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子供の名前にみる漢字文化の変遷

平成16年12月17日(金)
今年生まれた子供につけた人気のある名前が男女共に1位から10位まで発表されていた。男の子の1位は「蓮」で、女の子は「さくら」と「美咲」だそうだ。 言葉、いいかえると国語こそがその国のアイデンティティーそのものであるから、親が子供につける名前は今の日本の状況の一端を表しているといってもいいのではないだろうか。なぜなら親が子供に名前をつけるときほど真剣に文字や漢字を検討することはないと思うからである。皆わが子に幸せになって欲しいという願いをこめて名前をつけるだろうから、一生懸命願わしい文字や漢字を考えるのである。
日本は外来文化を取り入れて生存してきた国であり、わずか百年前までは漢字文化がほぼすべてであった。だから日本語(やまとことば)と漢字文化のみごとな 融合が日本語そのものであった。ところが、明治以来欧米の言葉を知る必要にせまられると、これまたしっかり取り入れており、いまでは外来語(カタカナ)なくしては話ができないぐらいである。無論、漢字文化に比べて歴史が浅いので単語のみではあるけれども、その分だけ漢字文化に対する感覚が弱まってきているように感じる。それを端的に表しているのが子供の名前だというのは言い過ぎだろうか。
文字の意味そのものを考えると、どうして?と思われる漢字を使った名前が少なからず見られるのは、漢字文化の影響が弱くなっているのではないか。もちろん流行でつけた名前も多いだろうが、流行こそ国の状態を表しているという意味では同じである。漢字の意味が気になる世代としては、引っかかる部分があるのも事実である。
今日は理屈っぽくなってしまったが、日頃思っていることを書いてしまった。

荒城の月尺八研究会

平成16年12月14日(火)
12月も半ばになると、暖冬とはいえさすがに寒くなってきた。それでもコートが必要とは思わないのでまだ例年よりは暖かいのだろう。
昨夜はひさしぶりに「荒城の月尺八研究会」と称して(二人だけの会であるが)クリニックで尺八を吹いて、その後食べて飲むという楽しい会を行った。なにしろプロ級のすごい人なので私の腕ではさぞかし迷惑をかけているだろうが、いやがらずに付き合ってくれているのはありがたいことである。すごいと思うのは飲み屋などで彼が戯れに尺八を吹くと、居合わせたほかのお客さんたちが静まり返って聞きほれた後、万雷の拍手が起こることである。この時はわがことのようにうれしい。私もうまくなりたいとは思うのだが、こればかりは才能の問題もあり難しい。でも、地道に練習していくつもりである。
今日は長いこと来ていなかった久しぶりの患者さんが多い一日だった。

ハーレムゴスペルクワイアのコンサート

平成16年12月11日(土)
昨夜はハーレムゴスペルクワイアのコンサートに行った。このグループは15年の歴史を持ち、アメリカゴスペルの代表といわれているそうであるが、その迫力には圧倒された。声量がすごい、低音から高音、高音から低音への移行のスムーズなこと、生来持っているスイングのうまさ、パフォーマンスの巧みさ、どれをとっても超一流であった。一人一人がすばらしいシンガーである。さすがに世界に通用するグループはすごいと感心した。
家へ帰ってテレビを見ると、70年代80年代のフォークなどの映像が映されていたがあまりの違いに驚いた。以前は結構好きだったし今も嫌いではないのだが、あんなすごいのを経験すると日本のものがアマチュアかと感じるぐらいに違う。どう考えても世界には通用しないだろうと思った。もし通用するものがあるとしたら、日本に古くからある民謡ぐらいだろうか。むこうの真似をしても日本の国内以外では通用しそうにない。DNAが違うとしか言いようがない。そう思わせるぐらいすごかった。
今日は土曜日であるが朝からばたばたと忙しく、夕方になってやっと落ち着いているところである。

混合診療について

平成16年12月9日(木)
混合診療について色々な意見があるようである。ものごとは単純に考えた方が良いと思う。つまり、どちらが受益者(患者)のためになるかである。現行の制度では、保険診療外の検査や治療をすると保険の分まで自費となる。これは患者のためにはならない。だから患者のためには混合診療のほうがとりあえず良いのであるが、問題は国はお金が足りないために医療費を減らしたいので、本来保険でできていたことまで自費にするかもしれないということである。だから将来結局患者に不利益になるというわけである。たしかにそうかもしれないが、古来統制経済にしてうまくいった例を知らない。統制は緩やかな方がいい。最も統制の強い国々がどうなっているかは、歴史的に明らかだろう。
難しい議論はいろいろあるだろうが、医者はとりあえずどうしたら目の前の患者さんが良くなるか、いまより幸せになるかだけを考えていればよいのである。そうであれば自ずから答えは決まってくると思う。

医療施設過密地域

平成16年12月6日(月)
私が開業している場所は医師会での地区分類では袋町東地区という区域(広島市中区を10余りの地区に分けたうちの一つ)であるが、驚くなかれ43施設の開業医院(病院を含む)がある。これは私の出身地笠岡市の全体の医療施設の数とほぼ同じである。なんという過密地域だろうか。なにしろ袋町東地区の範囲は歩いて東西5分、南北10分ぐらいの広さである。広島市でも最大の医院過密地区だと思う。ということはおそらく中国・四国地方で一番過密だということになる。なぜこんなことをいうのかというと、地区医師会の忘年会があり名簿が配られたのを見て改めてその数の多さに驚いたからである。
広島市中区はわが故郷笠岡市北川(以前は村だった)と同じぐらいの広さである。その北川地区にある医院は以前は2施設で今は1施設ではないかと思うのだが、医療施設の集中と分散の差にはすごいものがある。改めて驚いた次第だ。

開業が増えた

平成16年12月4日(土)
暮れに配られてくる今年の産婦人科同門会の名簿を見て驚いたのだが、新たに開業した先生の多いこと。今までで最高ではないだろうか。大学の医局制度がなくなることと関係あるのだろうか。医者が増え病院のポストが限られていることも原因だろうが、他の業種と同様生存競争がきびしくなっているようだ。もっと も、日本はまだまだ米国と同様栄耀栄華を誇っている部分があるので大丈夫とは思うが、落ちるときは早いので注意が肝要だ。
日本の歴史が教えてくれているように「平家物語」しかり、藤原道長の栄華しかり、思いがけないことが起こるのが浮世というものである。一人の人間の歴史でさえ、病気をはじめ何が起こるかわからない。とりあえずそういうつもりで一日一日を丁寧に過ごすしかないのだろうが、どうしようもない時もあるという覚悟は必要だろう。

思い立ったらすぐに

平成16年12月1日(水)
12月になったというのに妙に暖かい。風邪も、初期症状のみでひどくならずにすんだのはありがたいことであった。先日、豊平のそばの店「雪花山房」に久しぶりに行ってみたが、途中の路にまで車が止められていてとても行けそうになく、引き返してしまった。もともと知る人ぞ知る店であったのだが、こんなに多いのは初めてだった。テレビの情熱大陸で紹介されてかららしい。なにしろ店が開いているのは土日ぐらいで、それも毎週というわけではないので無理もないだろう。もうここの店のそばは食べられないかもしれない。前に何回か行っておいてよかった。
そばに限らず、なんでもそのときそうしておけば良かったと思うことはよくある。若いうちはいつでも取り返せると思っているが、だんだん取り返せないかもしれないと思うようになる。経験をつんできたからなのか、残りの人生が少なくなってきたせいなのかはわからないが、今は何でも思い立ったらすぐにするように している。

風邪の初期症状

平成16年11月29日(月)
土曜日に忘年会があり、ワインがおいしかったので飲みすぎてしまい、その後濃いウイスキーも飲んだためか、まだのどが痛い。元来耳鼻科系が弱いので、アルコールはのどに良くないのだろう。昨日は休肝日にしたが、今日も休肝日にするつもりだ。
今日は暖かいいい日和である。昼間は上着なしでもいいぐらいだった。今年はいつまでも気温が高いので、12月になって雪が降るのか心配になる。スキーが好きなわけではないが、ワンシーズン2~3回はよたよたと滑ってみたいので。
夕方になってのどが痛くて肩がこってきた。少し熱っぽい感じもある。どうも風邪の初期症状のようだ。今日は早く帰って寝よう。

忘年会シーズン

平成16年11月25日(木)
いよいよ忘年会のシーズンである。忘年会というより、なんだかんだと理由をつけて飲み会をするというのが本音だろうが。スケジュールが埋まっていくのはうれしいのだが、元来アルコールに弱いくせに好きなもので、いかに体をいたわるかが問題である。ポイントは、①毎日は飲まない②量を減らしてゆっくり飲む③つまみはしっかり取る、ぐらいだろうか。困ったことに体重が完全に増えてしまってカロリー制限が必要になったのでつまみをひかえなければならない。中年に なると同じような悩みをかかえたオジさんたちも多いと思うが、忘年会に限らず他国ではどうなっているのだろうか。
スペインではバル(居酒屋)がたくさんありピンチョス(串にさしてつまめる料理、いろんな種類がある)をつまんではビールかワインを一杯飲んで次の店に行き、またその店の自慢の串をつまんで一杯、わいわいしゃべりながらこれをくりかえすという。なるほど飲みすぎず体にも負担が少なそうだ。昔スペインに行っ たときに何軒かバルへ行ったことがあったが、確かにそんな雰囲気だった。夜の12時頃はまだ皆結構飲んでいたようだった。休日などは家族連れでバルへ行き 楽しく食べたり飲んだりするが、その間子供はその辺を走り回っていても皆気にしないそうだ。スペインは全部が家族みたいなものだかららしい。壇一雄がスペ イン、ポルトガルあたりが大好きで何年も滞在したのもわかる気がする。
いずれにせよ飲み過ぎないように注意しようと思う。

「縁」という言葉

平成16年11月22日(月)
「縁」という言葉は非常に深い意味を持った日本語である。おもに男女の間をはじめ人間関係で使われるが、就職活動でめざす会社に入れなかった場合でもその会社に縁がなかった、というふうに使われるし、そのほか色々な場面で使われてぴったりする言葉である。どんなに愛し合ったカップルでも別れてしまえば「縁」がなかったということだし、社内で頑張って上のポストを狙っても本人の力とは関係ない理由でだめなこともあり、こういう運も含めたもろもろの現象をまとめて「縁」というのである。もともとは仏教の言葉で、原因によって結果を生じるがその原因を助成するさまざまな要因のことを「縁」といったようだ。
なにげなく使っている言葉であるが、考えてみると実に深い意味があるものだと改めて思った次第である。