カテゴリー 診療

性病の患者さん

平成16年4月24日(土)
場所がらか性病の患者さんが多い。どちらかというと、性病を心配して来る人の方が性病がなくて、心配してない人の方がほんもののことが多いようだ。性病で多いのはクラミジア、淋病、コンジローマ、ヘルペスなどで、誰から染されたかわからないこともよくある。結婚している場合は、相手は配偶者のことが多いが、そのことがよくわかってない人もいて、「どうしてこうなったんでしょうね」とのんびりしている。うつした相手がよそで病気をもらってきたことに気が付いてない(?)様子。こういう時は当方もとぼけて、「うーん、まあ相手のひとも治さなければいけないから、必ずお医者さんに行くように言ってください。そうしないとあなたもいつまでも治らないからね」と言う。後で聞くと、だんなさんもすぐに医者に行って治療したとのこと。良かった。これからも夫婦仲良く暮らしていって欲しいと思う。
今日は土曜日なので夕方5時で終了。明日は当番医なので休めない。

流産手術

平成16年4月21日(水)
毎日日誌を書くのは結構大変だと思う。でもここでやめたらまさに三日坊主である。やめてたまるか。
今日は朝から流産手術あり。いつものことだが、患者さんに流産を告げるのは気が重い。妊娠を告げた時の患者さんのうれしそうな顔、でもその約15%は流産するのだ。これはどうしようもない、まさに運である。治療によって何とかなることはほとんどないと思ってよい。妊卵は一定の比率でだめになり、それは誰にあたるかわからないのだ。流産と診断した時、いつもどのように言おうかと考える。それまでに何回か接していると、ある程度この人にはこういうふうに話た方がショックが少ないかなと思うので、そのように話す。どう話しても事実は変わらないのだが、なんとか少しでも希望が持てるように話すのであるが、正直難しい。今は妊娠検査の薬の感度がよいので、かなり早くから妊娠がわかるようになっている。そのため流産の事実がわかりやすくなったり、胎嚢という袋がみえるまでは子宮外妊娠も否定できないなどの心配をしなければならなくなっている。診断能力が増してもそれが幸せにつながらない場合もあるのだ。
今日も夜には勉強会を兼ねた会合がある。月曜をのぞいて5日連続の飲み会や会合だ。元来アルコールは弱いのだが好きである。弱くてよかった。もし強ければ確実にアルコール中毒だろう。ありがたいことにすぐいい気分になり、それ以上は飲めなくなる。お医者さんもすすめる適量がまさに自分のMAX(適量)である。親に感謝。

診療日誌開始

平成16年4月19日(月)
長いことほったらかしていたホームページのリニューアルがすんだので、これを機会に「診療日誌」なるものを書くことにした。内容はその日にあったことが中心であるが、あまりこだわらず、長く続くことを目的としている。元来、日記など小学生の時に夏休みの宿題の絵日記ぐらいしか書いたことがないのでどうなるかわからないが、とりあえずできるだけ毎日書いてみるつもりだ。患者さんについてはそのまま書くとさしさわりがあるので、すべて設定を変えておいた。
数年前から診ているAさんが、「先生、卵巣のホルモンの検査をしてください」と言う。やや生理不順があり時に無排卵のことがあるが、ほかには問題ない。30代後半だが、これから結婚して子供が生めるなら生みたいらしい。でもいますぐ妊娠できる状況にはないのであるが、なにか異常がないか心配になっているようだ。ホルモンの検査をすれば色々なことがわかると、どこからか聞いてきたらしい。「うーん、ホルモンの検査は採血すれば簡単にできますが、多分なにも異常ないと思いますよ。あなたは排卵もちゃんとあるし、たまに排卵がないこともあるけど、妊娠は充分できるとおもいますよ。」「でも検査で詳しくわかると聞きました」と納得しない様子である。
このタイプの排卵障害の場合、放置して全く問題がないし、そもそもこの程度の状態の人にいらぬ検査をしたり、あまり意味のない治療をすることに問題がある。ホルモン検査などとさも大切そうにいっても、この場合たいした結果が出るわけがないし、治療しても排卵障害が治るわけもない。それは、治療した周期は排卵がおこるが、次の周期はまたもとのままで、いままでと同じなのだ。つまり、体質であって根本的に治す方法はない。むしろ経過を見ていけば、自然に体質が変わって治ることもあり、何もしなくていいのである。このことをどのように言ったら納得してくれるのかと、考えた。都会ではこのような場合、セットの検査で色々調べて治療する場合もあると聞く。私はそれは、お金と時間のムダに加えて異常だと心配する心理的負担もあっていいことはないと考えている。もちろん私も、言われる通り「はいわかりました」と言って、検査をして「排卵障害がありますから薬を飲んでください」と言えば、儲かるし患者さんからは、「あの先生は色々検査して異常を見つけて治療をしてくれた」と感謝されるだろうしハッピーである。でもそれは、本当には患者さんのためにならない、インチキだと思っているのでできない。そこでどのように話そうかと思うわけである。Aさんは半分納得、半分どうかなという雰囲気で帰っていかれた。このようなことは毎日何回もある。あまり言い過ぎるとどこかよそへ行ってしまうし、難しいのだ。やはり信頼されるように日頃から良い関係を築いておかなければ、と思った。