気がする。
以前にも書いたが、この季節になると盛りの夏が終わってしまったものがなしさを感じる。そして「階前の梧葉已に秋声」と思わず口ずさんでしまう。けれど、そのうちに暑からず寒からずの最高の季節、豊穣の秋を迎える喜びに「天高く馬肥ゆる秋」と唱えることになる。これは自分にとって毎年行われる行事のようなものだが、7月後半ごろからの胃部不快感もなくなりアルコールもいっそうおいしくなった。うどんをメインにしていた昼食も従来のサイクルに戻し始めているが、油断は禁物である。すぐに飲み過ぎ食べ過ぎで胃をやられるのはいつものことだから。
なにはともあれ秋を楽しんでいきたいものである。

同門会名簿

平成29年8月25日(金)
母校の岡山大学産婦人科同門会の名簿が毎年送られてくるが、10年単位で見ていると会員の動向が良くわかる。現在400名以上の会員が在籍しているが、医師になって3年目の会員から高齢の大先輩まで多数の会員が卒業入局年度が古い順に載っている。
物故会員も毎年増えているが、明治27年卒業の先生が最も古く、昭和63年卒業の先生が最も若い。いずれ自分もこの欄に載るようになるのだろうが、若い人が載っているのを見るのはいい気がしない。もっと人生を全うしたかっただろうと思いをはせるのである。
開業している先生方を除いては10年も経つと勤務先もずいぶん変わっていて、定年退職した先輩たちもみられる。10年前と最も違ってきたのは、医局を辞めてしまった元会員数が29人から53人に増えたことである。以前はよほどのことがなければ医局を辞めることはなかったのだが、昨今はそうでもないようだ。医局制度そのものが衰退してきているのだろう。諸行無常である。