平成25年9月19日(木)
相変わらず桂枝雀のCDを聞いているが最近、初期の頃の音源を入手したので聞き比べている。枝雀25歳から全国的に有名になった40歳までのNHKラジオアーカイブスからの音源20席である。25歳の頃はまだ前座で「小米」と呼ばれていたが、話は流暢で教科書に載せたいような完璧な落語である。習った通りに正確できちんとした、いわば楷書の落語である。わずか入門5年目とは思えない出来で、これなら真打ち昇進が早いのもうなずける。その後の語り口の変遷は周知のことであるが、やはりきちんとした基礎があってこその変化であろう。周囲の人たちは「枝雀は化ける」と言っていたそうだがその通り大化けして全国的な人気者になった。
枝雀のもう一つの魅力は「まくら」が面白いことである。「まくら」とは落語の話に入る前にする短い話で、いわば導入であるが、独特の視点と語り口で面白く、彼のまくらを楽しみにしているファンは多かったようだ。昔から名人上手は多いが、やはり枝雀の落語は何度聞いても飽きない面白さがある。
カテゴリー 日々是好日
初期の桂枝雀
最近の昼食
平成25年8月30日(金)
開業して16年、気にいった店には飽きもせず毎週1度は食べに行っている。かつて気にいって通っていたが、店主が高齢のため閉めたり、そのほかの理由で現在なくなった店などもあり時の流れを感じる。それでも多くの店はこの十数年変わらず、美味しい料理を提供してくれているのはありがたいことである。
偶然見つけた「こけもも」という店のビーフカツはいい肉を使って塩加減、焼き加減が好みにピッタリで毎週通うようになり、昼食のローテーションに入ってしまった。ここは1年前に若い夫婦のシェフが始めた小さな店だが、味がしっかりしているのでいつも満席である。奥さんシェフは広島の老舗洋食屋「広亭タナカ」の長女さんとのことで、さすがだと思ったことである。若い才能が出てくるのはすばらしいことで、このまま頑張っていってほしい。
お盆休み
平成25年8月17日(土)
今年の盆休みは次女の里帰り出産後と重なって、久しぶりに我が家にほぼ全員がそろっての宴会、その後の花火もできてにぎやかであった。いつも「乾杯」しているので、先日2歳になった次女の長男もすっかり覚えてしまって、「乾杯!」と言えば吸い口のついたお茶のボトルを持ってまねをするようになった。近くに住んでいる長女の子供たちと一緒に走り回って幼稚園のようである。皆が集まって楽しく過ごすことができるのは、本当にありがたいことである。でも、いずれこのような機会は持てなくなるだろう。とりあえず今、この時を大切にして日々過ごして行きたいと思う。
病は気から
平成25年8月1日(木)
「病は気から」という言葉は昔からあることわざである。この1カ月、まさか自分がこれを実感するようになるとは思わなかった。
1か月前にある症状があり、泌尿器科の友人に相談したら「早く検査した方がいいぞ」とのことであった。木曜日の午後しか受診できない自分としては、その後は特に症状もなかったので心配ではあったが休診してまで検査に行く気にもならず、盆休みに友人の病院で検査してもらうことにした。問題はその後である。少しでもヒマがあると最悪の事態を考えてしまう。私は近藤誠医師の説に全面的に同意しているので、早期発見の意義を認めていない。とはいえ、日ごとに募る不安感はどうしようもなく、加えて左前立腺周辺の不快感があらわれてきた。イスに座ると不快感が増すので、診察の時以外は立つか横になるかしていたが、横になっても不快感がおきるようになったので盆を待たず受診することにした。
友人の病院は遠いので、出身大学の後輩が部長をしている広島市民病院で診てもらうことになった。結果、最悪の疑いは晴れたが彼が言うには「慢性の前立腺炎がある場合、または以前炎症があった場合、不安感などがトリガーとなって不快感・痛みを感じる神経回路ができ症状がおきるその典型です」とのこと。1週間、抗生剤などを処方されていたが、それも不要とのこと。以後、痛み不快感もなくなりもとの状態に戻った。
ありがたいことであるが、あの痛み・不快感はなんだったのか。実際、休診するか替わりの医師を頼もうとしていたのだから。思うに最悪の事態を考えて、意識が知らず知らずのうちに前立腺周辺に集中し、神経回路ができ症状がおきたのだろう。まさに「病は気から」のことわざどおりの貴重な体験であった。
広島県の軽井沢
平成25年7月25日(木)
猛暑の日曜日、思い立って生まれて3週間の孫も連れて皆で県北の「ファームノラ」へ行った。11時ぐらいに着いた時には1組しか客はいなかったがその涼しいこと!木立の中に作られた手造りのベンチに座ると爽やかな風が頬に心地よい。石窯前でのんびり座っている店主が「ここは軽井沢ですよ」とつぶやいたが、本当に気持ちの良い環境だった。この店は料理が出てくるのに時間がかかるので、早速注文してのんびり待つことにする。今日はいつものイヌたちはいなかったけれど、羊は囲いの中で草を食んでいた。
その後続々人が増え、あっという間にほぼ満席になった。ドッグランの場所もあるのでイヌを連れてくる人も多い。バイクツーリングの中高年のオジさんたち。皆のんびりとこの環境を楽しんでいる様子である。そのうち注文した料理ができていつものうまい石窯ピザや鴨の燻製、最近お気に入りのボルシチなどを堪能した。下界の暑さがウソのようなひと時であった。
マイブーム
平成25年5月24日(金)
文芸春秋9月号の「ジブリ名作の舞台裏を話そう」という記事を読んで、宮崎駿監督の作品は後世に残るすばらしいものだと改めて思った。そこで、「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」の3本のDVDを手に入れ、寝る前にウイスキーの水割りをちびちび飲(や)りながら鑑賞することにした。それまでは桂枝雀にはまっていたのだが、ある日ふと興味が薄れてきていたのである。
ところが初めの場面をしばらく見たあと気が付いたらエンディングマーク、いつの間にか眠ってしまっている。今日こそは最後まで見ようと思ってもなかなか難しく、結局1本見るのに何日もかかってしまった。それにしても良くできたアニメだと思う。小学生の頃、ディズニーのアニメを見た時の感動とは少し異なるが、どこかなつかしい気持ちにさせてくれる。とくに「トトロ」は小さい頃育った田舎の風景そのものである。
今回のジブリブームはあまり長くは続かないだろうが、いつも何かマイブームがあるのは楽しい。
木曜日の午後
平成25年4月26日(金)
木曜日の午後は休診にしているが、日曜・祝日以外での休診はここだけである。唯一の完全にフリーになれる時間。他院の受診や官公庁の用事などはこの時間でないとできない。いきおい、ちょこまかと忙しくなる。
昨日は午後1時に診療を終え、グランドタワーの「三嵋」で昼食、隣の部屋に大声でしゃべる初老の女性の集団が…あまりのうるささに部屋を変えてもらったが、同窓の集まりとか。その後ウオーキングシューズと服を買ってスポーツクラブでテニス。クラブの風呂に入り着替えてアステールプラザで尺八の練習、9時前に帰宅し晩酌兼夕食。もう一度入浴し、水割りをちびちび飲みながらGAORAでウイリアムス姉妹のテニスを見て12時就寝というやや動きの多い一日であった。
移動はすべて楽チャリで行ったが、電池の残量が少なくてやきもきした。結局、自宅まであと500メートルで電池切れ。急に重くなった自転車を漕いで帰宅、楽チャリは実に便利であると実感した。
吹雪の「ファーム・ノラ」
平成25年4月10日(水)
広島市内の桜は盛りを過ぎたので、県北の桜はどうかいなと休日に北へ向かうことにした。予報では市内は雨50%とのことだったが、出発時は晴れており天気予報ははずれたなと思っていた。191号線を、桜を愛でながら森のレストラン「ファーム・ノラ」を目指して北上した。ここは冬の間は雪に閉ざされているので営業せず、春になったらぼちぼち始める趣味のような手造りのファームレストランである。
戸河内インターから191号線に入った頃から小雨となり、三段峡あたりでは外気温も下がってきた。そのうちに小雨はみぞれに変わり、花街道から深入山にかけて雪となってきた。見ればまだ根雪が残っていて道は完全に雪道になっている。外気温は0℃~1℃、滑らないようにわだちの跡を慎重に運転し、やっと目指すレストランに着いた。まわりは一面雪景色で、営業はしていたが客は自分たちだけで、あまりの寒さに店主がストーブの他手かざしにと七輪に炭をおこしてテーブルに置いてくれた。この時期の雪は珍しいそうで、次々にかかってくる問い合わせの電話に対応していたが、さすがに来店を断念する人が多いようだった。
料理を待つ間も外は吹雪のように風が舞い、無事に帰れるだろうかと心配したことである。久しぶりの石窯ピザ、鴨の燻製、ボルシチなど美味しくいただき店を後にしたが、市内からわずか2時間でこれだけの気候の違いがあるのは面白い経験であった。
冠山の梅林
平成25年3月13日(水)
日曜日は曇っていたけれど暖かかったので、山口県光市の冠山総合公園になごり梅を観に行った。この公園には中国地方では最多の100種類2000本の梅が植えられている。折しも梅まつりの最後の日でそこそこの人出が見られた。何といっても小高い丘の上から瀬戸内海が一望でき、紅梅白梅が咲き誇り散り始めている様は、わが国の四季の移ろいの風情を感じさせてくれて実によかった。四国には1万本以上の梅林がいくつかあるようだが、ここでも十分楽しめた。梅の次は桜、桃と順に咲いていくこの時期は、一年を通して最もよい季節だと思う。
帰路、岩国に近い国道188号線沿いの「力寿司」でジャンボ寿司・天ぷら・メバルの煮つけなどを食べる。メバルは信じられないくらい大きかったが、寿司ネタの大きいこと。ハマチなどは添えられている包丁で4等分して1人前の大きさである。ネタは新鮮、安くてうまいのでいつも大入り満員の店である。こんな店も楽しい。
クリニックの変遷
平成25年3月6日(水)
暖かい日が続いて、春が訪れたようだ。今日は特に暖かく、気持ちの良い一日である。
最近、広島市内の産婦人科施設が閉院した。閉院の理由はわからないが、ここ数年だけでも他に数か所の施設が閉院しており、世の中の変化を感じる。閉院の理由は色々あるだろうが、年齢や病気によるものが多いと思われる。いずれにせよ閉院する時の寂しさは本人にしかわからないだろう。今でも思い出すのは開院の時の「やるぞ!」という希望に満ちた気持ちと、うまくいかなかったらどうしようかという不安感であり、これらの気持ちが渦まいてなかなか平静にはなれなかったものだ。
新たに開院した施設も少なからずあるが、いずれにしてもいつかは閉院しなければならなくなる。その時に何を思うかはそれぞれの立場・年齢などで異なるだろうが、感慨深いものがあるに違いない。うららかな春の一日、ふとそう思ったことである。