令和7年5月23日
先月、京都大学ips研究所が発表した治験は世界を驚かせた。これは「ips細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」で、7名の患者さんに移植した結果を発表したものである。
パーキンソン病は脳内のドパミン神経細胞が減少し、それにより動作緩慢・筋強剛・安静時振戦を特徴とする症状が起き、薬物療法も長期に渡っては難しくなる疾患で、失われた神経細胞を補う治療が検討されてきた。欧米ではヒト中絶胎児の脳を移植する治験がおこなわれてきたが、倫理問題や安定した供給の難しさが指摘されていた。
CIRA(サイラ)ではヒトips細胞からドパミン神経細胞を誘導する方法を開発、人に応用する治験を行ったわけである。その結果は重大な有害事象の発生もなく、有効性評価の対象となった6名のうち4名に改善が認められ、移植したドパミン神経の活動の増加が認められた。
この治験を一日も早く世界中の患者さんに届けるため、国内でのさらなる治験と同時に海外での治験も行っている。本当に素晴らしい研究で、高橋淳教授をはじめ研究グループの成果に感動と尊敬の念を禁じ得ない。