月別記事一覧 2012年8月

水と遊ぶ

平成24年8月31日(金)
3月末の腰痛以来、スポーツはおろかジョギングもできなくなってしまったが、時にむしょうに体を動かしたくなる時がある。アシストチャリによる通勤はあいかわらずやっているが運動とは言えず、散歩ぐらいしかできないのがつらいところである。
最近、思い立って近くのプールで泳いでみたら腰痛も起きず快適である。元来、水で遊ぶのは大好きで小さい頃から近くの川や池でよく泳いでいた。久しぶりに水につかるのは気持ちがいい。初めは25メートル泳いではひと休みしてまた泳ぐのを繰り返していたが、結構休まずに往復できるようになった。もっともスタイルは平泳ぎ・横のし・手を使わない背泳・たまにクロールと超省エネの泳ぎというより水と遊ぶやり方であるが。
家から2キロのところにあるプールまではアシストチャリで行き、480円払って好きなだけ泳げばいい。温水プールなので1年中OKである。しばらくは通ってみようと思う。

近藤誠氏著「がん放置療法のすすめ」

平成24年8月24日(金)
慶応大学医学部放射線科の講師である著者の「患者よ、がんと闘うな」という本はベストセラーになり、これをきっかけにわが国の乳がんの手術が、乳房温存術という患者さんにとってQOLの高い方法に変わってきた。氏は世界中のデータと自身の診療経験をふまえ、がんについての合理的な理論を組み立て、「早期発見・早期治療」には根拠がないことを示した。これにきちんと反論できる医師は世界中にいないだろうが、医療経済の面からみると、この理論を認めてしまうと検診など医療経済が縮小されるので無視されるだろうと思っていたらやはりそうなっている。
さらに氏は健康診断(人間ドック)は寿命を延ばす効果はなく、むしろ無駄な検査や心配が増えて「百害あって一利なし」という。現在の医療は老化を病気にしているが、老化は治療できるものではないのでそのお金は介護に廻すべきだとも言う。そしてとうとう「がんは発生した時から他臓器に転移して治せないものと、一見がんのように見えるが転移しないものとがあるので、無駄な治療はせず経過を観察するだけの方が良い」という、がん放置療法を提言された。
氏はがんの治療のために侵襲の強い手術をしたり、抗がん剤を使うことによって患者さんが苦しむのをなんとか減らしたいと考えて、孤立を覚悟で提言しているのである。実際に氏の外来で経過を見てきたたくさんのがん患者のうちで「なにもせず経過だけ見てきた」150人のデータからみて、じつに説得力のある内容になっている。
氏は2014年には慶応大学病院を定年退職することになっていて、その後は診療には従事しないと決めておられるようだ。きっとあまりにわからず屋ばかりの医学会と、経済優先の業界周辺に嫌気がさしているのだろう。氏の提言・理論を全面的に肯定している自分としては、いつまでも発言を続けてもらいたいと切望するものである。

診療再開

平成24年8月18日(土)
盆休みが終わり17日から診療を再開。さすがに患者さんは多かったが、比較的長い休みでなまっていた体にはいいリハビリになった。
今年の盆休みは遠くへは行かずもっぱら孫たちの相手をしたが、このようになふるまいを自分がするようになるとは想像の埒外であった。以前は盆には家族旅行をするか、墓参りに生家に帰るのが通常だったのが、いつの頃からか巣立った子供たちが我が家へ帰るのを迎えるようになっているのは、時の流れを感じさせられることである。13日は孫3人を含め総勢8人で宮島の水族館みやじマリンへ。15日は以前にも紹介したことのある島根県との県境近くにある「ファームノラ」へ行き、石窯ピザ・パスタなど食べ、森の中の手作りブランコなど自然を満喫した。
盆休みが過ぎ子や孫たちも帰ってしまい、もとの静かな生活に戻り始めている。

全員集合

平成24年8月10日(金)
今週になって関東から次女が、県内から長女が、それぞれ子供たちを連れて帰ってきた。近畿からは大学生の長男も帰ってきて久しぶりに全員が我が家に集まった。明日はそれぞれの連れ合いも来るのでまさに全員集合である。こんなことは珍しいことで、恥ずかしながら私の還暦を祝うということで集まってくれる(集まるように強いる?)のである。子供たちも一旦家を出てしまうと、それぞれが別々に帰ってくることはあっても全員そろうことはなく、たいてい誰かが欠けている。冠婚葬祭でもなければ万障繰り合わせて集まることはないだろうから、昔からの儀式はそれなりに意味があるということだ。
今までカミさんと二人の生活だったが一挙に大人5人と孫3人になって、狭い我が家が賑やかなことである。玄関先にビニールのプール(空気まで入れてもらって998円!だったらしい)を出して水遊びをさせようと準備したが、あまり遊んでくれないという。そこで子供たちが小さい頃良く連れて行っていた川に行き、水遊びをしてやった。ひざ上までズボンをまくって川に入り、手を引いてやったらそれなりに喜んでいた。ならば次は水着を着て本格的に遊んでやろうと思ったところなんと!また腰痛が…
今回はたいしたことはなさそうだが、それにしても情けないことである。今日はコルセットをつけて診療することになってしまった。

夏に増える中絶

平成24年8月3日(金)
例年、夏になるとなぜか妊娠中絶の依頼が増える。6月から8月にかけて増えるようである。女性はだれだって中絶などしたくないであろうが、やむにやまれぬ事情があって仕方なしに来院されるのだと思う。だから努めて事務的に手順などの説明をすることにしている。
昔、大学病院にいたころ、市内某病院に夏休みをとった医師の応援で診療の手伝いに行ったことがある。その時中絶を希望して来られた人を、外来の婦長さんが別室に呼んで、中絶を考え直すように説得しているのを見て驚いたことがある。まさにいらぬお節介である。考えた末に勇気を出してやっとの思いで来られているのに、初対面の婦長が説得しようという、説得できるというその思いあがりが不快であった。一時の応援という立場なので黙っていたが、いい年をしていろんな人がいるものだと思ったことである。
処置が終わって1週間後に来院してもらうようにしているが、その際さりげなくピルを勧めるようにしている。ピルは避妊方法としては最も有効だし、他にも生理痛の緩和などいいことが多いからである。中絶を期にピルを飲み始める人は2~3割といったところである。