日付別記事一覧 2004年4月26日

大切な問診

平成16年4月26日(月)
57歳のBさんは昨年の秋ごろから体重が減った。内科を受診して1ヶ月に渡って検査したが、異常は見つからなかった。それでも体重は増えず、夜はなかなか寝付かれない。担当医は「しっかり食べてください」と言うが、あまり食べたくないし友人が「婦人科でホルモン注射をうけたら太った」と言うので当院を受診した。ご主人が1年半まえに亡くなって、はじめの1年ぐらいはそうでもなかったが、半年前から食欲が落ちて体重が減っている。日中よりも夜の方が落ちつくが、なかなか眠れない。明け方まで起きていることもある。娘は嫁いでおり現在一人暮らし。
こういう書き方ををすると、医師であればまず「うつ病」を考えるだろう。そしてカウンセリングや抗うつ剤などを使い総合的に治療しようとするだろう。また精神科に紹介してきちんと診断治療を仰ぐだろう。でもそういう視点で診ていなければ、背景もわからないし身体的な病気の有無ばかり探して、患者さんにとっては検査はいっぱいしたけどちっとも良くならないことになる。実はこういうことはよくあり、問診だけでかなりのことがわかるのである。要はどういう視点で人を見ているかに尽きるのだろう。人を見る目を鍛えるということは、自分を鍛えるということである。自分はまだまだ全然だめだと思うが、少しづつでもわかるようになっていきたいものだ。今日はまじめなことを書いてしまった。