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本の整理

令和6年5月17日
自宅の部屋の本棚もクリニックの部屋も本が溢れて置く場所がなくなっている。本棚にはもちろん入りきらず床に積み重ねているが、どうしようもなくなってきた。先日、自宅のマンガや本を段ボール2箱に詰めてBOOK OFFへ持ち込んだら4,000円くらいになった。あと20箱くらいは整理しないと本棚がきれいにならない。昔からこれは!と思って読んだ本は残しておきたいし、少しでも心に残る部分のある本も残しておきたい。もちろんマンガもいいものは残しておきたい。今一番余っているのは(故)さいとうかをのマンガで、ゴルゴ13シリーズ、仕掛け人藤枝梅安シリーズ、雲盗り暫平シリーズで10箱ぐらいあるかも。
古い本でもその当時は琴線に触れ熱心に読んだものは捨てることができない。実際に読み返すと、その頃のことが思い出されて何とも言えない気持ちになる。やはり本とはいいものだと思うが問題は置き場所である。困ったものだ。

休日診療

令和6年5月12日
今日は広島市の休日当番医として産婦人科の診療にあたる日である。年に2~3回まわってくるが、最近は休日が増えたのと施設が減っているため回数が増えてきた。日曜日はゆっくり休みたいがそうもいかない。順番なので連休の中日に当たることもあるし、外せない用事のある日に当たることもある。何回か頼まれて替わってあげたこともあるが、替わってもらったこともある。数か月前に医師会から都合を確認する文書が届くので、予定が決まっている場合はあらかじめ連絡すれば替えてくれる。問題は急な変更で一昨年コロナで入院した時は、知り合いの医師に代わってもらって事なきを得たが、ありがたいことであった。
ただ休日当番に来院する患者さんの数は、産婦人科が最も少なく内科や耳鼻科の患者数と比べると五分の一ぐらいで、果たして必要なのだろうかと思うこともある。最も診療が必要になる妊婦さんは、お産する予定の病院にいつでも相談できるので休日診療の産婦人科には来ないからだ。結構ヒマであるが替わりに日頃できない雑用などができるので、まあいいかと思う。

連休の谷間

令和6年5月2日
今、ゴールデンウイークで長い場合は10連休だというが、当院は暦どおりで4月30日、5月1日、2日は診療している。この連休の谷間は来院者が増えているが「他院で薬を貰っているけれどそこが閉まっているから来た」という人も多い。自分は海外旅行に興味がないし、混雑する上に値段の高くなるこの時期はあまり出かけたくない。もっとも今回は娘の嫁いでいる信州へ行く予定ではあるが。
昨日とは打って変わって今日は快晴で気温も高くなり、初夏のようだ。「夏も近づく八十八夜」と歌いたくなるような日差しである。そういえば「八十八夜」は立春から数えて88日、今年は5月1日が八十八夜だったそうだ。まさに暦どおりで先達はうまいこと言ったものだと感心する。いずれにせよ明日から4日間はゆっくり(でもないか)休めるのはありがたい。このところ忙しくて疲れている。リフレッシュするぞ!

パワーが落ちた?

令和6年4月26日
このところいろんな店に行きたいという意欲が落ちているように思う。以前はいい店があると知ればすぐに予約して出かけていたのに、今は新しい店をあまり開拓していない。旅行でも美味しい店が予約できなければ行かなかったのに、今はあまりこだわらない。数年前までは訪れた店をすべて記録していたが、最近は時々抜けてしまうことがある。何より食べる量が減っている(体重は増えているが)。昼に行く店も量の多くないところを選ぶようにしている。何しろ昼にとんかつを食べただけで体重が500gは増える(ような気がする)。一旦増えたらもう減らない。この間、生涯最高体重になって焦った。やはり代謝が落ちているうえに身体をあまり動かしていないからだろう。
平成22年4月から平成30年8月までの訪れた店の一覧表があるが、全部で260軒、一度だけしか行ってない店から80回以上訪れた店までよくまあこんなに行ったものだと自分ながら感心する。初めの頃は鮨や和食、居酒屋が主だったが次第にパスタ、焼肉などの店が増えてきて大体半々くらいになっている。かつてよく行っていたが行かなくなった店、もうなくなった店、今も通っている店など一覧表を眺めているだけでその頃の思い出がよみがえってくる。
今でも週1~2回は出かけるが、かつてに比べて回数も意欲も落ちている。そろそろ新店開拓しなければと思う。

「穏やかな死に医療はいらない」

令和6年4月19日
表題はがん専門の「緩和ケア萬田診療所」を営む萬田緑平医師の著作である。萬田氏は群馬大学医学部を卒業し17年間外科医として働き数百枚の死亡診断書を書き、その後在宅緩和ケア医になって14年間で1500枚の死亡診断書を書いたという。2,000人以上の死を見てしみじみ思うのは、生き方が死に方に出るということであると。
外科医として第一線で働いているときは、病気を治す・延命を図ることにひたすら頑張ってきたが、治せない・治らないがんを見続けているうちに、治療できなくなった患者さんの悲惨な姿を見るうちに、緩和ケア医になることにしたという。患者さんの治療(抗がん剤など)がいかに過酷で寿命を縮め、穏やかな死を迎えさせなくするかを見て今の診療所を立ち上げたのである。
萬田医師のもとで終末期を迎えた人たちの穏やかな死は、病院でチューブのつながれて苦しんで亡くなることと比べてどんなに人間らしいか。それを実際に行っている氏の著書を読むと、こういう医師が近くにいたらどんなに心強いことだろうと思う。今、日本中で同じような志を持って在宅治療をしている施設も増えているように感じる。そうなってほしいと熱望する。

宇能鴻一郎再び

令和6年4月12日
新潮文庫より復活新刊となった宇能鴻一郎の短編集「姫君を喰う話」と「アルマジロの手」は本屋で偶然見かけて読んでみたが実に面白かった。
氏は昭和9年生まれで、東大大学院在学中に発表した「鯨神(くじらがみ)」で芥川賞を受賞し作家活動に専念する。ユニークな作品を発表していったがいつのころからか「あたし濡れるんです」というエロかわいい官能小説で一世を風靡し、高額所得者の作家部門で7位になり「ポルノ宇能さん」と呼ばれるようになった。その後は氏の作品を見ることはなくなり世間から忘れられた存在だったが、この度初期の作品集が刊行されそのすばらしさに触れて他の作品も読みたくなった。
氏は満州での敗戦体験が原型にあり、食と官能を生命力の象徴として信用し、戦後の文化人が大切にした「正義」や「常識」などは一夜にして変わるものだとして信用していなかった。そして人間の奥底にある欲望、願望、妄想を抉り出す作品を生み出していった。実に味のある作品ばかりで、今後も氏の作品は残っていってほしいと思う。

さくら開花

令和6年4月5日
雨の後さくらの開花宣言が出された。もっと早いと予想されていたけれど寒い日が続いたので遅くなったのだろう。今日は天気もいいし花見に出かける人が多いのではないか。平和公園周辺の川沿いのさくらは見事なので、午後が休みの日は弁当と飲み物を用意して行ったものだ。気温も暑からず寒からずで、まさに花見日和に弁当を広げて季節を満喫するのはいいものである。春はそれだけで気持ちが高揚してくる季節で、それにさくらが加わると「日本に生まれてよかった」と思える。
中学の教科書でならった谷川俊太郎の「はる」の詩は今でも覚えていて、こんな時に浮かんでくる。
はなをこえて しろいくもが
くもをこえて ふかいそらが
はなをこえ くもをこえ そらをこえ
わたしはいつまでものぼってゆける
はるのひととき
わたしはかみさまとしずかなはなしをした

「がんばれ!猫山先生」

令和6年3月29日
表題は、医師でマンガ家の茨木保氏が日本医事新報に16年間連載した4コマ漫画で、毎週届く度に真っ先に読むのがこれだった。残念なことに単行本全7巻までで終了したが、イケてない医者にエールを送りたいという思いが伝わって、いつもほのぼのとした読後感があった。
マンガは小さい頃からずっと愛読しているが、日本語の吹き出しは実にすばらしいと思う。まるで映画を見ているように絵と言葉がマッチして心地よい。愛読していたのはちばてつや作品で、ほとんど持っているが「おれは鉄兵」が一番である。高橋留美子の作品、特に「メゾン一刻」は素晴らしい。故小池一夫原作のマンガもいい。高校時代から読んで今でも買うのは「ゴルゴ13シリーズ」で50年以上になるが、そこまで続いていることに驚く。
いずれにしてもマンガ文化は我々に必要で素晴らしいものだと思う。

邦楽の祭典

令和6年3月22日
日曜日に広島駅前地下広場で「邦楽の祭典」という演奏会が開かれた。最近は尺八から遠ざかっていたのだが、誘われていってみた。筝曲、尺八、和太鼓、三弦、民謡など「和」の世界が広がっていて久しぶりに楽しませてもらった。ただ、地下広場は寒くて長居できず、目当ての演奏を聞いてすぐに暖かい場所に避難した。
問題はその後のことで、午後になると体調が悪くなり、夕方には微熱、食欲はなく下痢など風邪症状が起きたので、早めに休んだらありがたいことに翌日の夕方には回復してきた。以前はこれくらいの寒さでは風邪などひかなかったのにやはり年のせいか。一昨年のコロナ感染も体力が落ちていたためと思われるし、年には勝てないのだろう。最近は散歩もしてないし足腰が衰えていると思われる。まだまだ復活の余地はあるので、このままにしてはおかないつもりである。

「鉄欠乏性貧血のニューノーマル」

令和6年3月15日
表題は広島大学産婦人科准教授の阪埜浩司氏の講演である。鉄欠乏による貧血は主に生理のある女性に起きやすく、我々産婦人科医にとっては日常的にみる症状である。経口の鉄剤を処方するが胃を刺激するので飲めない人もいて、造血剤を注射することもあるが、なかなか難しい。
最近我が国でも使われ始めたモノヴァーという治療剤は酸化第2鉄1000mgを点滴するだけで4カ月鉄剤を内服した時と同じ効果がでるという。特に1か月後に手術を予定していて早く貧血を回復しておきたいときなどは最適の方法だそうである。こんな製剤が出ていることは全く知らなかったので勉強になった。やはり講演や勉強会にはできるだけ出席して聞いておかないと浦島太郎になってしまう。
若い頃は高齢の先生たちの治療を古臭いなどと思ったこともあるが、今になっては若い人たちからは同じように思われているのだろう。歴史は繰り返す。