中絶よりもピルを

平成18年8月23日(水)
今月の前半には中絶手術を希望する人が多かった。いろいろ事情はあるのだろうが女性にとっては心身ともにつらいことである。いつも処置後1週間目に来院し てもらい順調に回復しているかを確認することにしているがその際、ピルについて必ず説明するようにしている。何人かに一人はピルを飲んでみようと思われる ようで、実際に使ってみて気に入ってくれる人が多い。
女性は避妊については自分でコントロールすべきで、男性にまかせるのはどうかと思う。やはり自分の身は自分で守らないと、男性は女性の大変さがわかってい ないのである。中絶で傷つくのは女性であり、安全なピルという方法があるのだから考えてみてもいいのではないだろうか。ピルには避妊以外に生理痛の緩和や 生理周期の安定、過多月経の改善など副効用があり、むしろこのために飲む人の方が多いのである。

藤沢周平と鮨

平成18年8月19日(土)
時代小説には秀逸なものが多く、最近は藤沢周平の作品を読んでいる。文章は簡潔でリズムがよくすっきりしている。たとえれば、「とくみ鮨」の鮨を食べたよ うな味わいがある。「とくみ鮨」はクリニックの近くにある小さな鮨屋であるが、透明でいて芳醇な鮨を食べさせてくれる店である。時代小説も鮨も日本独特の 文化であるが、いずれもすばらしいもので日本に生まれたことを感謝しながら味わって行きたいものである。

休み明け

平成18年8月17日(木)
今日から診療開始である。今回の休みは墓参り以外は特に何もせずごろごろしていたが、一日だけ下関長府の割烹旅館「古串屋」にうにを食べに行った。あとはクリニックの カーテンの替えとエアコンの掃除などであっという間に休みは終わってしまった。病院勤務のころは休みが本当に貴重であり、いかに有意義に使うかが大切で あったが、今は夜のお産に起こされることがなくなったのでそれほどでもなくなった。
今日は休み明けなので半日とはいえ患者さんが多かった。またこころ新たに頑張ってやっていこう。

母の初盆

平成18年8月12日(土)
今日からお盆であるが今日は診療している。明日から4日間休みになる。
今年は母親の初盆である。早いもので亡くなってもう半年以上になる。何だか遠い昔のように感じるのはなぜだろうか。人は必ず死ぬが、その人のことを覚えて いる人がいる限りまだ死んだことにはならない。だれも思い出してくれる人がいなくなってはじめて死ぬのだという。今年の盆は田舎に帰り、物心ついてから亡 くなった身近な人たちを想いながら静かに過ごそうと思う。

猛暑

平成18年8月8日(火)
猛暑である。特に街中は暑い。クーラーの稼動と車の数、コンクリートなどで外気温は郊外に比べて数度は高いと思われる。今日などは一雨来れば随分涼しくなるだろう。そう思っていたら夕方雨が降ってきた。
このところ何か足りないと思っていたら、尺八を吹いていないことに気付いた。いまはそれどころではないが、そのうち落ち着いてきたらまた吹いてみたいものである。

看護婦さん募集

平成18年8月4日(金)
看護師さんを募集してもなかなか反応がない。本当にいないのだろうか困ってしまう。今回の状態はまさに想定外であったが、一番おきてほしくないときに異常 事態が発生するのものである。そのための保険を二重三重にかけておかなければとしみじみ思った。一見むだにみえることにも意味があるのである。我々のよう な極小組織でもこのようなことがあるとすれば、大きな組織ではどれほど多く起こり得ることだろうか。公務員などにむだをなくすようにしなさいという風潮が あるが、効率よくすることは大切だがやはり保険とも言うべき一見むだと思える余裕も必要なのではなかろうか。

猛暑に続いて

平成18年8月1日(火)
やっと梅雨が明けたと思ったら焦熱地獄の如く暑い日が続く。今年の天候はどうなっているのだろうか。国内の政治経済も不透明だし、世界情勢に至っては特にわが国周辺についてはどうなるか実に不安定な状況である。
当院も看護師さんの退職などで実に困っている。ずっと勤めてくれていた人が退職したとたんに別の人が事故で入院した。いったいどうしたらいいのか。まさに一寸先は闇である。気を取り直して頑張っていくしかないが、何が起きるかわからないのが人の世であるとしみじみ思う。

治療法の変遷

平成18年7月29日(土)
医療にも流行があり、当時はやっていた治療法だったけれども効果がないことがわかったり、もっと優れた治療法ができたためにすたれてしまったものも数多く見られる。
たとえば子宮後屈に行われていたアレキサンダー手術。かつては生理痛、腰痛の原因は子宮後屈にあるといって後屈を治す(子宮を支えている靱帯を引っぱりあ げるだけであるが)手術を行っていた。私が医者になった頃はまだ少しは行われていたが、後屈と腰痛は無関係と言われるようになってからは、あっという間に だれもこの手術をしなくなった。ではそれまでに手術をされてしまった患者さんはどうなのだろうか。後遺症などの実害はほとんどない手術とはいえ、そのため に入院した時間および手術をうけるストレスおよびお金はむだになったのである。
無論、当時は世界的にその治療法が正しいと信じられていて、欧米へ留学して彼の地で行われている治療法を学んで帰った優秀な先人が我が国に紹介し、広まっ ていったのだろう。そのことをあしざまに言うことは決してできない。なぜなら現在正しいと思われて行われている治療の中には将来になって無駄、あるいは間違った治療法であることがわかってやめてしまうものが必ずあると思われるからである。だからといって目の前に苦しんでいる人がいても、なにもせず手をこま ねいているわけにはいかない。だからいつも心がけておくことは、この検査は本当に必要なのか、この薬は出さなくても良くなるのではないのか、本当に手術を した方があらゆる点から得なのか、などを常に自問しながら謙虚に治療することである。

風水害

平成18年7月24日(月)
このところ雑用が多く日誌をさぼっていたが、ちょっと落ち着いてきたのでぼちぼち書いていくことにする。
梅雨がなかなか明けず各地で大雨が降っている。土砂崩れなどで何人もの人が犠牲になって気の毒なことである。昔から地震かみなり火事おやじ、といってどう しようもなく恐いことの上位は自然災害であった。「おやじ」の方はちっとも恐くなくなった昨今であるが、風水害は思いがけないときに起きるので実に恐いも のである。水がないと作物は育たないがありすぎても困る。日本は台風の被害も毎年多いが、地理的に大陸の端に位置していることと、きびしい日本海のおかげ で外敵から守られてきたことも事実で、いいこともあれば悪いこともあるということである。

妊娠に気付かない?

平成18年7月19日(水)
女性が妊娠していることに気付かないことが本当にあるのだろうか?
妊娠女性を診察するのはいつものことだが、妊娠の事実を告げると「えっ!うそでしょう」と心底おどろく人がいる。そういう人には超音波の画像を見せながら 説明するが、妊娠の画像を見てもなかなか信じられない様子である。ほとんどの人は生理が遅れてつわりが始まったりして妊娠かなと思っているのでやっぱりそ うかという反応なのだが、たまになかなか納得されない人がいるのである。中には妊娠5ヶ月で胎動があるのに妊娠に気付かず、それを指摘すると驚く人もい る。
こんな時に思うのが、本当に気付かないのか、うすうす気付いていても認めたくないのかどうなのかである。妊娠初期なら気付かないこともあるかもしれない が、妊娠中期まで普通の女性が妊娠に気付かないのは不思議である。以前四国の病院に勤めていた時、「お腹が痛い」とのことで内科を受診して妊娠のようだか らと産婦人科にまわされてきた人は、妊娠9ヶ月の終わりで遠からぬうちにお産になったが本人は知らなかったと言う。本当に気付かなかったかいまだ疑わしい が本人がそう言うのだから仕方がない。実際のところどうなのか謎である。