月別記事一覧 2007年1月

藤原正彦氏のエッセイ

平成19年1月31日(水)
数学者藤原正彦氏がエッセイに書いていたが、大きな紙に等間隔で平行の線を何本も引き、そこへ平行線の間隔の半分の長さの棒を落とした場合に、棒と平行線が触れる確率はπ分の1だそうである。それに対して読者から実際に実験して調べたら、ほぼそのとおりだったという便りがあったという。その人はなんと、大きな紙に等間隔の平行線を引き、コップに入れた5本の楊枝を2,000回落としてみたところ誤差が1%で正しかったという。さらにコンピューターで試行実験をしたところ、π分の1との誤差は1億回で0.02%、3,000億回で0.0006%になったとのこと。
世の中にはヒマな人もいるものだが、真理はきれいな数字になるものである。そしてそんな一見ムダだと思われるようなことを考えることは、必要なことなのだと思う。

福島県立大野病院の事件

平成19年1月27日(土)
相変わらず暖かい日が続く。1月の終わりとは思えない毎日である。スキー場は雪が降らず営業できなくて困っているらしい。
昨日、福島県立大野病院の産婦人科医師の公判が行われた。新聞によると、医師は無罪を訴えているそうである。癒着胎盤によって亡くなられた患者さんは本当にお気の毒である。今回のケースは、通常の産婦人科医ならほとんど経験したことがないぐらい稀で困難な手術であり、その場にいても自信を持って救命できるといえる医師が何人いるだろう。さらに、救命できなかったからといって、警察が逮捕するのはおかしいと思う。それなら、全国すべての病院で癌の手術、心臓の手術、脳外科の手術をはじめいかなる手術でも、不幸にして患者さんが亡くなったらすべて逮捕しないと公平を欠くことになる。きちんと説明をして納得してもらうようにすることは不可欠であるが、警察が関与するのは筋違いで事件性があるとは思えない。
お産は安全だと思っている人が多いが、お産に深く関わってきた産婦人科医ならば、一つでも悪い方にいけば亡くなってもおかしくないぐらい危険と隣りあわせだということを実感しているのである。

日本酒はおいしい

平成19年1月23日(火)
このところ晩酌はビールと日本酒である。最近日本酒をうまいと感じるようになってからは、いろいろ銘柄を試してだんだんと好みが決まってきている。それまではビールのあとはウイスキーの水割りが定番だったが、今は日本酒が一番いい。
日本酒については嫌な思い出があり、今まで飲みたいと思ったことはほとんどなかった。それは忘れもしない大学一年生のヨット部の初合宿の夜、広間に上級生達がずらりと車座になっているところを、我々新入生は一人ずつ献杯して回ることになっていた。何しろ酒をちゃんと飲んだことがない上にアルコールにどのくらい弱いかもわからないのである。一升瓶をかかえている先輩達の前に座り、コップを出して献杯の応酬をするのである。先輩が30人いれば30杯のコップ酒を飲まなければならない。途中でこれはヤバイと感じて、飲んだふりをしていたが遅かった。トイレに行く途中で倒れて気付いたのは翌日の昼、合宿所に一人で寝ていた。ほかの連中はすでに海に練習に出ていて誰もいなかったのである。頭は痛いし気分は悪いし、これが初めての二日酔いだった。その上、外にはげろを吐いた布団が干してあり、練習から帰ってきた同僚達に「トイレに行って倒れたので、みんなで布団に寝かせといたら、夜中に突然起き上がってワシの布団に吐いたんだぞ」と言われる始末。それからは日本酒を見るのも嫌になった次第である。でも今は実にうまい。

もう一週間

平成19年1月20日(土)
今年は暖冬でコートが必要でない日が多いようである。地球温暖化が進んでいる所為なのか、単に今年だけの現象なのか。そういえば、ロシアで暖冬のためクマが冬眠できないというニュースを新聞で見た。
 今日は土曜日、もう一週間経ったのかと思うとなんだか焦るような気持ちになる。しなければならないめんどうな雑用を後回しにしていても、結局はやらねばならないのである。仕方ない、この土日でやってしまおうかという心境である。

夕張市破産

平成19年1月16日(火)
昨年、北海道の夕張市が破産したというニュースがあったが、とうとう日本は地方の都市が破綻するというのに助けられないような国になってしまったのか。要するに国にも余裕がないということである。確かに最も借金の多いのは国だから地方自治体に手を差し伸べる余裕はないのだ。
広島市にもかなり借金があると聞く。なのに市民球場を移転新築することに決めたそうである。どうしてこんな無駄遣いをするのだろう。先に県では広島空港の僻地移転と広島大学の移転という世紀の愚挙を行って、世間の物笑いになっているというのに。移転後の跡地はどうするのか。広島大学跡地の二の舞になることは火を見るよりも明らかである。施政者は人の税金をなんだと思っているのだろうか。目先の一部の人たちの利益にとらわれず、将来にわたって広島のためになるようにしてもらいたいものである。

回遊する患者さん

平成19年1月12日(金)
患者さんの中には受診する医院を一度決めたらあまり変えないタイプの人と、何回も変えるタイプの人がおられ、この人は変えないタイプだと思っていたらそうではなかったということもある。とくに我々のような科はあまり変えないタイプの方が多いと思うが、なにしろ市内には産婦人科クリニックはいっぱいあるので色々行ってみるのだろう。
この狭い地域にこれだけの数の外来だけの産婦人科があるのは中四国では広島市だけである。広島の次に人口の多い都市は岡山市であるが、6年前までは1施設だけであった。今は4施設になっているけれど。それに対して広島市は約20施設、中区だけなら13施設である。これらはすべてお産をしない外来だけの産婦人科施設である。しかももっと増えていくことは確実である。分娩が過酷で報われないことが明らかになってきたことが、この傾向に拍車をかけることになっていると思うが過当競争になるのは否めない。

大雪で高速道路不通

平成19年1月9日(火)
7日(日)は実家で法事があり車で行く予定であったが、大雪のため高速道路が一部不通になり急遽新幹線で行くことになった。行事を終え夕方広島に帰るときには晴れていて、さすがに瀬戸内の気候はすぐに穏やかになるものだと思った次第である。
今日からは正月気分も抜け、日常生活が始まる。その方がおちつけていいと思うようになったのは年の所為か。

新年に思う(平成19年)

平成19年1月4日(木)
いよいよ平成19年、今日から診療開始である。開業したのが平成9年だからもう10年になる。10年一昔と言うが、あっという間の10年で、感覚的には 3~4年としか思えない。開業して得たものと失ったものを比較してみると、断然得たものの方が多いと思う。でももっと高いところから俯瞰すれば、どの立場 にいても頑張って努力したことは結果がでるが、そうでないことについては報われないのは当然である。だからきっと一生で見れば、どの立場にいても一生懸命 やることだけが結果を得ることができるという意味で同じなのだろう。
今年も大ざっぱではあるがいくつかの目標を決めて、無理せずやっていこうと思っている。今年もよろしくお願いします。