カテゴリー 日々是好日

秋晴れの日

平成16年10月4日(月)
久しぶりに秋晴れでいい天気である。やっと秋らしくなった。こんな日は仕事を休んで野山を散策してみたくなる。私の場合は散策などというものではなく、弁当とビールが必要であるが。きれいな湧水があればコーヒーを淹れてもいい。奥深い谷川のほとりで尺八を吹いてもいいし、寝転んで文庫本を読んでもいい。じつに気持ちの良い一日となるだろう。
現実には仕事を休むなどとんでもないことで、野山を散策するような気持ちの余裕もない。それでもそうしたいと思わせるような秋の日であった。

禁煙

平成16年10月2日(土)
タバコをやめてもう4年を過ぎた。はじめはやめる気は全くなかったのだが、鼻ポリープのため呼吸が苦しくなり止めざるを得なくなったのだ。ある日それまで 吸っていたタバコを「止めた!」と言って捨ててから、一本も吸っていない。家にもクリニックの自室にも、封を切ったマイルドセブンと灰皿、ライターがいつでも吸えるように置いてある。はじめの頃は時々横目で見ていたが、そのうち気にならなくなった。
その後時々、タバコを吸っている夢を見ることがあった。タバコを吸っている自分に気がつき、「しまった」と思って目がさめるのである。まさにニコチン中毒である。だいたい体に悪いものや、してはいけないことに限って味わい深いものが多いのも事実である。タバコなどは合法的なぎりぎりの、体には悪いが味のあるものであろう。他にもこれに似たことやモノはそこそこあるが、それらを味わえない人生は味気ないと思う。せいぜい体と相談してぎりぎりで味わっていきたいものだ。

台風がまた上陸

平成16年9月29日(水)
朝から雨でいやな天気だ。また台風が九州に上陸したとのこと。午後からはビルがきしむ音がした。しっかりとした造りのビルなので心配はないのだが、音がすると気持ちが良くない。今年は台風が日本に上陸した回数が、過去最高とのことである。過去最高ということは、今まではどうであれいつも何が起こるかわからないということである。
我々の日常診療でも何が起こるかわからない。今まで起こったこともないようなことがおきるかもしれない。そのときにあわてないようにしようといつも思っているのだが、実際におきたらうろたえるだろう。以前、地震の時は診療中であったが腰がひけてしまった。幸い医療器具を入れておく戸棚が倒れてガラスが割れただけで人的被害がなかったのでよかったが。いくら「備えあれば憂いなし」といっても、「天災は忘れた頃にやってくる」のでどうしようもないだろうが。

疲れ気味

平成16年9月25日(土)
ここのところ飲む機会が続いていささか疲れ気味である。それなら飲みに行かなければ良いのだろうが好きなもので、つい出かけてしまうのだ。来週は少し控えようと思っている。
今日は朝からばたばたと忙しく、二日酔い気味でいっそうしんどかったのであるが、昼はしっかりと鍋焼きうどんを食べてしまった。最近では飲んだ翌日の昼はこればっかりである。食欲が落ちることは、まずないのがこわい。疲れたので早く帰ってER(ビデオ)でも見てゆっくりしよう。

食いたい放題

平成16年9月22日(火)
天高く馬肥ゆる秋である。ごはんがおいしい。体重の心配さえなければ飯をぐいぐい食ってみたい。現実には、ごはんにたどりつくまでにビールとつまみで八割方腹一杯になっている。そこで、茶漬けで一杯、漬物で一杯、いくらでも食べたいと思うがもう入らないのが実にくやしい。
色川武大という作家の著書に「食いたい放題」という秀逸な作品があったが、これを読むとこの作家は本当に食べることが好きなのだと思う。そして、その考えに共感する部分が多く、自分も同じ体質だと改めて思う。食いしん坊にとっては昼食は夕食を何にするか考えながら食べるので、その内容もそれによって決ま る。間食などすると夕ごはんが美味しくなくなるので、しない。当然体重が増えるだろうが秋である。美味しく食べられるうちが花だと思っている。

休みに対する気持ちの変化

平成16年9月13日(月)
9月は休みの多い月だ。勤務医時代は休みは貴重で、休みの日は産直でなければ必ずどこかへ遊びに出かけていた。家にじっとしているのがもったいなくて、ゴルフに行ったり、家族でどこかに行ったりしていた。
ちなみに産直とは、産科の日直当直のことで、その日は24時間待機していることである。朝病棟で回診などを行い、お産が入っていれば状態を診て指示を出す。もちろんお産になれば赤ちゃんをとりあげるし、必要があれば緊急帝王切開も行う。夜中でも容赦なく呼び出される。全然寝てなくても翌日はいつもと同じ勤務である。これが2~3日ごとにある。勤務していた病院はお産が多かったので、しょっちゅう起こされていた。産科医の宿命とはいえ、さすがに40代になると起きるのがしんどくなり、このまま続けていくことに不安を感じ始めていたのである。
その後縁あって開業してからは、夜起こされることがなくなって生き返った心地であるが、反面、休日が以前のように待ち焦がれるものではなくなった。ぜいたくな話であるが、もう休みかと思ってしまう。あのしんどかった日々は忘却の彼方となっている。ありがたいことである。

かけす

平成16年9月8日(水)
台風一過、昨日の風雨がうそのようなおだやかな日となった。もうすっかり秋だ。尾崎喜八という詩人の作品に「かけす」という詩があるが、その一節に「山国の空のあんな高いところを/二羽三羽 五羽六羽と/かけすの鳥のとんでいくのがじつに秋だ」というくだりがあるが、窓から空を見上げていると思わずその詩を口ずさみたくなる。
このままおだやかな日が続いてくれることを願って一日を終えよう。

滲出性中耳炎

平成16年9月1日(水)
ここのところ飲みの機会が多く、アルコールに弱いくせに好きなので結局遅くまで飲んでしまい、いささか疲れ気味である。今年は広島に台風が上陸した2回と も飲みに出ていた。そんな日はお客さんは少ないと思うだろうが、結構人が出ている。こういう遊びのパワーはいつの世も強いと納得。
当クリニックは今月の10日で丸7年になる。あっという間だったような気がするが、ずいぶん色々なことを考えさせられた日々でもあった。何はともあれ、また新たな気持ちで診療して行こうと思っている。
耳の調子が悪いので同じビルの耳鼻科で診てもらったら、滲出性中耳炎で鼓膜切開が必要とのこと。子供ではよくある病気だがいい年をしたオッサンがなるとは、いささか恥ずかしいが仕方がない。きっとアルコールのせいだろうと反省している。8年目の始まりとしてはいささか情けないがいいこともあるだろう。

夏の終わりに

平成16年8月30日(月)
とうとうオリンピックも終わった。8月ももう終わろうとしている。台風も近づき、一気に秋の気配が濃くなってきた。まさに「祭りのあと」である。
昔から夏の終わりには物悲しさを感じていたが、こんな風に感じるのは自分だけではないようで、洋の東西を問わず詩や小説などにたくさんでてくる。中には祭りのあとのさびしさが嫌いなあまり、「祭りのあと」などは存在せず、祭りが終わった瞬間につぎの祭りに向けて準備が始まるので「祭りのまえ」しかないのだとこじつける著名人もいたが、やはり感覚的にぴったりするのは「祭りのあと」であり、宴が終わった満足感の混じったさびしさであろう。そう思うのはやはり人間が死すべきものだからだ。人生で例えると祭りは夏の盛り、青春期からの15~20年ぐらいで、あとは秋、冬となっていく。人生は後戻りできない。季節は繰り返すが、人生は盛の夏が過ぎれば秋、冬と続き二度と春に戻ることはないのだ。むろん、豊饒の秋は実りの季節だし、寒い冬でもそれなりに風情があるが青春の夏にはかなわないだろう。
こういうことを考えるのも、夏が終わろうとしているからだろうか。

老々介護

平成16年8月27日(金)
日差しもだいぶ和らいできた。暑い夏は我々はまだいいが、高齢になるとこたえると思う。亡くなった祖母はいつも「今年の夏は過ごせるかなあ」と言っていた。田舎の両親も元気だったのだが、最近母親が腰をうってあまり動けなくなり老々介護の状態である。今はまだ父親は元気なのだが、母親の介護に疲れてしまっている。今度の日曜に様子を見に帰る予定であったが、施設で何日間か見てもらうということで、今回は帰るなとのこと。いずれにせよ心配だ。このままでいいわけがない。兄達と話し合って最善の方法を考えなければ。