カテゴリー 日誌

休日当番医

平成26年8月24日(日)
今日は休日当番医として午前9時から夕方6時まで診療を行う。産婦人科の当番医は広島市全体で1施設ずつ順番に、およそ6か月ごとに回ってくる。患者さんの数は平均して10数人、他の科と比べてもっとも少ない。受診頻度の多い妊婦さんはお産をする施設に行くのでこれぐらいですむのだろう。緊急を要する患者さんもおられるので当番医制度は必要だと思うが、実際に病院に搬送するケースは少ない。
数が少なくても当番医には昼休みがないので、いつもはセブンで弁当を買って行くことにしている。今回は入れ替え前で弁当がほとんどなかったので一瞬の合間にアンデルセンへ仕入れに行った。なにしろ徒歩30秒の距離なので5分もあれば行ってくることができる。アンデルセンの弁当もなかなかのものであった。これからも時々利用しよう。次回の当番は2月ごろになると思われる。

来月で17周年

平成26年8月18日(月)
盆休みの間はずっと天気が悪かったが、今日は久しぶりに晴れて真夏日のようだ。休みの間になまっていた体調も昼までには復調して、平常通りに戻り診療開始である。
平成9年9月に始めた当院も来月で17周年を迎える。17年というと長いように思えるかもしれないが、自分の感じではつい先日のようである。開業してからは、それまでの17年間と比べるとはるかに時間が経つのが早かった。きっと毎日いろいろなことが起こり、それらを調整したりしているうちにあっという間に時が経ったのだろう。この調子でいくと、残りの人生は瞬きする間に終わってしまうのだろうと思った次第である。
それも善き哉。

高血圧はほっとくのが一番

平成26年8月9日(土)
表題は関東医療クリニック院長、松本光正氏の著書名である。氏は長年、高血圧症や高脂血症などの成人病(今は「生活習慣病」といって、本当の原因である「老化」を隠してあたかもきちんと生活しなかった本人のせいだといわんばかりの呼び方である)を診てきたが、これまでの経験とさまざまな新たにわかってきたデータから、上記の結論に達してそのように診療しているという。
ヒトの体は自然にそれぞれ最も良い状態になる力があり(これをホメオスタシスという)血圧が高くなるのはそれなりに理由があるわけで、無理に下げると脳梗塞になりやすくなる。氏は高血圧症の基準値をWHOが8年間で50も下げたことに憤りを感じている。WHOは予算の7割を製薬会社の寄付金に依存している。降圧剤は製薬会社にとってドル箱である。高血圧症の基準値を下げれば患者が増えるのはあたりまえである。それらも含め氏は「血圧計は捨てなさい」など一見過激に思えることを提唱している。そういえばかの有名な近藤誠医師も「私は何十年も血圧を測ったことがない」と書かれていた。
実は私もここ1年血圧を測っていない。

生物の不思議

平成26年8月1日(金)
人間の体にはまだまだ分からないことがいっぱいある、というよりわからないことの方が多い。医学は生物学を基本にしているが、生物学自体がわからないことだらけなので、病んだ状態を改善するためにどうしたらよいかと試行錯誤しているというのが実態である。原因がわかり対処法もわかり実際に治る病気というのはほんの一部で、多くは経験に基づく対症療法である。
人体は60兆個の細胞からできているというが、その細胞の核には遺伝子がつまっていて、次の世代につながるようになっている。さらに細胞の中にはミトコンドリアがあり、これが酸素を取り込み糖を分解してエネルギーを生んでいるので、ミトコンドリアがなければ細胞、ひいてはヒトは死んでしまう。このミトコンドリアを調べてみると、核の遺伝子とは別の自前の遺伝子を持っていることがわかってきた。この遺伝子は細菌由来のものであるという。つまり我々の体の細胞内には細菌の遺伝子が入り込んで住み着いているがゆえに生き延びてこられたのである。
実際に診療していて驚くことはしばしばというほどではないが見られ、そのたびに生物の不思議さを感じる。ヒト、生物の仕組みはどこまでも不可思議で興味がつきない。

奈良国立博物館

平成26年7月25日(金)
久しぶりの移動可能な連休だったので、奈良国立博物館の特別展「醍醐寺のすべて」を見に行くということで計画を立てた。まず和歌山にいる息子のところを訪ねてから夕方、奈良に行くことにした。彼の入学以来、紀三井寺を訪れるのは5年ぶりである。大学と附属病院を案内してもらい、おすすめの店でおいしい昼食、和歌山城見学まで付き合ってくれた。夕食は奈良唯一の三ツ星「和やまむら」が偶然予約できたのでカウンターで食したが、胃の調子があまり良くなく日本酒が飲めなかったのは残念だった。
翌日は涼しいうちに春日大社を散策し奈良国立博物館へ。特別展は、国宝と重要文化財がこれでもかというほど展示されており、世界文化遺産にも指定されている醍醐寺の歴史に圧倒された。三条通りを歩いていると「うなぎ川はら」ののれんが見つかり、久しぶりのうなぎに舌つづみ。あまりに暑いので奈良公園の木陰で一休みしたが、風がよく通って心地よく思わず眠ってしまった。夕方、京都伊勢丹で菱岩の弁当を受け取り新幹線で帰広。弁当は菱岩が群を抜いていると思う。このところ予約すらできなかったのが、久しぶりに手に入ったので日本酒とともにおいしくいただいた。いい旅であった。

広島市の産婦人科救急医療

平成26年7月18日(金)
自分のところのような病床を持たないクリニックで緊急を要する患者さんを認めた場合、ウイークデイの午前中なら入院・手術のできる近くの病院に連絡して診てもらうことはよくあることである。問題は、夕方や土曜日である。特に土曜日は病院の外来は休みのところが多く、医師の人数も少なくなっていて、どの病院に頼もうかと悩む。
広島市内には新生児ICUのある総合病院が4施設、手術を含めて受け入れ可能な病院が5施設、お産のできる病院・医院が13施設、入院のない外来のみの医院が30施設ある。わが医院もこの30施設の一つであり、とりあえず入院して様子を見るというわけにいかないので、はじめの悩みになるわけである。
妊娠に関しては夜中とか休日に問題になるような症状が起きたら困るので、早めに紹介するようになる。そうやって注意していても予期せぬことが起きるので救急を受け入れてくれる施設は貴重である。勤務医の頃は受け入れる側だったので、その大変さもわかっていて安易に紹介しないようにしてはいるが、紹介しようかどうしようかと苦慮することも多い。それでも、いつも快く受け入れてもらっているのはありがたいことである。

最近の昼食(2)

平成26年7月11日(金)
以前にも書いたが開業して十数年、昼食に行く店は大筋では変わらないが、閉店や味・好みの変化などで微妙に変わってきている。ずっと通い続けている店もあるが、いつの間にかレギュラー店から入れ替わった店もある。
初めから変わらず通っているのは「小太郎(串焼き)」「讃岐屋(うどん、他)」「一楽章(カレー)」「とくみ鮨(鮨)」「中屋(あなご丼)」「天甲(てんぷら)」で、初めの3店はほぼ毎週!飽きずに通っている。あとの3店は1~2か月に1回ぐらい。今のレギュラー店は先の3店に加えて、「菊屋(とんかつ)」「こけもも(ビーフカツ)」であるが、じつにうまい。ただ、さすがに年を取ると食べられなくなるというか、以前ほどお腹がすいたという感覚がなくなってきているのはさびしいことである。
休日であれば「はっぴ(そば)」「ペロー(パスタ)」「そばきり吟(そば)」などに行くが、飽きない味でしばらくするとまた行きたくなる店である。おいしく食べられるうちが花なので、いつまで行けるかわからないができるだけ続けたいものである。

藤原正彦著「ヒコベエ」

平成26年7月4日(金)
表題の「ヒコベエ」は「若き数学者のアメリカ」「遥かなるケンブリッジ」など興味深い著作を持つ数学者、藤原正彦氏の自伝小説である。氏はベストセラー「国家の品格」をはじめ、エッセイなど精力的に著しているがこの「ヒコベエ」は、著者の記憶の始まる3~4歳ごろから小学校を卒業するまでの自分史・家族史を中心に、戦後の混乱・復興期の世情が描かれていて読み出したらやめられなくなるほど面白い。
「ヒコベエ」は著者の幼小期の呼び名で、元気一杯・猪突猛進・ガキ大将、それでいてやさしくてユーモアのある氏にぴったりである。氏の母親は終戦後満州から幼い3人の子供を連れて命がけで引き上げた体験を書いた「流れる星は生きている」の著者、藤原ていであり、父親は気象学者で直木賞「強力伝」で知られる作家、新田次郎である。さすがカエルの子はカエルで、氏は数学者としての業績の上に興味深い本を多数著して多くの読者の支持を得ている。今は週刊新潮に毎週エッセイを載せているが、面白く読ませてもらっている。
次は、「ヒコベエ」と「若き数学者のアメリカ」のあいだ、思春期から青年期の自伝小説を読んでみたいものである。

故宮博物院特別展

平成26年6月26日(木)
6月24日から東京国立博物館で台北国立故宮博物院所蔵の作品186点の公開が始まった。故宮博物院は一度は行ってみたいと思っていたが、なかなか機会がなくて気になっていた。10月7日からは福岡の九州国立博物館で行われるので、今回はそちらに行ってみようと思っている。
中国の歴史文化の粋ともいうべき作品のほんの一部でも、わが国で鑑賞できるのはありがたいことである。台北国立故宮博物院には、中国文化8千年の収蔵品があり、古代の青銅器から玉器、書画、陶磁、工芸品など65万点に及ぶという。北宋山水画、唐三彩、書、見たいものは山ほどある。今回の目玉というべき「翠玉白菜」は、写真でしか見たことがないが清・光緒帝の妃・瑾妃の嫁入り道具とされていて、白と緑の翡翠を材料に、キリギリスやイナゴを彫り込んでいる玉器である。残念ながらこの品は東京のみの展示で、九州では「肉形石」という玉髄と呼ばれる石の上面に毛穴のような点を刻して着色、トーロンポウそっくりの玉器が展示されるそうで今から楽しみである。

出生前遺伝学的検査の現状と課題

平成26年6月20日(金)
昭和大学の関沢明彦教授による表題の講演があった。わが国では結婚年齢の上昇に伴って高年妊娠・出産が増えている。母体年齢が上がれば流産率も増え、先天異常の割合も増えてくるので、出生前検査の確かさと安全性が求められる。かつては染色体の異常を見つける方法は羊水検査だけであった。この検査は、妊娠4か月の末頃にお腹から直接子宮に針を刺して羊水を採取し、羊水に含まれる胎児由来の細胞から染色体を抽出して調べるので、母体への負担が大きかったし時間もかかった。現在でも最終診断としてこの羊水検査は行われているが、その前にスクリーニングとして母体血による検査が開発されてきた。
妊娠時には母体血中(血漿中)に胎児由来のDNAが含まれていることがわかり、それを分析することにより遺伝子の異常がかなり正確にわかるようになった。血液を調べるだけなら羊水検査に比べれば負担が少ないので、希望者も増えると思われる。費用がかかることや100%の確かさはないことなど課題はあるが、技術の進歩は素晴らしいことである。