カテゴリー 日誌

最近の読書

令和6年9月6日
以前は本屋で興味を引く本を見つけたらすぐに買って2~3日のうちに読んでいたが、最近ではすぐには読まないで「積んでおく、つんどく」が増えてきた。新聞や週刊誌の書評欄で見て取り寄せることもあるし、先日は養老孟司氏の「虫展」で陳列されていた「虫は人の鏡」も買ったし、「ホキ美術館展」で見つけた画家・野田弘氏の「写実を生きる」も買ったがまだどちらも読んでいない。こうして「つんどく・積読」が増えていくのである。
嵐山光三郎氏の「老人は荒野をめざす」も三分の一くらいしか読んでないし、青山透子氏の「日航123便墜落の新事実」も読みかけである。昼休みに一人で食事に出るときは、たいてい本持参であるがそんなに読めるものではない。でも手持無沙汰の時は活字がないと落ち着かないので、何かしら読んでいる。たとえマンションの広告でも目で追うのである。忙しい時ほど読みたくなるもので、以前はすごいスピードで次々と読んでいたものだ。本屋へ行くと、つい買ってしまうのでこれからも積読が増えていくんだろうな。

「プレコンセプションケアと葉酸」

令和6年8月31日
台風一過、暑い夏が戻ってきた。表題は山口県総合医療センターの佐世正勝周産期母子医療センター長の講演である。台風接近の夜に行われたが、WEB参加だったので、ゆっくり聞くことができた。佐世医師は「私は赤ちゃんが大好きで、赤ちゃんをみる医師になりたいと思っていました。でも病気の赤ちゃんはつらくて見られないので産婦人科の医師になりました」と言われ、丈夫な赤ちゃんを産むためには妊娠前から準備が必要で、特に「葉酸」の大切さを強調されていた。以前から欧米では二分脊椎などの先天異常が多かったが、我が国では少なかったので、葉酸を無理に摂らなくてもいいと思っていたが、それは過去の話で、食生活が変わってきたのか近年では欧米並みに増えているという。
佐世医師は「葉酸」を自治体を通じて無料提供するよう働きかけ、山口県の半分くらいの市で葉酸を無料提供することに成功し、その運動を全国的に広げようとしている。「葉酸」のサプリの値段は僅かなので自分で買っても負担にならない。妊娠前の2~3か月から内服すればよく、妊娠3カ月まででよいとのことである。
「プレコンセプションケア」は若い世代(女性と夫)のためのヘルスケアで現在の身体の状態を把握し、将来の妊娠や体の変化に備えていくことであるが、知識があるとないとでは大いに異なるだろう。これからは葉酸を薦めたいと思った。

「隠された遺体ー日航123便墜落事件」

令和6年8月23日
表題はノンフィクション作家・青山透子氏の最新作である。氏は元日航の客室乗務員で、東京大学・大学院博士課程を修了、博士号取得、日航客室乗務員を経て関連業務の指導などを行い、各種企業・官公庁・大学等の人材プログラムに携わる。日航123便で殉職した客室乗務員のグループに所属していた経験から、大学院等研究機関で日航123便墜落の関連資料、日本及び米国公文書を精査して調査を重ねている。
以前紹介した森永卓郎氏の「書いてはいけない」の第3章、日航123便はなぜ墜落したかに、自衛隊による訓練の際の誤射による事故で、米軍はそれを知っていたが、政府の隠蔽工作に沈黙を守り、その後さまざまなお返しをするはめになったと書いていたが、青山氏の著書は客観的な記録・記載のみを記し、内容は息をのむような事実が綴られていて、森永氏の書いたことを証明しているようである。
遺族の「本当のことを知りたい」という真摯な問いに、我が国は最高裁までもが突き返すのは、この事故が国家的タブーになっているからだろう。フランスでも同様なことが起きたが、軍関係者のテレビでの発言で世論が騒ぎ、大統領がすべて明らかにするよう命令したことでフランスの正義は保たれたという。
真実はいずれ明らかになるだろうが、それがいつのことかは誰にもわからない。

「虫展」「ホキ美術館」

令和6年8月16日
週刊新潮のグラビアに昆虫を拡大してきれいに写した写真が載っていて、8月の後半まで大分県立美術館で「虫展」として開催されていること知った。主催者はファンの養老孟司氏と小檜山賢二氏である。これは行かねばならぬと思い、湯布院に宿を探し、せっかくだから武雄温泉にも宿をとり車で出かけた。
昼過ぎに美術館に着いたのでゆっくり見ることができた。虫にあらゆる角度から焦点を当てた画像をコンピュータで合成して拡大した写真が多数展示されていて、その多様さと美しさに驚きを禁じ得なかった。その時、写実絵画専門の「ホキ美術館」のコレクションの一部が今、県立熊本美術館で展示されていることを知った。その日は湯布院の宿でのんびり温泉につかり翌日は佐賀県の武雄温泉へ。
そのまま帰るつもりだったが、以前広島でも写実主義の絵画展があり、その精緻な絵に魅了されていたので熊本に寄って帰ることにした。千葉市に設立された「ホキ美術館」は保木将夫氏が2,010年に開設したもので、氏が感銘を受けた細密画的な写実絵画を世に知らしめたいことと、日本の写実絵画を世界に通用する絵にしたいこと、またこの写実絵画が日本で発展していくよう、優秀な新人を育成していくとのコンセプトで造られたという。県立熊本美術館内は空いていてじっくり見て回ることができた。写真と見紛うばかりの精密な美しい絵が作者ごとに展示されていて、好きな野田弘志氏の作品もあった。ホキ美術館10周年記念図録を手に入れて帰路についた。充実した小旅行になった。

「東京いい店はやる店」

令和6年8月8日
表題は日本ガストロミー協会、柏原光太郎会長の著書である。氏は東京生まれ、慶応大学卒業後文芸春秋社に入社、「東京いい店うまい店」編集長を務め、食のプロとして活躍している。偶然本屋で見つけて読んでみたら、今の食の最先端を紹介していて思わず読み込んでしまった。
鮨の名店を紹介した亡き里見真三氏の「すきやばし次郎・旬を握る」を初めて見たのは20数年前であるが、この本が鮨への興味と知識を与えてくれた。また「いい街鮨紀行」も地方の名店を紹介していて、そのうち数軒は訪れたものである。その里見氏の後輩が著者の柏原氏で、この30年間の東京~世界の食の変遷をわかりやすく教えてくれている。世界にはとんでもない食通がいて、自家用ジェット機で世界の名店を訪れたりしているという。世界中を回って食べ歩く人たちをフーディーというそうだが、誰だって程度の差はあっても美味しい店をいつも探しているのである。「すきやばし次郎」は柏原氏が30年前に初めて里見氏に連れて行ってもらったときは「柏原君、ここは当日席が空いていたら1万円で飲まして食べさせてくれるんだ。二郎さんお願いしますよ」と言っていたが、今ではビール一杯くらいでおまかせ握りを30分くらいで食べ終え、数万円払うようになっている。
東京の食文化は世界最高峰で、予約困難な名店が日本中で500軒あるとして、東京には200軒くらいあるという。いずれにしてもネットによって食の情報の世界は大いに変わってきたのである。

月光とピエロ

令和6年8月2日
猛暑が続くが相変わらず自転車通勤をしている。尤もアシスト自転車なので楽であるが。片道15分の間、大抵はその時に浮かんだ曲が脳内を流れている。今日は「月光とピエロ」が流れていた。この曲は、フランス文学者で詩人の堀口大学の処女詩集で、ギョーム・アポリネールと婚約者マリー・ローランサンの悲恋をえがいた詩を、作曲者・清水修が合唱曲にしたものである。「秋のピエロ」は第1回全日本合唱コンクールの課題曲に採用され、後に全5曲の男声合唱組曲として演奏されるようになった。
学生時代に一時所属していた合唱団でこれらの曲を知り、歌っていたので知らずに出てきたのだろう。
「月夜」
月の光の照る辻に ピエロさびしく立ちにけり
ピエロの姿白ければ 月の光に濡れにけり
あたりしみじみ見まはせど コロンビイヌの影もなし
あまりに事のかなしさに ピエロは涙ながしけり
この曲を東京混声合唱団のレコード(古い!)で聞いたときは、その音の重厚さにしびれた。それが頭の中で鳴っていたわけである。
コロナで入院していた時は太田裕美の「木綿のハンカチーフ」がずっと頭の中で鳴っていたから、自分はそういう体質なのだろう。その日によって変わるけれど大抵は何かの曲が鳴っているのである。

最近の外食

令和6年7月25日
暑い日が続くが外食は週に1~2回で以前と比べると少なくなっている。行く店はほぼ固定しているが、新しい店も見つけたいと思っていた。最近、友人に連れて行ってもらった店がよかったので紹介したい。
鷹野橋商店街の入り口近くの店名「ゆすら」は日本最古の酒蔵の酒「山桜桃(ゆすら)」からのものらしい。リーゾナブルで美味しい料理をあてにうまい酒を飲むというコンセプトの日本酒バーで、美人の女性二人がやっている。客は若い人から高齢の女性まで様々だが、皆気持ちよさそうに飲み、料理を楽しみ喋っている。まだ2回しか訪れていないが、定番の店になりそうな予感がある。
料理はおばんざい風で酒のあてにぴったりのものが多く、値段も張らないので若い人も通いやすいと思われる。こういう店が家の近くにあればいいのに。
ちなみに、家の近くにあればいいと思う店は多く、今の定番の店たちはたとえ遠くても通いたくなる店ばかりである。望みは自分が行くことができる間は、営業していて欲しい。店主が高齢で止めたり、病気で無くなったりする店が結構あるから。

「藤井聡太の鬼手」

令和6年7月19日
表題は今を時めく藤井聡太棋士の令和元年から5年までの棋譜から、プロの棋士も驚くような指し手を特集した本である。令和元年から2年までと、3年から5年までとの2冊に分かれ、日本棋士連盟・書籍編集部編である。
彗星のごとく現れてあっという間に八段に上り詰め、タイトル全冠制覇を果たした若き天才棋士・藤井聡太氏の「鬼手」を解説付きで紹介している。終盤の詰めを読むスピードと正確さはぴか一で、途中の指し手の発想もすごいものがある。最近はコンピュータによる形勢判断がある意味でプロの棋士よりも的確になっていて、プロの棋士も参考にしているというが、その読みをさらに上回った発想を示した1局もある。
一時、プロ棋士がコンピュータの将棋ソフトと対戦して負け越したことが話題になったが、藤井聡太棋士のような天才が現れると「まだまだ人間はすばらしいな」と思わずにはいられない。願わくばこのままずっと第一人者で進んでいってもらいたいものである。

ブログ20年!

令和6年7月12日
早いものでブログを始めて20年になる。2,004年4月から始めたので20年と少しである。最近はネタがなくなって本の紹介などを増やしているが、活動力も落ちているようだ。なにしろテニスは足腰が追い付かず、ずっと前にやめてしまったし、散歩もコロナ入院以来週に1~2回、尺八もやめてフルートも中断している。
何より食べる量が減っているが体重は増え気味で、アルコールは毎日おいしくいただいている。新しい店の開拓も以前ほどの情熱はなくなっているが、行きつけの店はいくつか確保している。近場の温泉や西日本の旅も回数が減っている。やはり活動力が落ちると話題も減るということがよくわかる。まあ、年相応の日常生活なんだろうとは思う。自転車通勤も相変わらずだけれど、腹の出た体形が恥ずかしい。それでもこれからジムに通うなんてことはしたくない。日常生活が普通に送れればいいと思っている。
なんだか投げやりな文章になってしまった。

「がん闘病日記」森永卓郎著

令和6年7月5日
表題は経済アナリスト森永卓郎氏の新刊で、近刊の「ザイム真理教」「書いてはいけない」に続く3部作である。現在氏は原発不明のがんを患っていて、抗がん剤の副作用で死にかけ、要介護3の状態になっているが「死んではいいと思ってはいないものの、延命にはこだわっていない」という。それは、いつ死んでも悔いのないように生きてきたし、今もそうして生きているからだ。それを伝えることをメインテーマにしている。
東大の経済学部を出てJTに入社、財務省の奴隷だった経験をもとに書いたのが「ザイム真理教」でベストセラーになった。職場はいくつか変わったが、いずれも面白くて頑張ってやりたいことをやっているうちにコメンテイターとしてテレビに出るようになり、いつのまにかテレビ・ラジオで番組を持つようになった。経済関係の本も多数出版し、獨協大学経済学部教授、農業の経験、60年近く集めてきたおもちゃなどのコレクションを展示する「B宝館」という私設博物館をオープンするなど、やりたいことをやってきた。童話作家にもなりたくて書いた童話もこの本に載せている。
肩ひじ張らず思うままに生きてきた氏の来し方が語られていて、興味深く読ませてもらった。