月別記事一覧 2025年7月

「四十年の真実ー日航123便墜落事件」

令和7年7月17日
表題は以前にも紹介したノンフィクション作家・青山透子氏の集大成ともいうべき最新作である。氏の記述は証明できるものと事実のみを調べ、時系列に沿って記述し、その中で矛盾することがあれば徹底的に調べ、膨大な時間を使って真実を追求しようとしていることがわかる。この姿勢は故森永卓郎氏も絶賛していたが、これらはすべて日航123便に乗っていた客室乗務員時代の同僚と何の罪もない乗客合わせて520人の死への弔いのために青山氏が40年に渡って声を上げ続けている魂の書ともいうべき作品である。
日本航空は墜落した123便の生のヴォイスレコーダーを絶対に公表せず、事故調査委員会も相模湾に落ちた尾翼を探すこともしない。それらを調べれば真実はわかると思われるが決してせずうやむやにしているだけである。遺族は真実が知りたいのである。たとえどんなに理不尽なことが行われていても、真実を公表して謝るべきところは謝り、責任を取るべきところは責任をとることが人間として必須のことだろう。遺族の中にも納得できなくて最高裁まで追求した人もいたが、突然裁判官が変わり差し戻しになったこともあった。
この重大事故を明らかにしないままでは、信義を大切にしてきた日本は終わってしまうのではないだろうか。

「天路の旅人」

令和7年7月10日
表題は沢木耕太郎氏の作品で、第二次世界大戦の末期に中国大陸奥地まで密偵として潜入した西川一三氏の8年に渡る旅を克明に描いた力作である。
25年前に沢木氏は「秘境西域八年の潜行」を書いた西川氏に興味を持って、当時盛岡市で化粧店主として人生を全うしていた西川氏に会いに出かけた。そして淡々として生きている西川氏の人柄に惹かれ、毎月盛岡に行き夕方から3時間くらい酒を飲みながら語り合ったのである。それは1年以上続いてほぼ全行程を聞き終えたけれど、文章にするには何か踏ん切りがつかずそのままになっていた。ある日、週刊誌の「墓碑銘」の欄に「中国西域に特命潜行 西川一三さんの不撓不屈」という記事を見つけ、家族に連絡して線香ををあげに行くことにしていたが、いくつかの偶然が重なって会うことができなかった。それから数年後に家族に会うことができ、話を聞くことができた。西川氏の書いた生原稿も見つけることができたので、氏の話と照らし合わせながらその旅を克明に再現したのが「天路の旅人」である。
沢木氏の綿密な調べとわかりやすく魅力的な文章で一気に読ませてもらった。次はどうなるのだろうという、自分も旅をしているような気持にさせられる素晴らしい作品である。釜山から奉天、内蒙古から中国の西域、チベット、ネパール、インドまでヒマラヤ越えを何度も行い、ラマ僧に扮して旅を続けた。最後は同じように特命潜行していた人の密告(?)により日本へ強制送還されることになったが、氏はまだまだ旅を続けたかったと話していた。
沢木氏の作品はどれも素晴らしいが、特にこの作品は面白かった。

7月12日(土)は木山泰之医師も診療します

参議院選挙が始まる

令和7年7月3日
投票用紙が届き、いよいよ参議院選挙が始まる。今回の目玉は少数与党になった自民党がどうなるかだ。ポイントはズバリ、減税政策を掲げるかどうかである。森永卓郎氏が亡くなる寸前まで「ザイム真理教」による増税路線を批判していたが、今の税制はまさに五公五民で江戸時代よりひどい重税である。消費税を無くすことを公約にしているのは「れいわ新選組」だけであるが、他の党も食料品は無税にするとか、いろいろ減税の提案をしている。
自民党は「ザイム真理教」に完全に帰依している重鎮が「税金は下げない」と主張しているので今回は惨敗するのではないだろうか。姑息な現金給付ばかり行っても景気は回復しない。森永氏の主張していたように、消費税を無くした方が購買力も増え、企業も活気がもどり、利益が増えることによる税額が増えることを考えるべきだろう。江戸時代でも四公六民だったのである。財務省は気がつかないところでいろんな名目で庶民からお金を徴収している。今こそ消費税減税を行うべきである。