日付別記事一覧 2025年9月19日

「日中外交秘録」

令和7年9月19日
表題は在中国大使として活躍していた垂秀夫(たるみひでお)氏の回顧録で、「中国が最も恐れる男」との帯がついた文芸春秋読者賞を受賞した著書である。垂氏は京都大学法学部を卒業後外務省に入り、チャイナスクールで一貫して中国・台湾にかかわってきた。2,023年退官後は立命館大学教授で活躍している。
これを読むまではチャイナスクールの人たちは中国に何を言われても言い返せない、弱腰ばかりだったり手なずけられたりなのかと思っていた。政治家も中国詣でをする人が多く、現在の中国は日本を不当に貶めてばかりしていることが大いに不満だった。垂氏の一貫した強い志と、中国の要人や裏要人などとの人脈をつくり、日本と中国が今後どのように付き合っていくかを歴史的に俯瞰して見据えながらの回顧録はじつに面白かった。目からうろこが何枚も落ちた。。
文章が滑らかで読みやすいのは聞き手・構成の城山英巳(しろやまひでみ)氏のおかげだろう。日本と中国は歴史的には日本にとって切っても切れない間柄である。今はいい関係ではないが、先のことはわからない。つねに先を見据えて戦略を立てて行かないと日本のためにならない。政治家には特に読んで欲しいと思った。