平成26年8月30日(土)
今度、某所で福田蘭童の曲を吹くことになったので、目下練習しているところである。福田蘭童は尺八奏者・作曲家で昭和51年、71歳で亡くなったが、その曲は尺八愛好家の中では好まれていて、今でも折に触れ演奏されている。どの曲も個性的で一度聞けば「これは福田蘭童の曲だな」と感じられる作風である。
蘭童は明治38年、洋画家青木繁と福田たねの子として生まれたが、正式な結婚でなかったので祖父母に育てられた。この生い立ちが後の独特な作風になったのではないかと思われる。腕白で利発な子供で小学校時代はいつも級長だったそうだが、中学校に入ってから尺八にはまってしまい成績は落第寸前だったが、尺八は師にも恵まれて猛練習、めきめき上達した。古風な和楽器をマスターし大成するには西洋音楽の理論も必要だと、音楽学校でピアノとヴァイオリンを学び後に作曲を手がけた。NHKラジオドラマ「笛吹童子」「紅孔雀」のテーマ曲が好評を博した。釣り好きで釣りの随筆など多数あり、飄々と人生を生きた自由人。クレージーキャッツの石橋エータローは息子である。
月別記事一覧 2014年8月
福田蘭童について
休日当番医
平成26年8月24日(日)
今日は休日当番医として午前9時から夕方6時まで診療を行う。産婦人科の当番医は広島市全体で1施設ずつ順番に、およそ6か月ごとに回ってくる。患者さんの数は平均して10数人、他の科と比べてもっとも少ない。受診頻度の多い妊婦さんはお産をする施設に行くのでこれぐらいですむのだろう。緊急を要する患者さんもおられるので当番医制度は必要だと思うが、実際に病院に搬送するケースは少ない。
数が少なくても当番医には昼休みがないので、いつもはセブンで弁当を買って行くことにしている。今回は入れ替え前で弁当がほとんどなかったので一瞬の合間にアンデルセンへ仕入れに行った。なにしろ徒歩30秒の距離なので5分もあれば行ってくることができる。アンデルセンの弁当もなかなかのものであった。これからも時々利用しよう。次回の当番は2月ごろになると思われる。
来月で17周年
平成26年8月18日(月)
盆休みの間はずっと天気が悪かったが、今日は久しぶりに晴れて真夏日のようだ。休みの間になまっていた体調も昼までには復調して、平常通りに戻り診療開始である。
平成9年9月に始めた当院も来月で17周年を迎える。17年というと長いように思えるかもしれないが、自分の感じではつい先日のようである。開業してからは、それまでの17年間と比べるとはるかに時間が経つのが早かった。きっと毎日いろいろなことが起こり、それらを調整したりしているうちにあっという間に時が経ったのだろう。この調子でいくと、残りの人生は瞬きする間に終わってしまうのだろうと思った次第である。
それも善き哉。
高血圧はほっとくのが一番
平成26年8月9日(土)
表題は関東医療クリニック院長、松本光正氏の著書名である。氏は長年、高血圧症や高脂血症などの成人病(今は「生活習慣病」といって、本当の原因である「老化」を隠してあたかもきちんと生活しなかった本人のせいだといわんばかりの呼び方である)を診てきたが、これまでの経験とさまざまな新たにわかってきたデータから、上記の結論に達してそのように診療しているという。
ヒトの体は自然にそれぞれ最も良い状態になる力があり(これをホメオスタシスという)血圧が高くなるのはそれなりに理由があるわけで、無理に下げると脳梗塞になりやすくなる。氏は高血圧症の基準値をWHOが8年間で50も下げたことに憤りを感じている。WHOは予算の7割を製薬会社の寄付金に依存している。降圧剤は製薬会社にとってドル箱である。高血圧症の基準値を下げれば患者が増えるのはあたりまえである。それらも含め氏は「血圧計は捨てなさい」など一見過激に思えることを提唱している。そういえばかの有名な近藤誠医師も「私は何十年も血圧を測ったことがない」と書かれていた。
実は私もここ1年血圧を測っていない。
生物の不思議
平成26年8月1日(金)
人間の体にはまだまだ分からないことがいっぱいある、というよりわからないことの方が多い。医学は生物学を基本にしているが、生物学自体がわからないことだらけなので、病んだ状態を改善するためにどうしたらよいかと試行錯誤しているというのが実態である。原因がわかり対処法もわかり実際に治る病気というのはほんの一部で、多くは経験に基づく対症療法である。
人体は60兆個の細胞からできているというが、その細胞の核には遺伝子がつまっていて、次の世代につながるようになっている。さらに細胞の中にはミトコンドリアがあり、これが酸素を取り込み糖を分解してエネルギーを生んでいるので、ミトコンドリアがなければ細胞、ひいてはヒトは死んでしまう。このミトコンドリアを調べてみると、核の遺伝子とは別の自前の遺伝子を持っていることがわかってきた。この遺伝子は細菌由来のものであるという。つまり我々の体の細胞内には細菌の遺伝子が入り込んで住み着いているがゆえに生き延びてこられたのである。
実際に診療していて驚くことはしばしばというほどではないが見られ、そのたびに生物の不思議さを感じる。ヒト、生物の仕組みはどこまでも不可思議で興味がつきない。