カテゴリー news

佐藤隆介氏の著作

令和7年5月29日
池波正太郎関連の著作で知られた雑文製造処「鉢山亭」主人、佐藤隆介氏が亡くなって4年になる。池波正太郎氏の食べ物についてのエッセイは愛読していて、「食べることは生きること、今日が最後だと思って食べろ、飲め」がいたく気に入っていた。その池波氏の生き方にほれ込んで、10年間書生を務めたのが佐藤隆介氏である。氏は東大のフランス文学科を卒業した後、広告代理店のコピーライターを経て作家になった。日本中旅して各地の特産品や食べ物、人との出会いなどを文章にしていた。池波氏の書生になって深く付き合ううちに氏の神髄を感じられるようになった頃、一旦たもとを分かったが、池波氏が亡くなって十余年、池波氏の夫人から「池波のこと書けるのはあなただけだから、遠慮せずしっかり書いて」と言われ「池波正太郎の食まんだら」「食道楽の作法」「池波正太郎の愛した味」「鬼平先生流 旅の拘り、男の心得」「池波正太郎への手紙」「池波正太郎の食卓」など多数の作品を著した。
佐藤氏は日本中にいろんな知り合い、友人を持ち、各地からの到来ものをありがたく味わい、料理・酒を大いに楽しんだ。最愛の妻を亡くした時のことは新潮45に「うっちゃられ亭主の独言」という文章を記して妻を偲んでいる。7年間の闘病生活の後に逝った夫人に対する思い出とつらい気持ちを綴っていて心打たれる。
佐藤氏の著書はいつでもそばに置いていて、ことあるごとに読んでいるが一向に飽きない。こんな風に生きてみたいと思わせる素晴らしい作家だった。

5月31日(土)は木山泰之医師も診療します

京都大学ips細胞研究所CIRA(サイラ)

令和7年5月23日
先月、京都大学ips研究所が発表した治験は世界を驚かせた。これは「ips細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」で、7名の患者さんに移植した結果を発表したものである。
パーキンソン病は脳内のドパミン神経細胞が減少し、それにより動作緩慢・筋強剛・安静時振戦を特徴とする症状が起き、薬物療法も長期に渡っては難しくなる疾患で、失われた神経細胞を補う治療が検討されてきた。欧米ではヒト中絶胎児の脳を移植する治験がおこなわれてきたが、倫理問題や安定した供給の難しさが指摘されていた。
CIRA(サイラ)ではヒトips細胞からドパミン神経細胞を誘導する方法を開発、人に応用する治験を行ったわけである。その結果は重大な有害事象の発生もなく、有効性評価の対象となった6名のうち4名に改善が認められ、移植したドパミン神経の活動の増加が認められた。
この治験を一日も早く世界中の患者さんに届けるため、国内でのさらなる治験と同時に海外での治験も行っている。本当に素晴らしい研究で、高橋淳教授をはじめ研究グループの成果に感動と尊敬の念を禁じ得ない。

結婚43周年記念日

令和7年5月16日
結婚43周年を記念して移転改装した「おお井」にカミさんと行った。毎年どこかの店を選んで行くのだが、今年はなじみの鮨屋で美味しい料理と鮨をつまんで、大将と話しながら祝ったのである。去年は料理屋「増田屋」、一昨年は鮨「良月」、令和4,3,2年はコロナのため家で祝った。令和元年は今はなくなった「桜梅桃杏(おうばいとうり)」、平成30年は今はない「ちまき鮨」、思い起こせば鮨屋と和食の店が多い。「良月」以外はコースではなく好きに注文できるので、腹具合にあった量になるのがいい。
店の名を覚えているのは「食物日記」を書いていたからである。昼は印象の残った店と料理を、夜は外食した店と内容をほぼ書いていたのでわかったのである。ついでに値段も書いているので昔と今の比較ができる。ずいぶん高くなった店もあればあまり変わらない店もある。大箱の店より家族経営かそれに近い店の方が好きである。それにしてもいろんな店に行ったものである。5月だけでも、もう夜5日外食している。だから太るのであるが仕方ない。いつ外食どころか食べられなくなるかわからないのだから。

八天堂でバーベキュー

令和7年5月9日
連休に松本に嫁いでいる次女が子供を連れて帰ってきたので、息子夫婦、長女夫婦とその子供たち全員で広島空港のそばにある八天堂でバーべキューをすることにした。飲みもの以外は全部そろえてくれるので楽であるが、野菜を切ったり肉を焼いたり切り分けたり結構大変である。総勢14人で行ったが予約できたのは午後1時30分だったので、それまで八天堂のパン作りを孫たちに体験させた。自分で焼いたパンを喜んで食べるのを見るのはうれしいものだ。牛肉の塊3個、鶏肉の塊沢山、ソーセージ、野菜色々を焼きながら飲み食いするのは楽しいものだ。孫たちが一堂に会することはめったのないことなので、このような機会の恵まれたのは実に幸運なことだった。
次女たちは2泊して松本に帰っていったが、長女の子供たちも我が家へ来て次女の子供たちと遊んでくれた。まことに仲良きことはいいことだとしみじみ思った。思い出に残るいい連休になった。

新緑の季節

令和7年5月1日
新緑のあざやかな季節になった。このところ20°cを超える日々が続く。比治山を散歩すると緑がいっぱいで森林浴をしているような気持になる。先日は比治山に登り、そのまま「そごう」まで歩いて藪そばへ行き一杯飲んでそばをたぐってきた。11時開店だがすでに何人も並んでいて開店と同時にすぐに満席になる。つまみが豊富なのがいい。天ぷらのある蕎麦屋はそんなにないので重宝している。キスの天ぷらとエビのかき揚げは特に好物で毎回注文している。菊正宗が飲めるのもありがたい。
夜はBSで録画しておいたドジャースの試合を見ながらハイボールを飲むのが至福の時である。昨日は大谷選手が第一球をライナーでホームランしたのは最高だった。大谷選手の活躍を見るのは楽しい。週刊新潮に大谷選手の兄・龍太さんが社会人野球の監督で日立杯の予選リーグに出ていて、時ならぬ大谷フィーバーが茨木県日立市起きていたと報じていたが、さすがに兄弟なのでよく似ている。龍太さんは気配り・心配りの人で選手からの人望も厚いナイスガイだそうだ。大谷選手の父母は素晴らしい子供たちを育てたものである。日本の宝だと思う。

ホリエモンの番組

令和7年4月25日
以前から派手な言動で目立つ「ホリエモン」こと堀江貴文氏だが、ユーチューブなどでたくさんの番組を作り、出演し、いろんな意見を述べている。偶然見つけ、氏の的確な予測やこれまでの数々の起業とその経験からの意見など、弁舌の巧みさと説得力のすごさに舌を巻いている。
石破総理をはじめ国民民主党の玉木党首など政界の人たちとの対談、財界の人やこれから起業する人たちへの応援、ロケット事業、学校、ラジオ局の買収と出演など八面六臂の活躍をしているさまがうかがわれる。この国の未来をよくするためにどうするかを真摯に考えているようで、政治家にはならず、政治家に進言することで政治を変えていこうとしている。
様々の分野でそのとき興味を覚えたことは勉強し、詳しく調べ、わかりやすく説明し「そうだったのか」と納得させる力がある。氏と話した人はいつの間にかホリエモンの考え方に賛同していくのが見える。
学生時代に起業し数百億円以上の利益を得たり、ニッポン放送を買収しようとしたり、衆議院議員に立候補したり、刑務所に入ったりその後もさまざまな事業を行ったり、その豊富な経験と緻密な思考力は氏の弁舌とあいまって魅力的な人物を形成している。しばらくは目が離せない。

日々是好日

令和7年4月18日
休日に久しぶりに「豚笑」に車で出かけた。最後に行ったのは半年くらい前だったが、開店に間に合うように早めに出かけた。福山市にあるとんかつの名店「豚笑」は午前11時開店、予約はとっていないので並ばないと入れない。大体10時30分頃から並びが始まり、10時50分くらいには20人を超えているので、席が確保できず入れない人が残る。入れない人は1時間くらい後に「席が空いた」と知らせてくれるシステムなのだ。それで、10時半過ぎに店の駐車場に車を停めたが、車の数が少ない。店の前に行ったが誰もいないので不思議に思ったら、なんと!1月からネット予約システムに替わっていたのである。確かにそのほうが客にとっては並ぶ必要がなくなるのでいいが、今までずっと予約なしで来たのでまさかと思ったわけである。仕方ないので急遽、うなぎの「竹馬」を予約したが、人気店はネットで確認すべきだと思った次第である。
以前に比べて旨いものを食べに行く情熱は衰えているが、まだしばらくはアンテナを張っていたいものである。

最近の通勤

令和7年4月11日
このところ自転車通勤はあまりしなくなった。なんとなく嫌になったのである。冬の寒い日など余計嫌で、カミさんに送ってもらうようになった。帰りはバスである。ありがたいことにバス停から家まで100メートルくらいなので楽だし、八丁堀のバス停まで歩くのは10分くらいで丁度よい。
もう20年くらい自転車通勤してきたが、そろそろ公共交通機関を使ったほうが安全だと思うようになった。なにより昨年11月から始まった飲酒自転車の罰則の決定が大きい。なにしろ飲んで自転車で帰るのは抵抗なかったし、おかげでタクシー代がずいぶん助かったのである。もちろん11月からは飲酒自転車は禁止である。以前は自転車通勤は気分を変えるという意味でよかったが、今の状態にもあっという間に慣れて今では朝は車、帰りはバスで快適である。家の近くのバス停にはセブンもあり、ヘビーユーザーの自分としてはちょっと寄って帰ることができる。今は自転車を使うのは1~2週間に1回くらいになった。これも世の流れだろう。

「脳は耳で感動する」

令和7年4月4日
表題は養老孟司氏と久石譲氏の対談集である。ヒトは音楽をどのようにとらえ、認識しているかを解剖学者の立場から、音楽家の立場から伝えあっての対談は実に面白い。脳内の言葉を認識する部位と音を認識する部位の違いなどを養老氏が説明し久石氏が納得する。久石氏から見れば養老氏は頭に大きな図書館をつけていて、その魅力的なバリトンヴォイスで氏の知りたかったことを的確な言葉で教えてくれることを喜び、養老氏は筋の通った久石氏の言葉を聞いているとよい音楽を聴いているような気持になり、音楽と言葉が深いところで連結しているということを話しながら実感したという。
久石氏は映画音楽を手掛けていて、映像は1秒で24コマまわるが音楽を映像にぴったり合わせて作ると音の方が早く聞こえるそうである。だから音の方を映像より3コマか4コマ遅らせるという。それで映像と音楽がしっくり合うのだ。
それについて養老氏は視覚と聴覚は処理時間がズレるからだと解説する。それは脳のシナプスの数の問題で、神経細胞の伝達が視覚系と聴覚系で違うからだという。生き物になぜ耳と目があるかというと、それぞれ違うものを捕まえるためで、それを頭の中で一緒にしようとするのが人間だという。
そうだったのかと思わせてくれる面白い対談集だった。