月別記事一覧 2008年9月

サナダ虫

平成20年9月26日(金)
寄生虫学の専門家である藤田紘一郎氏は、15年にわたって「サナダ虫」を自分の腸内に寄生させているそうだ。正確には日本海裂頭条虫でヒトの腸内に寄生し、体調10メートルにもなるという寄生虫である。わざわざ北陸から鮭を取り寄せて幼虫を探してカプセルに入れて飲み込んで寄生させたという。現在の虫は5代目か6代目だがこれにより体調もいいし、アレルギーが防げるそうである。なにより栄養を奪ってくれるのでダイエットにもなるという。
サナダ虫といえばかつて小豆島の病院に勤務していたときに、同僚の内科の医師が「サナダ虫に寄生された患者さんがいる」と言っていたことを思い出す。虫下し(なつかしい名前である、今はもう聞くことがないが)を飲ませて時間をかけて排出させたそうで、大学から標本にくれとの依頼があり、寄生虫学教室に渡したとのことであった。今から20年ぐらい前のことであるが、当時でもすでにこのような標本が手に入ることは稀だったのだろう。
藤田氏は、近年アトピーや花粉症などのアレルギー疾患が増えているが、どうも寄生虫をはじめとしていろんな細菌などを寄せ付けなくした「キレイ社会」が原因ではないかという。確かに一理あるが、では実際にどうしたらいいかとなると結構悩ましい。まさかアトピー患者に、回虫やサナダ虫の幼虫を飲ませるわけにはいかないではないか。

米騒動

平成20年9月19日(金)
我が国の存在の根幹をなしてきた「米」について情けない事件が報道されている。
弥生時代に始まった米作は、農地改革まで政治・経済の基本をなしており、我が国の貨幣の代わりとなっていて、各地の経済、生活、文化は「米」なくしてはありえないものであった。特に江戸時代の各藩の力は収穫される米の量である「石」で表わされ、加賀百万石などと称されてその力の指標となっていた。日本人にとっては「米」は特別な存在であったといえる。その「米」も戦後はずいぶん軽んじられるようになり、農業の衰退とともに脇に追いやられてしまった。それでも「米」には特別の思い入れがある世代もまだまだ多いのではないか。
今回の事件の原因は、上から下まですべてにわたっての責任感のなさである。まず政府・農水省は国際的な取り決めで米の輸入を割り当てられたとしても、汚染米はつき返すよう交渉すべきである。ここが一番問題である。次に、輸入米をろくに調べもせず、はやく目の前から米をなくして責任をなくそうとして、「○○フーズ」という会社(だれが考えても食材を扱う業者であり、この会社に売るということは、食材として流通することは明らかではないか)に引き取らせてしまった。さらに業者も汚染米で儲けようとマネーロンダリングのようなインチキをくり返し、安全な米として末端の業者に転売した。結局被害を受けるたのは知らずに買った業者と、消費者である。
お上の無責任が最も問題であり罪万死に値し、お上の関わった責任者にはきちんと責任をとらせないとこの国はますますダメになると思う。

乳房の自己検診

平成20年9月10日(水)
乳がんの自己検診について、ことあるごとに説明している。どう説明しているかというと「月に1回ぐらいでいいから入浴の際、石鹸をつけた手のひらで直接乳房を洗って下さい、そしてその感触がいつもと違うと思ったら受診してください」と。さらに「この方法で、検診を受けた場合とほぼ同様の乳がん発見率があるというデータがあります」と付け加えている。
これにより少しでも負担が減ることを期待してそうしていたのだが、上海で行われた大規模くじ引き試験では、自己検診群と放置群とで乳がん発見数が同じだったという報告があり困惑している。
乳がん検診群=自己検診群=放置群、これでは何もしない方が負担が少なくていいことになる。そうなればますますがん検診を勧めにくくなるではないか。大規模くじ引き試験で検診の有効性を示すデータがないものだろうか。

禁煙して8年

平成20年9月3日(水)
禁煙してもう8年になるが、年に1回ぐらい「今一服したらうまいだろうな」と思うことがある。だいたいは食事のあととかアルコールを摂取している時である。
タバコなんて初めて吸ったときは全然うまいと思わなかったが、大学生になったら吸うのがあたりまえのような風潮があり、カッコ付けの意味もあって吸い始めたのである。動機はいい加減であったが、吸い始めると瞬く間に習慣になってしまった。ハイライト→セブンスター→マイルドセブンと銘柄は変わったが、マイルドセブンの時代が一番長かった。途中では、ロングピース、両切りピース(缶詰)、キャメル、ゲルベゾルテ、キセル(刻みタバコ)、葉巻、パイプなど色々試したが、やはり日本の生んだ傑作のタバコ、マイルドセブンに落ち着いたのである。
以後毎日2箱吸っていたのでかなりのニコチン中毒だったと思われる。それでも開業2年して止めたのは、ひとえに喫煙による体調不良のせいであった。やはり強い動機付けがないとなかなか難しいようである。だから喫煙のいいところも良くないところもすべてわかっている自分としては、禁煙推進論者のようにあまり人に禁煙を勧めようとは思っていない。どうなろうともすべて自己責任であるからだ。