平成24年12月14日(金)
いよいよ衆議院総選挙が行われる。今ぐらい政治家に対する尊敬の気持ちがなくなっている時代はないのではあるまいか。あれだけ大見得を切って政権についた民主党のていたらくを見て、国民は完全に失望していると思われる。かといってそれに替わる政党もどんぐりの背比べのようだ。わずかに自民党や維新の会のほうがましで、ここに希望を託すしかないのだろうか。
民主主義の弱点はポピュリズム、あえて言えば衆愚政治になりやすいことだと思う。だれでも20歳になれば社会人としての責任・義務を果たしていなくても自動的に選挙権が得られる。ここが問題である。ポピュリズムに流されないためにはどうしたら良いか。やはり制限選挙にするのがいいと思う。たとえば18歳になれば誰でも選挙権を請求できるが審査があり、条件を満たさなければ選挙権は得られないようにする。曰く、国民の義務を果たしているか、ちゃんと社会生活をしているか、反社会的なことをしていないか、さまざまな判断ができるか、人のためになることをしているかなど、総合的に審査し(審査委員をどうするかという問題はあるが)、選挙権を持てる人を数十人に一人ぐらいに絞り込む。
そうなると立候補する人も、今までのように口当たりのいいことや、実行もできない口約束・親の七光などは使えなくなり、国や人々のことを本当に思う人たちが実現可能な政策を掲げ、それを冷静に判断して投票するのでポピュリズムの弊害はかなり防げるのではないか。また一度は選挙権を持った人でも、条件が満たされなければ権利が失われるようにすれば公平を保てるだろう。
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総選挙
どうせ死ぬなら「がん」がいい
平成24年12月5日(水)
表題は以前紹介した中村仁一医師と近藤誠医師の対談である。二人とも医師として全く違った道を歩んできたけれどもほぼ同じ考えになっていることがわかる。いわく、「死ぬのはがんにかぎる、ただし治療しないで」「がんの9割に抗がん剤は無効」「老化は治療できないのだから医療機関に近づくな」「ワクチンやってもインフルエンザにかかる」「高血圧の基準値の変更で薬の売り上げが6倍になった」「検診はムダだ」など、様々な点で意見が一致している。
思うにお二人とも経験と理論から「がん」「老化による変化」は治せないと確信し、患者に苦しみしか与えない治療を受けないように警鐘を鳴らしているのだろう。そして「こういうことを言えば医療界では村八分になる」とわかっていても言わずにいられない情熱と勇気がある。
1800年代のヨーロッパにセンメルヴェイスというハンガリー人の産科医がいた。彼はウイーン総合病院の産科に勤務していたが、自宅分娩や助産婦が行う分娩と医師が行う分娩では産褥熱の発生率が10倍も違う(助産婦では死亡率3%に対して医師では30%!の死亡率)ことに疑問を持ち調べた結果、医師が手指消毒すればよいことに気づきそのようにしたところ産褥熱は激減した。これを当時の医学会で発表し医師たちに消毒の大切さを説いたが、学会では受け入れられなかった。ウイーン総合病院の任期が切れ除籍した後、妊産婦の死亡率が3%から30%に増えたのを見たセンメルヴェイスは、各病院をまわり消毒の大切さを説いたが相手にされず悲惨な最期を遂げた。のちに彼の説の正しさが追証され「院内感染予防の父」と呼ばれるようになった。
近藤医師、中村医師とセンメルヴェイスは同じように思える。
バリウムは重い?
平成24年11月30日(金)
当院の患者さん用のトイレは和式と洋式に分かれている。洋式の方は構造上重いものは一旦底に沈んでから流れるようになっている。いつも診療終了後、汚れなどがないか確認することにしているが、その日は便槽の底に白っぽいどうみてもアレのようなものがあるではないか。すぐに水を流してみたが流れてくれない。こんなことは15年間で初めてのことで、スタッフと一緒にそれを除こうと試みたがボロボロとくだけてとれない。何度もくり返し流すが一部残ったままである。理由がわからず専門家に頼むしかないかとあきらめかけたが、人間ドックの子宮がん検診の人が来ていたことを思い出した。ドックの人は消化管の検査でバリウムを飲むことをがあり、色からもバリウム入りの便に違いないと気付いた。ならば重いはずで、もっと勢いをつけて流せば流れるはずだと思い、洗面器に一杯水をいれ試してみたら2回で流れてくれた。やれやれである。
長くやっていれば色々な経験をさせてもらえるものだと思ったことであった。
東山の紅葉・風俗博物館・エルミタージュ美術館展・「吉膳」
平成24年11月24日(土)
木曜日の午後から京都に行ってきた。薬屋さんの雑誌に風俗博物館が紹介されていて、ぜひ見たいと思ったからである。京都に3百年続く、僧衣や十二単(ひとえ)などの衣装を作っている老舗「井筒」が始めた博物館で、現在は「源氏物語の世界」と題して、当時の建物から人物・衣装・牛車・小物などを4分の1の大きさで精密に再現している。私が動けるのは日曜祭日しかないのに、この博物館は私設のせいなのか日曜祝日は休館となっている。仕方ないのであきらめていたら、たまたま昨日金曜日が祝日で前日の木曜日は午後からは休診。これは何とかなりそうだと調べてみたら、午前の診療終了後すぐに出発すれば午後3時台には京都まで行けることがわかり急遽出かけたわけである。
展示物は精緻を極めており、「明石の姫君の婚礼支度」など時代考証をきちんとしているとのことで、実に興味深かった。あまり知られていないのか人も少なくじっくり見ることができた。夜は祇園の「吉膳」で旨い地酒と料理を堪能した後、すぐそばにある高台寺のライトアップを鑑賞した。人が多すぎるのが気になったがライトアップされた紅葉の美しさには目を見張った。
翌日は「青蓮院」「エルミタージュ美術館展」「永観堂」哲学の道散策、「真如堂」など紅葉を楽しみ「辻留」の弁当を買って帰り家で一杯やるという充実した小旅行であった。
漢方治療について
平成24年11月16日(金)
大分大学の漢方治療に熱意を持っている先生の講演があった。産婦人科の講師で周産期部門の責任者であるが、10年ぐらい前から漢方にはまっているとのことである。漢方の講演はいつものことであるが、効果のあった症例を提示されるので、漢方は良く効くんだと思ってしまう。雑誌などで「私はこのエキスを飲んだら癌が治った」という記事を見ることがあるが、その人にとっては本当のことかもしれないが再現性がないことが問題である。その先生も全面的に効くとは言われないが、西洋医学で効果のない場合に使うとのことで結構信頼しておられるようであった。
そこで「何例中何例に効いたのですか」と質問してみたが、その答えはあいまいであった。漢方薬は遥か昔から使われているので効果があるのは確かだと思う。問題はどの程度効くのか、副作用はどうかであるがいまだにはっきり示されていない。そのため欧米では「ローカルドラッグ」ということで使われていない。使っているのは日本だけではなかろうか。中国で使われているかどうか知らないが。西洋医学がすべて良いとは言わないが再現性において勝っていると思う。
歌劇「真珠採り」
平成24年11月9日(金)
久しぶりにビゼー作曲の歌劇「真珠採り」のCDを聴いてこの曲との「出会い」を思い出した。
学生時代、ガラにもなく大学男声合唱の指揮をすることになり、自分の能力のなさゆえ悪戦苦闘していた。当時の大学生男声合唱の最高峰は慶応義塾ワグネルソサエティーであり、あこがれの的であった。その第99回定期演奏会が東京と大阪で開かれることを聞きつけ、仲間たちと大阪へ聴きに行った時の衝撃は忘れられない。
専任指揮者はなんと音楽界の重鎮の畑中良輔氏、顧問指揮者は木下保氏で、彼らの紡ぎだす音楽はとても学生の演奏とは思えないほどすばらしかった。その中で学生指揮者・秦実氏のワンステージが歌劇「真珠採り」であったのだ。ピアノ伴奏も慶応の学生で、テノールとバリトンのソリストの掛け合いも素晴らしく、何より最後に歌った有名な「耳に残るは君が歌声」は感動を通り越して、以後すっかりファンになってしまった。
それから30年、開業してしばらく経った頃偶然インターネットで「第99回定期演奏会」の復刻版CDを限定作成し関係者に実費で配っていることを知り、懐かしさゆえぜひ自分にも分けてほしいと連絡したところ、当時学生指揮者で今は会社務めをしておられる秦実氏よりメールをいただいた。「…学生指揮をしていた当時、木山さんより合唱指揮をどのようにしたらよいのかという、指揮に関する問い合わせの手紙をいただいたことを思い出しました。そういえば大阪の定期演奏会のとき花束をいただきましたね…私の所にCDはあと1セットだけ余分があるのでお送りします…出会いは何度もおきるものですね」という感動的な文章であった。確かに当時ショスタコービッチの合唱曲を練習していて行き詰っていて、この曲を演奏していたワグネルに手紙を書いたことを思い出した。
もう一度、分けていただいたCDで「真珠採り」を聴いてみたが、当時のことなどがよみがえってしみじみとしたことであった。
腰痛回復
平成24年11月2日(金)
昨日から急に寒くなった。いつもと同じ服装だと冷えるので今日は暖かくして自転車出勤。
3月の終わりに腰痛発症以来、努めて無理しないようにしてきたが、最近ではほとんど腰痛を意識しないようになった。かなり良くなったと思うので少しテニスのラリーをしてみたが問題なさそうである。もっともまだ怖いので走ったりせず打ち合うだけだが。この調子なら来年から週1回のテニスが再開できそうである。以前腰を痛めた時も回復するのにほぼ半年かかったが、今回も似たようなものなのでやはり時間が回復の最大の治療法だと思う。
以前に痛めた原因はゴルフの練習であり、今回もまた同じとは学習能力のない自分が恥ずかしい。テニスは腰を痛めないのにゴルフのスイングはよほど自分に合わないのだろう。思えば30年前に高知県安芸市の病院に勤務していた時、誘われて始めた初めてのラウンドでスコア132、バーディーがとれたのが間違だったのである。今後は2度とゴルフはしないと固く誓ったことである。
男性不妊の最近の話題
平成24年10月26日(木)
いぐち腎泌尿器クリニックの井口裕樹先生の上記表題の講演会があった。男性不妊の治療を行っている専門医は少ないので、貴重な話が聞けて興味深いことであった。内容はおおむね理解していたことであったが、実際に男性の精巣から精子を取り出す手術の手技の話など面白い話題がたくさんあった。
不妊の男性にはED(勃起不全)が多いというのはうなずける話で、その対策としてバイアグラなどの薬の詳しい説明があったが、その話になると会場の多くの医師たちの目が輝いたように見えたのは気のせいか。EDの原因は多くの場合が心因的なものだそうである。もともと性的に活発でない男性が、うまく勃起せずセックスできなかった場合いっそうひどくなるという。そういう場合にこれらの薬が有効であるが、それなしにはできなくなる男性が多いらしい。まことに男性は繊細であると思ったが、それに関連してタイミング法という排卵日に合わせてセックスをするよう指導するのは、男性にとっては難しいのではないかと思っていたが、井口氏もそのように話しておられた。アメリカではタイミング法はもうやっていなくて、2日ごとにセックスするよう指導しているそうである。その方が妊娠率が上がるという。私はかねてより3日ごとにするよう指導してきたが、実際、性的に活発でない男性にはそれでも難しいのではないかと危惧しているところである。
健康診断に替わる制度を!
平成24年10月20日(土)
職場などの健康診断で婦人科の異常(?)を指摘されて来院される人がおられる。これらの人たちで本当に問題のある人は少ない。これは無理もないことで、検診医は異常を見落としてあとで問題になってはいけないので、必要以上にささいなことでも異常を指摘する。もし、普通に保険証を出して診察に来られた人であれば、異常があればその場で検査・治療ができるし、そうでなければ経過を見て何か不都合なことがあれば来院するようお話ししてそれで終わるので、患者さんも無駄な受診をしなくてすむ。
今から10年前に厚労省の研究班が「健康診断の項目の大半が無意味である」との結論を出しているが、職場検診・自治体の検診はあいかわらず盛んである。むしろ新聞などでキャンペーンをやって検診を増やそうとしている。これは医療経済のパラダイムからは当然のことで、経済が縮小するようにはならないものだ。そこで、実質もよくなり経済も変わらない方法として次のように法律を改正したらどうだろう。企業の検診は中止するが、その費用を社員の医療機関の受診に充てる。もちろん受診理由がある場合のみであるが。
このようにすればすべてが良くなり、私自身のイライラも解消されると思われる。
趣味の継続
平成24年10月13日(土)
趣味というか好みは急にあらわれるものでも無理につくられるものでもない。というのは「定年になったら何か趣味を持ちましょう」などの文言を目にするが、60年間無関心であったことが急に趣味にできるはずがない。やはり小さい頃から興味があり、ある程度でき、やっていて飽きないことが趣味と言えるのではなかろうか。だから興味を感じるものがなければ何もしない方がいい。
自分の場合、小さい頃からの興味の対象は音楽とゲームと体を動かすことだった。ゲームについては囲碁将棋マージャンは一通りやった。今は雑誌やテレビの対局を見るぐらいでやってないが、プロの棋譜を見るのは楽しいのでヒマがあれば見ている。体を動かすことは好きで中学高校6年間軟式テニスをしていたが、今は硬式テニスをスポーツクラブでやるぐらい。それもゴルフを再開しようなどと不埒なことを考えた罰があたって腰痛が再発し現在中止、そのかわりできるだけ散歩するようにしている。音楽は小学校時代のリコーダーに始まり、鼓笛隊の小太鼓、中学時代にはギター、高校時代には作曲とギター、大学時代には男声合唱と順調に遊んできた。今は10年前から始めた尺八に凝っている。これは歳を取ってもできそうなのがありがたい。