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子宮がん予防ワクチン

平成22年12月24日(金)
広島市では来年から、子宮がんを予防するワクチンを、中学1年生から高校1年生までの女子に無料で接種することになるらしい。対象人数は2万人弱と思われるがかなりの予算が必要だろう。なんでも国と自治体が費用を折半するとか。
いいことだとは思うのだが、費用対効果を考えると疑問がある。現在のところワクチンは英国製薬会社の独占で、非常に高い値付けになっており、もっと国として交渉して、安くしなければ実施は先送りするとか、近く発売される別の製薬会社のワクチンと競合させるとか、税金の無駄遣いをなくすべく努力をしなければダメである。
わが国の子宮がんによる年齢調節死亡率は年間、2万人に1人である。上記の女子全員にワクチンを接種したとして、将来子宮がんによる年間1人の死亡を0,3人にすることができるというふれこみではあるが。

中国漁船追突に思う

平成22年11月6日(土)
尖閣諸島での中国漁船追突の映像が流された。政府がひたすら隠そうとしたが、これは内部告発だろう。命をかけて国を守ろうとしている海上保安庁の職員に対して、現政府の態度は最低である。管、仙石の両名は本当にわが国の人間だろうか。国益も国民も守れない、守ろうとする気概のない人間は、政治家になるべきでない。ましてそれが首相、官房長官では国民にとって疫病神以外のなにものでもない。即刻辞任するのが人間としてのすじであろう。
いずれにしても戦後、アメリカの云うままになっておんぶにだっこ、自国を守ろうとする気概も力もなくなった現状を表していることは本当に悲しいことである。今からでも遅くない、憲法を改正し、教育勅語を復活させ、徴兵制も復活させ、自国は自分たちの力で守ろうとしなければ、命をかけて国を守ってくれた先人に申し訳ないし、子孫たちにも言い訳ができない。

中国との関係

平成22年10月1日(金)
先週から尖閣諸島での中国との摩擦が問題になっているが、歴史的にみて日本が中国、朝鮮、ロシアといい関係であったことはない。中国との関係では、古より朝貢外交か関係断絶か戦争状態の歴史しかない。きちんと相手との距離感を持って対等に接したことはないのである。戦後は贖罪外交しかしていないから、現在の状態になっても仕方がないのだ。
島国で他国と接することがなかったわが国は、他国との付き合い方がわからないのだから、長い目で見た真の専門家を育てないと仕方がない。その任である外務省も昨今のていたらくを見れば今だしの感は否めない。できないのならできるようにしなければ、世界の中で生き残れないのは当然である。わが国には優秀な人材が多いのだからどんなことをしてでも自国の利益を守れるようにすべきである。
外交には武力という後ろ盾がなければ意味がない。いつまでも「平和」の題目だけ掲げて現実を見ないのはやめて、冷静に必要なことを準備していかないと、この国はなくなるかもしれない。そうなったら今まで頑張ってやってきた先祖に申し訳ない。マスコミはずいぶん日中友好を垂れ流してきたが「憲法改正」とか「核武装」とか言っただけで大騒ぎしてどうするのだろう。

健康診断

平成22年9月8日(水)
作家の曽野綾子氏が新聞や雑誌などに載せているエッセイや論文は、わが意を得たりという内容が多く、面白く読ませてもらっている。さらに氏のいささかの揺るぎもない信念に基づいた行動は、立場や地位によってしたくもないことをしている世の男たちにはうらやましいことだろう。
私は健康診断やドックは意味がないことをいつも言っているが、もし自分が検診センターの所長の立場だったらそんなことは言えないだろう。また、保健行政の立場にいても言えるわけがない。ありがたいことに自分はそういう立場になれないし、なろうとも思わないのでその点で気が楽である。
日大の医学部教授で検診センター所長の久代氏は、アサヒメディカルに控えめながら健康診断やドックによる寿命の延びはないことや、CTなど取り入れたさらに詳しい検診についての疑問を述べている。私の深読みかもしれないが、最も検診を推進しなければならない立場の人がこのように述べているということは、本音では「百害あって一利なし」と思っておられるのではなかろうか。

暑い日が続く

平成22年8月4日(水)
それにしても暑い日が続く。クーラーがなかったらとても我慢できないだろう。とくに街中はクーラーの排気熱も多く、いっそう暑い。
名古屋市長の河村たかし氏の「この国は議員にいくら使うのか」という本によれば、わが国の議員がいかに優遇されているかよくわかる。それを変えようと現在、名古屋市で孤軍奮闘している氏の様子が少し前にみのもんたの「朝ズバ」で報道されていた。議員にしてみれば収入を減らす法案には強硬に反対するだろうから、文字通り孤立無援のように見える。
河村市長には大いに頑張ってもらいたいが、正しいこと・合理的なことを貫くのは本当に難しいことだろう。健闘を祈りたい。

バラマキ行政

平成22年7月5日(月)
子宮がんのワクチン無料化を公約にしている参議院選挙の候補者が何人もいるようだ。
これこそバラマキ行政の最たるものである。優先順位からいえばもっと有効な医療政策はいっぱいある。たとえば子宮がん検診と婦人科検診の無料化に必要なお金は、高価で効率の悪いワクチンよりはるかに安く有用である。女性の病気は癌だけではない。子宮筋腫、内膜症、卵巣腫瘍、不妊症、性感染症などたくさんあるが、子宮がん検診はまさに「子宮がんの検診のみ」である。少なくとも超音波検査を併用しないとこれらの疾患をきちんと診断することは難しく、現在の検診ではこの検査は必要ないことになっている。
子宮がんが予防できるなどと言うが、じつに疑わしい。ある程度は有効であったとしても、それにかかる費用をだれが負担するのか?ワクチンを製造している外国巨大製薬会社の強力な働きかけで、公費負担で接種している国もあるようだが、もう少し考えた方がいいと思う。借金が増えまくっているわが国で、もっと優先すべきことはほかにあるだろう。

老化と治療

平成22年6月16日(水)
梅雨入りしたが、W杯でカメルーンに勝ったので大騒ぎである。にわかサッカーファンが増えるだろう。岡田監督も試合前は散々な評価だったのが、一夜で名監督になった。まことに勝負の世界は「勝てば官軍」である。
宮崎の口蹄疫の封じ込めはなかなかうまくいかないようだ。そういえば新型インフルエンザの流行も、防ぐことはできなかった。政府もできないことは約束しない方がいい。それより防げないことを前提に、被害を最小限にするような対策を考えた方がいいと思う。感染していない牛まですべて処分するのは、間違っていないか。食料にしてこその肉牛である。
「がん撲滅」などとできもしないことを言わない方がいい。さらに言えば「老化」を病気にしない方がいい。いま「生活習慣病」と言われている病気?は、ほぼ「老化」による状態の変化である。かつて「成人病」といわれていたのがいつの間にか「生活習慣病」といわれるようになったが、実態は「老化」である。近藤誠氏が警鐘を鳴らしているが、完全に無視されている。昔から権力者をはじめ人々は、老化を防ぎ、永遠の命を手に入れようとしてきたが、ことごとく失敗した。現代医療費の多くは、この「老化」の治療費である。苦しい状態や痛みに対する緩和は絶対に必要だが、「老化」そのものは治療の対象にすべきではない。それらの費用は介護にまわすべきだと思う。

知らぬが仏

平成22年6月9日(水)
わが国は地震予知の研究に2,200億円つぎ込んでいるというが、いまだに正確な予測はできないそうである。山本夏彦氏の晩年の著書に「人は明日のことがわからないから枕を高くして眠れるのだ」というエッセイがあるがそのとおりである。もし、未来がすべてわかってしまったら、生きていく楽しみがなくなってしまう。
人間ドックは、自分の体のどこかに異常があるかどうかを調べるために考えられたシステムである。意味がないことは以前から述べているとおりであるが、仮にすべて正確にわかって「あなたは3年先にこれこれの病気になり、これこれの治療をすれば一旦治る。ただし6年後に別の病気になって何月何日に亡くなる」なんてことになったら、何の楽しみがあるだろう。
予測とは突き詰めればそういうことである。やはり山本翁の言うように、知らぬが仏で生きて行くほうがいい。地震予知や人間ドックにお金をつぎ込むのも考えものである。

収縮剤で流産

平成22年5月19日(水)
雨が続いて梅雨のようなうっとうしい日々である。これではアシスト自転車も使えず、国保の仕事に行くのもタクシーを使わなければならない。困ったものだ。
朝のニュースで、大学病院の医師が、付き合っていた女性に子宮収縮剤をわざと使って流産させた容疑で逮捕されたと報道していた。女性は妊娠6週だったという。
どうも不可解なのは、正常な妊娠はめったなことでは流産しないのに、収縮剤ごときで簡単に流産したということである。もしそうなら、人工妊娠中絶術など必要なく、まず収縮剤を点滴してだめなら中絶術を行うという流れができているはずである。それは無理なことは我々が一番良く知っている。それよりも、妊娠6週なら心拍が確認できたはずで、産婦人科で確認していたのだろうか。
妊娠の15%は自然流産するが、6週を過ぎても心拍が確認できない場合を係留流産といって、この場合は100%流産する。今までの報道を見る限りでは、悪いのは医師であるが、女性の訴えにも釈然としないものを感じるのである。

子宮頸がん予防ワクチンの効果

平成22年2月10日(水)
最近、子宮癌の予防ワクチンについての問い合わせが多い。テレビや新聞で紹介しているからだろうが、他科のドクターからも聞かれる。
テレビでは、このワクチンを接種しておけば子宮癌が防げるので欧米では政府が無料で実施している国も多い、と報道しているようである。子宮頸癌はHPV(ヒト・パピローマウイルス)が最大の原因だとわかってきたことは事実である。HPVの種類は100近くあり、そのうちの16,18の型の感染が子宮癌の70%を占めているという。ワクチンはその16,18の型に対するものである。だからそれ以外のウイルスに対しては効果がない。
問題なのは、まず値段が高いことである。3回接種しなければならず、全部でおよそ5万円かかる。さらに、このワクチンを接種することで子宮癌による死亡数がどれくらい減るか試算してみる。わが国の子宮癌による年齢調整死亡率は2万人に1人である。だから2万人にワクチンを接種してすべて効果があったとして、子宮癌死亡数は2万人につき0.3人になる。つまり、19999人には打っても打たなくても死亡には関係ないことになる。しかも効果は7~8年しか続かないという。
わが国で毎年1000万人が罹患するインフルエンザのワクチンなら、まだ費用対効果があるだろう。なにしろ1回3~4000円でOKだから。でも子宮癌のワクチンは値段が高すぎるうえに費用対効果が低すぎないか。このワクチンは英国の製薬会社が開発したそうであるが、こういうものにお金をかけても喜ぶのは製薬会社だけである。それよりお金は介護にまわすべきである。介護事業はお金をかけるほど良くなるからである。