カテゴリー 日誌

いつもと同じ

令和4年5月6日
今年の連休は、5月1日(日)が広島市の産婦人科当番医のため、3,4,5日だけが休みで、今日から後はいつもと同じである。3日は孫の初節句で両家が集って祝うことができたのはありがたいことだった。あとはどこに行っても混雑しているから近場でごろごろしていた。休みが続くのでつい油断したら体重が増えてしまった。入院で10kg減っていた体重が7~8kg戻ってほぼ元の肥満になった。困ったものだ。
数年前までは連休は国内の名所旧跡を訪ねるべく、宿をとり旨い店を調べて予約したものだった。それが次第に新たな魅力的な場所もなくなり、コロナによる規制もあって早めに予約して出かける気分にならない。旨い店を調べ、予約できたら宿を探すのが基本だったが今は難しくなってしまった。だから連休でもいつもの休日と同じように過ごしている。まさにいつもと同じ日々である。

「まる ありがとう」

令和4年4月28日
表題は養老孟司氏と愛猫「まる」との関わり合いを、秘書の平井玲子氏が写真に撮り、養老氏が文章を書いて本にした作品である。NHKの番組「まいにち養老先生、ときどきまる」で、鎌倉の養老先生の自宅でくつろぐスコティッシュフィールドの雄猫「まる」と養老先生の姿を見ていて、ほっこりした気持になった人も多いのではないか。自分も大好きな番組であった。残念ながら「まる」は16年生きて亡くなったが、養老先生にとってはかけがえのない存在だったようで、文章を読むと喪失感の大きさが伝わってくる。さらっと書いているだけにその奥にある思いが感じられるのである。
養老氏の著作を愛読しているファンとしては、先生にとってはもちろんだが「まる」にとってもすばらしい猫生(人生ではなく)がおくれてよかったと思う。BSで今でも「養老先生」の番組をやっているが、「まる」がいなくなったことを思い出させるシーンがしばしば現れる。「まる」は養老先生と不思議な「縁」があったのだとしか思えない。

日常生活

令和4年4月21日
退院後、仕事に復帰して今まで通りの生活に戻り、日々普通に生活しているが、これがどんなにありがたいことか実感している。若い頃は元気なのが当たり前で、そのありがたさなど考えたこともなかったが、この年になり入院を経験すると強く思う。このブログを載せるようになったのは2,004年の4月なので今年で18年になるが、はじめの頃は健康はあたりまえで病気のことなど考えてもいなかった。だから思いつくまま好きなことを書いていたし、医療の世界での不都合なことや不誠実なことにもすぐに反応して思いを書いたり、社会のことにも意見を述べたりしている。今でも言いたいことはいっぱいあるが、言ってもどうしようもないと思って静観することが多い。世の中はなるようにしかならないから、普通の日常生活が送れることがありがたいことを実感しながら日々を過ごすことになる。
日常生活を普通に送れるのが一番ありがたいことだと思う。

更年期について

令和4年4月14日
今朝のNHKの番組で、更年期症候群のために仕事を辞めた人が症状の出た人の5%に及ぶ、と報道していた。更年期症候群は40代後半から50代前半の閉経前後の女性に、ホットフラッシュ(ほてり)・発汗・動悸など自律神経の失調が起きている状態で、原因は卵巣の機能低下によるものである。多くの人は、ほとんど感じないか軽い症状なのでやり過ごしているうちに閉経になり安定してくるので受診の必要はないが、仕事に差し支えるくらい症状の重い人もいる。
自律神経失調は男女を問わずあらゆる年代の人に起き、なかなかいい治療法がないが、更年期症候群は原因が女性ホルモンの低下・変動によるものなので、ホルモンを補えば治療できる。女性ホルモンは、元来卵巣が作っていたものだから補うのは自然である。手指のこわばりなどにも効果があり、リウマチかと思って散々調べたけれどわからず、婦人科を受診してホルモンを補うとよくなったケースも多い。
我が国はいまだにホルモンに対して「怖い」と言う人が多く、世界では常識のピルでさえ普及が遅れている。30年以上前から「ホルモンはちゃんと使えば安全で女性のためになります」と言い続けているのだけれど。

ウイルス学者の責任

令和4年4月7日
昨年11月に紹介した「京大おどろきのウイルス学講義」の続編である。著者は京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏である。ウイルス学の専門家として一貫して訴えているのは、日本の自粛要請は過剰であり、スポーツイベントやコンサートの中止は不要だった、ルールを決めれば飲食店を休業にしなくてもよかった。そして、子供がワクチンを打つことには強く反対したい。個人の感染症対策としては「100分の1作戦」で充分であり、一般の医療機関で風邪やインフルエンザと同じようにコロナ感染者の診療をして、重症者のみ一部の専門医療機関で治療すればよい、ということだった。これらを訴えるのはウイルス学者の責任である、と考えての提言である。
宮沢氏はウイルス学の第一人者ともいうべき専門家で獣医師でもある。氏は専門家会議のメンバーはウイルス学については素人ばかりだと思ったというが、理由はガイドラインに「石鹸で手を30秒洗ってください」という項目があったからだという。感染経路として手を通じてウイルスに感染することは「ほぼない」と言えるくらいのレベルで、ざっと手洗いをするだけで充分であるそうだ。一事が万事ですべてにわたって過剰反応と、事なかれ主義が重なって今のコロナ対策になっていると看破している。一般の人だけでなく医師・役人・政治家も読むべき著作だと思う。

桜満開

令和4年4月1日
先週、桜開花宣言が出たが、今週は雨や気温の低下で花見が難しかった。そろそろ桜も散り始めているが、この季節はやはり花見をしたいものだ。今日の新聞のコラムに、花見の習慣があるのは世界中で日本だけだとのことだったが、いつまでも続いてほしいものである。桜は一斉に開いて散っていく瞬時の輝きとはかなさがあり、日本人の心情に合っているのだろう。その輝きのわずかな時間を皆が集まって酒食を共にして楽しむ。平和な我が国ならではの習慣である。
今年は夜桜は寒いので駄目だし、昼間は仕事で難しい。久しぶりに花見なしの年になりそうである。暖かくなれば葉桜の下で軽く酒飯もいいかもしれない。新型コロナ感染後、アルコールがあまり飲めなくなっているので少し物足りないとは思うけれど、この季節を満喫したいものである。

新型コロナ感染記

令和4年3月25日
新型コロナに感染して入院し、クリニックも1か月以上休診することになった。まさに青天の霹靂である。重症化して入院したけれど回復して診療再開できたことは、本当にありがたいことだと思っている。
2月1日の夕方、軽い悪寒があり風邪かな、と思ったがその後は何ともなく過ごしたが、夜中にのどの痛みがあった。翌日、午前中に熱を測ると37,1°あり、念のために内科でコロナPCR検査をしてもらった。2月3日の夕方、PCR陽性との連絡があり、保健所に連絡したら自宅待機の指示があった。急なことで患者さんの処置の予約や薬、ピルなどの処方があり、2月4日からは対面診療せず指示で行うことを了承してもらった。症状はのどの痛みだけで、すぐに治るだろうと楽観していた。ところが徐々に体調が悪くなり、食欲もなくなりSpO2の値も低下してきた。2月10日の深夜、発熱とSpO2の低下があり翌日、保健所の指示で近医を受診し入院を勧められた。
2月11日に県立広島病院の呼吸器科(コロナ専用病棟)に入院し治療開始したが改善せず、15日に気管内挿管、ステロイドパルス療法、体位変換などにより回復の兆しがあり17日に挿管抜去、その後は徐々に回復してステロイド離脱、3月3日に退院となった。退院後は身体を慣らしていき、10日より診療を再開することができた。先週までは息切れがあったが、今週はほとんどなくなって通常の生活に戻っている。
今回の入院では、病院の医師・スタッフに本当にお世話になった。最善の処置をしてもらい回復することができた。看護師さんの手厚い看護もありがたかった。また、急に休診したために迷惑をかけた患者さんも多かったと思う。患者さんを受け入れていただいたN先生、当番医を代わっていただいたM先生には深く感謝している。また、急な休診で迷惑をかけた当院のスタッフ、検診を依頼されているK医院やTクリニック、S薬局など申し訳ないと思っている。でも一番心配をかけたのは家族で、家族の支えがなければどうなっていたかわからない。感謝してもし足りないと思っている。これからは有り余るほど時間のあった入院中に考えたことを基に、長くない人生を悔いのないように過ごしていきたいと思っている。

診療再開

令和4年3月12日
3月10日から診療再開できた。退院したのが3月3日、自分としては7日から再開のつもりだったが、さすがに3週間の入院の後では身体を動かすのもままならぬことがあり、10日に延ばしたのである。じっと座っていたり、ゆっくり動くには問題ないが、散歩すると息切れがするので当分散歩の類いはしない。
再開は木曜日、午前中だけの日だったので身体を慣らす意味ではちょうどよかったけれど、ありがたいことに50人以上の患者さんが来院されたので結構疲れた。でも徐々に体が適応してくるのがわかり、今日で3日目だけれどもう大丈夫だと実感する。長いこと休診して皆さまにご迷惑をおかけしていることは、入院中(回復期)特に気になって、担当の医師に早く退院させてほしいと何度も言っていた。担当の先生から、ステロイドを慎重に離脱する必要があること、再び症状が悪化したらアウトだと説明していただき体調回復に専念した結果、めでたく退院となった。
入院中、考える時間はいっぱいあり、来し方行く末も考えて得るところが多かったと思う。今日の日差しは春のようだが自分の気持ちもそうなっていくようだ。

もう2月

令和4年2月2日
ついこの前、新年を寿いでいたのにもう2月に入ってしまった。一月は往(い)ぬる、二月は逃げる、三月は去る、というがこのスピードで日々が過ぎてゆけば一年などあっという間だろう。かつては平均寿命が50年だったので、50歳を過ぎれば余生だと思っていた。今の我が国の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳なので余生が30年以上あることになる。元気なままでの30年ならいいけれど寝た切りなどでは長生きしてもつらいばかりだろう。でも寿命ばかりはどうにもならないので考えても仕方がない。とりあえず一日一日を大切にして過ごすしかない。作家の山口瞳氏は「今日無事」と筆で書いて懇意の宿に贈っていたそうだが、その後割合早く亡くなられた。こんなことを書いた自分も…とりあえず「今日無事」である。

WEB研修会

令和4年1月26日
「今さら聞けないコロナとワクチンの話」と題した長崎大学医学部小児科、森内浩幸教授の講演があった。ウイルスの基本の話からコロナウイルスについての説明、新型コロナウイルスの変異、ワクチンの効果、現在流行っているオミクロン株についてなど、タイムリーな話で興味深く聞いた。自分の理解していることと違いがあるかどうか考えながら聞いたが、あまり変わりがなかった。
武漢コロナ~新型コロナについての本はいろいろ読んでみたがウイルス感染は防ぐのは難しく、変異して弱毒化して皆が抗体を持つまでは収まらないようである。アジア人、日本人は昔からコロナウイルスにさらされ続けてきているので、しっかり抗体を持っている。だから欧米であれほどコロナによる死者が出ているにもかかわらず、インフルエンザ並みの死亡数で済んでいる。ここへきて感染力の強いオミクロン株に置き換わってきたが、この株は肺炎を引き起こす率はインフルエンザ並みなので、ある意味自然のワクチンのようなものだと思う。最後にフロアからの「実際のところどうなるとお考えか」に対して「2月いっぱいで自然に収まるのではないでしょうか。ワクチンの追加接種は間に合わないかもしれません」と言う言葉には大いに賛同した。