平成30年5月11日(金)
表題の著者、母里啓子(もりひろこ)氏は元国立公衆衛生院疫学部感染症室長でワクチンの精製にもかかわってきたウイルス学・公衆衛生学の専門家である。同名の著書を平成26年11月のブログで紹介しているが、今度改訂版が出たので読んでみた。
現在我が国では0歳のうちに10種類以上のワクチンを打たなければならないことになっているが、それは有害無益であるとわかりやすく述べている。天然痘やポリオの生ワクチンは確かに有効だった時代もあったが、今は必要なくなっている。そうなると副作用が問題になってくるので中止すべきである。天然痘は昭和30年代に最後の患者が出た後は一人も出ていないが、その後打ち続けたワクチンによる死亡者は100人いるそうである。ポリオもワクチンによる麻痺患者を多数出している。ワクチンは必ず副作用があるので必要最小限にすべきである。それなのに最近のワクチンの増加は異常である。厚労省が積極推薦しないワクチンは絶対に打ってはいけない。
メガファーマがバックについたWHOによるワクチン普及の薦めに我が国はなぜこうも簡単に乗ってしまうのか。インフルエンザのワクチン、HPVワクチン、肺炎球菌ワクチンなど枚挙にいとまがない。何十年後かには何が正しかったかわかると思うが、その時にはもう遅いのである。
カテゴリー 日誌
「もうワクチンはやめなさい」改訂版
連休の谷間
平成30年5月2日(水)
今年も大型連休が始まった。土曜日が休みの職場なら5月1,2日を休みにすれば9連休になる。海外旅行も可能だろうが、この時期の旅行は皆が一斉に行うので混雑するし値段も高くなる。子供たちが小さいうちは国内だったけれど、せっせといろんなところへ連れて行ったものだが、今はそれぞれがその子供たち(孫)を連れて色々行っているようである。連休中はおいしいものを食べようと思っても、鮮魚系は連休中は市場が開いてないので行きつけの店は閉まっているし、広島がそうなら全国どこに行っても同じようなものだから期待できないだろう。
当院は暦どおりなので土曜日も、5月1,2日も診療している。医療施設の中には休診にしているところもあるが、このスタイルで20年間変わらず診療している。明日からフラワーフェスティバルでこの辺りは人であふれかえることだろう。なんでも160万人の来場を見込んでいるとか。この期間はできるだけ近付かないようにしようと思っている。
ミシュランガイド広島・愛媛2018特別版
平成30年4月27日
5年前にミシュランガイド広島版が出て以来2度目のガイド版である。前の版には掲載されていなかった店も今回は載せられていて、やはり版を重ねていくのはいいことである。三ツ星の店は前回と同じ日本料理の「なかしま」のみであるが、二つ星は前回なかった店が登場している。「料理屋昇月庵」はクリニックに比較的近いところにできた新しい店であるが、評判も良く外観もいいので一度は行ってみたいと思っていたが、なかなか予約が取れなくて未訪問である。ミシュランに二つ星で載ってしまったのでいよいよ行けなくなった。
ガイド本があると便利だが、普段から贔屓にして常連になっている者にとっては迷惑なだけである。今回も行きつけの店のいくつかは載っていなかったり、星が付いていなかったりでほっとしている部分もあるが、一方ではいい店なので評価してほしいという二律背反の気持ちになるところもある。
昨年の暮れに出版されたゴ・エ・ミヨでは岡山と山口の店の紹介があったが、今回のミシュランでは愛媛県の案内がある。しまなみ海道もあることだし愛媛県に行くときはぜひ参考にしたいと思っているが、地元のご常連にとっては迷惑なことだろう。
第4支部会
平成30年4月20日
広島市の医師会は地域ごとに分けて組織されているが、自分の所属しているのは中区第4(袋町東)支部で、最も施設数の多い支部である。年に2~3回、親睦を兼ねた支部会が開かれ日頃は顔を合わせることのない会員同士が情報交換をするわけである。自分が開業した頃は周りは年上の人ばかりで、緊張しながら出席したものであるが、20年も経つと若い人たちが増えて、いつの間にか年輩者の側になってしまった。初めの頃は参加人数も多く、欠席すればかえって目立つようだったが、最近は出席者の方が少なくなっている。今回も出席者は20人に満たなかったので会員の4割ぐらいということになる。
他のところでは出席率も高く、地域活動も積極的に行われている支部もあるようだが、第4支部はビル診の施設が多いので流動性もあり、「地域のお医者さん」的なところが弱いようである。「地域のお医者さん」は自分の土地に診療所を建てて長いスパンで診療をするし、何代も続いているところもあるが、第4支部では新たに土地を求めて開業するのは無理なのでビル診以外での開業は難しい。その代り競争が激しいのでレベルが上がり、人気のないところは存続できないということである。
出会いと別れの新年度
平成30年4月13日
毎年この時期は卒業式・入学式・入社式などがあり、個人にとっても学校・会社にとっても大きな節目を迎えることになる。この出会いと別れの季節を象徴するのが一斉に咲いてあっという間に散っていく桜なのだと思う。まことに桜はこの時期の我々の心にピッタリの樹木であり、詩歌や小説・エッセイにも数多く取り上げられている。
当院を受診されている人たちの中にも、入学や就職・転勤で他県に行くことになったという人も少なからずおられる。今までの環境に別れを告げて、新しい生活に対する不安と期待を感じておられることだろうと思う。私事で恐縮だが、奇しくも近くに住んでいる長女の子供と、関東に住む次女の子供が同時に新1年生になった。大変めでたいことで喜んでいるが、長女一家は米国に行くことになっていて引っ越しの準備に大わらわだった。簡単に行き来できるわけではないので、しばらくは会えなくなってしまった。新しい環境になじんで無事に生活してほしいと祈らずにはいられない。入れ替わるように長男が広島に帰ってきたのはうれしいことである。これからも様々な出会いや別れがあると思うが、いさぎよく咲いて散る桜はこの時節にふさわしい風物である。
願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ(西行法師)
生理不順
平成30年4月6日(金)
年度の変わり目のこの時期になると生理不順で来院する人が増える。社会人になって仕事を始めたとか、通学のために家を出て一人暮らしになったなど、環境の変化・ストレスが原因と思われることが多い。こういった生理不順は、環境に慣れて落ち着いて来れば自然に治るのであわてて来院しなくてよい。
生理は排卵が起こって2週間後に始まるもので、妊娠すればもちろん生理は始まらず妊娠の兆候が現れる。つまり、妊娠のために排卵が起こり、妊娠してないと生理が始まるわけである。ヒトは一生の間に妊娠する回数はそんなに多くはないので、生理のほとんどはムダというと語弊があるがなくてもいい、ない方が楽な体の変化である。哺乳類はおしなべて排卵・生理が起きるものだが、げっ歯類(ネズミなど)のようにしょっちゅう排卵が起きるものと、トラやライオンのようにめったに排卵がないものがあるが、ヒトは排卵の頻度は多い方だろう。そのヒトのなかでも、排卵が毎月ないタイプの人も結構みられ、不妊になると脅されていたがそんなことはない。たとえ年に数回の排卵でも妊娠は可能で、古来このタイプの人たちも何の問題もなく生き残ってきたのである。
低用量ピルが使われるようになって欧米では30年以上、我が国では20年になるが、ピルを内服している間はほとんど排卵が無くなる。それでも妊娠に影響がないことがわかってきたし、生理が毎月なくても問題ないことがわかってきて、むしろ毎月生理をおこさない方がいいと勧める場合もある。まさにトラやライオンタイプになることである。特別の場合を除いて、生理不順を心配しなくていいのである。
春爛漫
平成30年3月29日(木)
先週は桜の開花宣言が出たとはいえ雨模様で肌寒かったが、今週になって晴れの日が続き、桜も満開になりすっかり「春」になった。あの寒い冬はどこに行ってしまったのだろうかと思わせる陽気である。これだけ季節の変わり目がはっきりしているから、我々の気持ちも改まり、季節にまつわる文学・芸術が生まれてきたのだろう。比治山の桜も満開になっているが、週末はもう散り始めるに違いない。
昨日は比治山下の公園に夜桜見物にはちょうどいい場所があり、偶々帰省していた次女と孫たち、春から広島で働く息子も参加して夜桜酒飯としゃれこんだ。スカイウオークを使って山に登ってもいいのだけれど、すぐ近くにこんないい場所があるのなら使わない理由はない。大人たちがゆっくり酒を飲んでいる間、孫たちは遊具で遊んでいるので楽である。
毎年、この季節には一回はカミさんと酒飯を携えて夜桜見物をして「あと何回見ることができるのだろう」と話すのだけれど、今回は寒くもなくちょうどいい気温だった。こういうさりげない楽しみの積み重ねこそが人生で、このような普通の日常生活が過ごせるのはありがたいことだとしみじみ思ったことである。
「卵巣癌をめぐる最新情報」
平成30年3月23日(金)
島根大学医学部産婦人科、京哲教授による表題の講演があった。「がん」に関しては原因の究明と治療についての研究が行われてきたが、なかなか決定的な方法がないのが現実である。世界中で色々な試みがなされてきて、血液のがんを含め限られた「がん」に対しては有効な治療法も見つかってきたが、多くの固形がんに対しては困難な状況が続いている。
卵巣癌については卵管の先の「卵管采」が原因で発生する卵巣癌の存在がわかってきて、子宮筋腫などで子宮を摘出する際、以前は卵巣と卵管を残していたが、卵巣はホルモンの分泌に必要なので残すとしても、卵管は同時に切除することが卵巣がんの発生を防ぐ上で有効であることがわかってきた。自分が勤務医の頃はまだこのような知見はなかったので、子宮摘出術の際に卵管切除することは念頭になかったが、当時から同時に切除していた医師もいたようである。なぜ同時に切除していたのかは不明であるが、先見の明があったということか。
今行われている研究なども聞くことができて、このような講演会はいつも刺激になっていいものである。
「帰れないヨッパライたちへ」
平成30年3月15日(木)
表題は学生時代に「帰ってきたヨッパライ」が大ヒットし、フォークの神様といわれ、その後精神科医になりロンドンに留学した後、北山医院を開設、その後九州大学の教授になるなど活躍を続けている北山修氏の著書である。思い起こせば2002年にザ・フォーク・クルセダースの新結成記念・解散音楽会が東京で開かれ、其の後大阪でも追加で行われた時に行くことができて、二度と見ることのできない貴重な演奏会を楽しむことができた。その際に北山修氏の歳を重ねて一層魅力を増した姿を見て、充実した人生を送ってきたのだろうなと感心したものである。
表題の本は、北山氏がどうして精神分析医になったのか、フォークルとして一世を風靡した後どのような人生を歩んできたのかを述べながら、同時に精神分析を通して我々の心のあり方についての見解を示し、これからどのように進んでいけばいいのかなどを、「表と裏」「二人だけの関係と三角関係」「嫉妬」などのキーワードで真摯に語っている。
氏は作詞家としても優れていて、心に響く詩をたくさん書いている。はるか昔、学生時代には「きたやまおさむ詩集」は座右の銘とまではいかないが、よく読み返していたものである。やはりいつになっても氏は我々のあこがれとなるスターなのだと思ったことである。
人工妊娠中絶とピル
平成30年3月9日(金)
我が国で約20年前にピルが解禁されるまで、人工妊娠中絶は多かった。それまでの避妊方法は、副作用の強い中用量のピルかリングぐらいしかなかったからである。リングも今のように避妊効果の高いものではなかったので、リングを装着したまま妊娠しているケースが見られることもあった。今は、副作用の少ない低用量ピルが使われるようになり、リングの避妊効果が高くなったこともあり人工妊娠中絶は減ってきた。
それでもやむを得ず人工妊娠中絶をしなければならない場合は、安全かつ不安のないように慎重に行っている。当院では9時に来院した場合は麻酔・処置後、昼に帰宅してもらい1週間後に異常ないことの確認を行う。その時に今後の避妊についての話をするが、ピルを希望される人も多い。ピルは避妊効果も高いが、副効用である生理痛や経血量の軽減、生理周期の安定など優れた効果があり、将来の妊娠のための調整にも有用である。
低用量ピルが解禁されてからずいぶんピルを処方してきたが、これからもピルの普及に努めていきたいと思う。