平成25年9月12日(水)
滋賀医科大学、村上節教授の講演があった。子宮内膜症の治療が難しかった症例について、反省をまじえながら検討されていて興味深い話であった。最近では子宮内膜症を手術した後は、ピルを含めたホルモン投与が勧められるようになったが、少し前は術後にピルの投与は行われていなかった。せいぜい高価な6カ月しかつかえない月経を止める注射・点鼻薬を投与するぐらいであった。わが国でピル(低用量ピル)が解禁されて15年になるが、当院では初めから子宮内膜症にはピルが最良だと考えて処方していた。その頃からずっと病院で子宮内膜症の手術をしたのに内膜症が再発した患者さんを見るにつけ、なぜ術後にピルを勧めないか歯がゆく感じていた。やっと術後のピルが一般的になったのは喜ばしいことである。
子宮内膜症の本質から考えれば、ホルモンレベルを下げて月経の量を減らすことが大切である。それを達成するためにいくつかの方法があるが、安全・手軽・経済的負担の少ないのはピルであることはだれが考えてもわかることだと思う。わが国でなぜもっと早く奨励されなかったのか不思議である。