平成30年4月6日(金)
年度の変わり目のこの時期になると生理不順で来院する人が増える。社会人になって仕事を始めたとか、通学のために家を出て一人暮らしになったなど、環境の変化・ストレスが原因と思われることが多い。こういった生理不順は、環境に慣れて落ち着いて来れば自然に治るのであわてて来院しなくてよい。
生理は排卵が起こって2週間後に始まるもので、妊娠すればもちろん生理は始まらず妊娠の兆候が現れる。つまり、妊娠のために排卵が起こり、妊娠してないと生理が始まるわけである。ヒトは一生の間に妊娠する回数はそんなに多くはないので、生理のほとんどはムダというと語弊があるがなくてもいい、ない方が楽な体の変化である。哺乳類はおしなべて排卵・生理が起きるものだが、げっ歯類(ネズミなど)のようにしょっちゅう排卵が起きるものと、トラやライオンのようにめったに排卵がないものがあるが、ヒトは排卵の頻度は多い方だろう。そのヒトのなかでも、排卵が毎月ないタイプの人も結構みられ、不妊になると脅されていたがそんなことはない。たとえ年に数回の排卵でも妊娠は可能で、古来このタイプの人たちも何の問題もなく生き残ってきたのである。
低用量ピルが使われるようになって欧米では30年以上、我が国では20年になるが、ピルを内服している間はほとんど排卵が無くなる。それでも妊娠に影響がないことがわかってきたし、生理が毎月なくても問題ないことがわかってきて、むしろ毎月生理をおこさない方がいいと勧める場合もある。まさにトラやライオンタイプになることである。特別の場合を除いて、生理不順を心配しなくていいのである。