平成28年8月5日(金)
尺八の音階は5つの穴をふさいだり開放したりすることで、西洋音階でのドレミソラの5つの音を出すのが基本である。ファとシは穴を少しだけ開けるなどいささか工夫が必要になる。この5つの音階だけを使った音曲をヨナ抜きの曲という。ドレミファソラシをヒフミヨイムナと表していた頃のファとシがヨとナに相当するのでヨナ抜きというわけである。我が国(外来曲も含め)ではこのヨナ抜きの曲が結構あり、それなりにはやり歌になってきた。「丘を越えて」「潮来笠」「港町ブルース」「アメージング・グレイス」「蛍の光」「鳩ポッポ」「箱根八里」「アカシヤの雨がやむとき」「俺ら東京さ行ぐだ」「津軽平野」「アンコ椿は恋の花」こうしてみると新しい歌は少ないようだが、外国でも我が国でも、ヨナ抜きに1音だけヨかヤが入った「星の星座」「おおスザンナ」「おぼろ月夜」「歓喜の歌」などたくさんの曲が親しまれている。 アフリカの音楽でも同じ傾向があるそうで、ヒトが快いと思う音曲(音階)は世界中今日変わらないのだと思う。
沖縄の音階はレとラを抜いた言わばフム抜きであるが、各国にはそれぞれ民謡といえる音楽がありそれぞれの音階で成り立っている。私自身についていえば尺八の音階を順にならすだけで妙に安心し快く感じるのは、自分のDNAの中にヨナ抜きの音階が入っているからだろうかと思うことがあるぐらい自然である。